開発者がグーグルの隠し球を目にするとき、本当のイノベーションが起きる(ReadWrite Japan提供記事)
ほとんどのウェアラブルデバイスはパッシブだ。データを読み取り、リストデバイスに飛ばすか、出来が良いものの中にはデータを解析できるアプリに送信する。しかし音楽や電話の応答などの簡単な操作はさておき、ウェアラブルはまだデータを読み取り、そこから本当にユーザーに役立つような価値を生み出せるような状況には至っていない。
ウェアラブルはプラスチックではなく繊維で作られているのは明らかな課題だ、とはTE Connectivityのウェアラブル研の責任者、ニック・ラングストンの言葉だ。
「今日のスマート衣料のやり方はユーザーからみてパッシブだ」とラングストンは語る。彼の企業はグーグルと5月のI/Oカンファレンスで明らかにされたスマート衣料構想にまつわるJacquardプロジェクトで提携関係を結んだ。「これにより衣料はインテリジェンスを有し、着用者から情報を読み取るようになる。それが動作であれ心拍数であれ、呼吸や体温であれだ。情報はパッシブな形で読み取られ、着用者はその事で何か手をとられるということはない」
しかしJacquardはこのパラダイムを変えようとしているように見える。ラングストンは同プロジェクトのテクニカルリーダーであるイワン・プピレフがスマート衣料がその他のウェアラブルに追いつくだけでなく、如何にして追い抜くについてユニークなビジョンを持っているという。
イワンが思い描くプロジェクトJacquardが興味深いところは、衣服自体をインタラクティブな物であるはずだという考えの下、彼自身が誰よりも先駆けてこの点に取り組んでいるところだ。これにより周りのデバイスとより多くのインタラクションをもたらす事になるだろう。プロジェクトJacquardの狙いはまさにここであり、ただのパッシブなデータ収集に留まらず、服を着ること自体が周りのデバイスに作用する機会となる。このアプローチは相当斬新なものだといえるだろう。
TE Connectivityの役回りとは
ラングストンによれば、グーグルから「電子製品と衣服の統合について協力してほしい」という打診を受けたのは2014年の夏の事だという。
「我々はコネクターを作る会社だ。我々がグーグルに提供するのはJacquardで培われるテクノロジーを普通の衣料品メーカーが組み込むためのプロセスとツールになる」と、守秘義務契約の都合であまり多くは語れないものの、ラングストンは説明する。
「衣料品工場は機械製造業者とはまったく異なる。衣料品工場では何かを半田付けするわけでもない。彼らはアイロンやレーザーカッター、他に昔からあるツールを使うものの、溶接やクリーンルームを利用することはない」
TEにとっての挑戦は、コネクターの再発明だ。
「この分野に置ける普及のための最大の障壁の一つに、衣服からのデータのセンシングのために必要となるコネクターが嵩張ってしまうという点がある。これをどの様に小型化し、柔軟性に富み、洗濯が出来、接続ポイントがほとんど見えないようにするかが我々にとっての課題だ。イノベーションを望むコネクター製造会社として、これは取り組むのに素晴らしい問題といえる。」
TEのコネクターがあって、Jacquardのスマート衣料プラットフォームは単に袖に取り付けられた音楽プレイヤーのコントロール以上の意味を持つことになる。
「我々は電子機器の様なハードな環境と衣服の様なソフトな環境にまたがる問題を解決するために頑張っている。衣服の他にもソファーであったりベッド周りやカーテンであったりもするだろう。ハードからソフトへの接続というのは市場が我々に提示する根本的な課題であり、エキサイティングな問題である」と彼は答えた。
市場を獲得する
TE Connectivityに加え、グーグルはLevi’sともスマート衣料について提携関係を結んだ。その詳細は未だ明らかにはなっていない。この事によりどの様なスーパージーンズが登場するのかラングストンは明らかに出来ないが、Levi’sから初のグーグルが取り組んだパンツが発売されることになる可能性は十分にある。
「ほぼ全てのメジャーなアパレルブランドに話をしたということは明かせる」と彼は言う。
Jacquardプロジェクトでグーグルと衣料メーカーが行き着く先は何なのか興味は尽きないが、本当にすごいことが起こるとすれば、ハッカーや開発者達が自ら針と糸を手にし、自分たちのスマート衣料プロジェクトを手がけるようになってからだろう。
メーカーはJacquardの成果物から、恐らくは途方もない恩恵を受けることだろう。新しいガジェットやデバイスの製造には高価な材料や工程が必要となるが、衣料品の製造となると、ある意味自宅でも出来ることだ。ハッカーたちがおばあちゃんと家にこもり、一日中編み物をする日もそう遠くないのではないか。
「開発者コミュニティーがこの成果をもって何を成し遂げる事になるのかを考えるとワクワクする。プロジェクトの成果物をコミュニティーが使えるようになり、このコネクターの使い道がクラウドソーシングされるようになれば、話はずっと面白いことになるだろう」とラングストンはコメントした。
Jacquardプロジェクト画像提供:Google
Brian P. Rubin
[原文]
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※本記事はReadWrite Japanからの転載です。
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