縦に回るだけでイノベーションか?イノベーションとまで言えるかはわからないけど、これは掛け値なくカッコイイと僕は思うね。
レコードがいま、実は販売数を伸ばしている。音楽好きが言ういわゆるビニール/バイナルってやつですが、この販売数が伸びているというのは統計データを眺めるのが好きな人の間ではよく言われていること。イギリスでは2014年、1996年以来18年ぶりに最高セールスを記録し、100万枚以上も出荷された。海の向こうだけの話ではなく、日本でも2014年にはこの10年ほどでレコードが最も売れた年になった。
そうした背景のなか、レコードプレーヤーでクールなイノベーションを起こそうというヤツらがKickstarterでプロダクト支援募集を始めた。その名も『Floating Record Vertical Turntable by Gramovox』。Gramovoxはシカゴを拠点とする、ビンテージオーディオ風の良質なデザインでお手ごろ価格のオーディオをつくっているハードウェアスタートアップだ。
ターンテーブルを縦にしただけでこの存在感。記事の最後の動画みると実際にレコードがまわる様子もわかる。 |
ソファの男女の頭の大きさと比べると、空間に『Floating Record Vertical Turntable 』を置いたときのインパクトが想像しやすい。 |
バーチカルターンテーブル(読みにくいのでカタカナにしてしまおう)、つまり垂直に起こしてレコードを回してしまえばカッコいいんじゃね?ってことだ。
バーチカルターンテーブルのレコードプレーヤーとしては、かつてダイヤトーンの『DIATONE LT-5V』なんかもあったけど、おそらく目指すところはまったく違う。
縦型にすることによる音響的メリットだとか、どれだけ重いターンテーブルを使うかとか、そういうアナログオーディオ独特の世界はあまり意識していないようだ。
なぜならGramovoxはこのターンテーブルを、ライトなレコードファンに届けようとしているからだ。買ってきてアンボックスしてレコードをセットするだけ。アンプやスピーカーの接続は不要(スピーカー内蔵だ)だし、針のカートリッジ選びの必要もないと言っている。
ターンテーブルを垂直にしたことによって、設置面積はより省スペースになる。奥行きは10インチ(=25.4センチ)。そのぶん縦方向の占有は大きくなるけれど、お気に入りのレコードが回転する様子はさぞかしインテリアとしてはイケてるんじゃないかな。
アームはオーディオテクニカ製。ターンテーブルを縦に起こしているとはいえ、駆動はベルト式だから機構的な複雑さはさほどない。レコードの回転数調整は、なんとベルトのプーリーを掛け替える(!)ことで切り替える仕組み。 |
インターフェース類は背面に。といっても、一般的なRCAのLR出力とヘッドホン端子があるだけ。ONBOARDというスイッとがあるのは、内蔵スピーカーのオンオフを切り替える機能だろうか? |
このプロジェクトは、現行執筆時点で支援募集終了まで33日を残して、目標5万ドル(=約600万円)に対して28万ドル(=約3360万円)以上もの支援が集まっている。実物が手に入る支援プランは349ドルからと比較的手ごろ。デリバリーは、2015年12月の予定。もちろん、クラウドファンディングを使うときは、デリバリー予定の頭に"うまくいけば"を付けて受け取っておく必要はあるけどね。
●関連サイト
Floating Record Vertical Turntable by Gramovox - Kickstarter(英語)
Gramovox公式サイト(英語)
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