博報堂DYメディアパートナーズ発の『メディア定点調査2015』を元にした先日の記事では、10代のPC利用が激減しているのでは?という世代の方向感を取り上げました。
肌感覚では「そりゃそうだろうな」とみんな思っていたとしても、数値として出てくるとショッキングな結果だった……というのが、賛否含め反響をたくさんいただいた理由ではないかと。
もっとも、こういったデータはサンプル取得方法や母集団を変えると別の結果が出たりもします。
そこで角川アスキー総研の1万人調査データベース『メディア・ライフスタイル調査 2015』を使って、博報堂DY『メディア定点調査2015』の性年代別調査グラフとほぼ同じ項目を抽出してみた結果がこちらです。
『メディア・ライフスタイル調査 2015』のデータは、サンプル総数が10035名、男女各年代のサンプルは、10代は420サンプル前後、20代以降は840サンプル前後です。今回まとめたデータには新聞/雑誌/ラジオの接触時間は含んでいません。
2つの性年代別メディア接触時間調査データを比較すると……
『メディア・ライフスタイル調査 2015』で抽出した性年代別データ |
角川アスキー総研『メディア・ライフスタイル調査 2015』を使って抽出した、メディア接触時間の性年代別調査。 |
東京地区のメディア接触時間の性年代別調査(2015年) |
博報堂DYメディアパートナーズ調査 |
・テレビ接触時間だけに着目すると、角川アスキー総研と博報堂DYの調査データは大きくは違わない
・一方、パソコンの接触時間は、博報堂DYのデータよりずっと多い。特に20代以上で顕著な差
・メディア・ライフスタイル調査の母集団傾向として、パソコン/タブレット/スマホといったIT機器の利用時間が全体的に長い
・だから、「テレビ」より「ネット(パソコン/スマホ/タブレット)」の接触時間が長いと推定される層の構成が違う
博報堂DY『メディア定点調査2015』になかったデータでいうと、中学生世代では1日34分程度だったスマホ接触時間が、高校生世代になると急に4倍以上の155分に激増することがわかります。コミュニケーション手段としても、ゲーム機としても、スマホは万能ですからね。高校進学を機にスマホを持ち始めるというティーンエイジャーが多いということもあるでしょう。
fukapon |
2つの集計データは、博報堂DYが郵送調査、角川アスキー総研はWebアンケートベースなので、母集団の属性が違ってきます。むしろ、そうした差異があるのに、双方で共通している「やはり10代のPC利用は非常に少ない」という事実は着目すべき部分です。自分用のPCを持っていないなどの環境要因はもちろんあると思いますよ。でも、高度IT教育とか、プログラミング教育とかを掲げるのであれば、この状況にどう対応していくのかも重要です。
かといって、その解決策として「10代のPCとの親和性を高める。授業時間を増やす」みたいな対応は短絡的です。オトナだってスマホやタブレットで済む仕事が増えてるわけですから。
むしろ、スマホやタブレットでの生産性をあげる取り組みを業界全体で担っていくほうが正しい進化である気がします。スマホでプログラミングできる環境構築に取り組んでいく、受け身のエンタメ以外のユースケースをつくっていくといった方が時代のトレンドには合ってるんじゃないでしょうか。
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります