COMPUTEXはコンピューター関連の展示会ですが、コンシューマー向けのパソコンや周辺機器だけでなく、ビジネス向けの機器やソリューションも数多く展示されています。
そのなかでも、今年特に多く目に付いたのがPOSシステム用の端末です。ここ数年のPOS端末は大型のタッチディスプレーを採用しており、クレジットカードのリーダー機能などがなければ、ぱっと見はタブレット端末のようです。
↑タッチディスプレー式のPOS端末。画面の下にはカードリーダーを装備。 |
実はPOS端末はマイクロソフトのシェアが高く、特に組み込み用の『Windows XP Embedded』を採用している端末が多く普及している市場です。Windows XPというと思い浮かぶのがサポート期限問題。PC用のWindows XPはすでにサポートが終了していますが、組み込み向けのWindows XP Embeddedもサポート期間は2017年1月30日までと残り1年半となっています。
つまり、PCのときと同じくPOS端末市場にも“XP買い換え特需”が来ているわけです。
↑POS端末でもWindows以外のOSをアピール。 |
この特需を狙って……というのが今回のCOMPUTEXでPOS関連の展示が増えている要因と考えれます。さらに、OSについてもマイクロソフトの牙城を崩すべく、Androidを採用したPOS端末が数多く展示されていました。
↑Androidを採用したPOS端末のひとつ。 |
出展していたPOSメーカーにインタビューしてみたところ、OSにAndroidを採用する理由として、まず価格が安くつくれるということをあげていました。
Androidはオープンソースのため基本的には無料。マイクロソフトの組み込み用OSを採用するとライセンス料が必要となるので、その時点ですでに価格差が出てしまいます。
また、インテル系のシステムで端末をつくるよりも、ARM系で端末をつくるほうがコストが安くなるとも説明していました。ARM系ならOSはAndroidが最適というわけです。
↑Androidを採用したPOS端末のスペック。CPUにはFreescaleの『i.MX 6』を搭載。これもARM系のCPUです。 |
組み込み用の専用システムなのでスマホなどとは違い、GmailやPlayストアといったGoogleとの認証が必要なアプリや機能も乗せる必要がないため、システムが開発しやすいのもポイント。Androidのスマホやタブレットが普及したため、アプリの開発環境が整っていて開発者が多いことも、有利な点としてあげていました。
↑Android搭載POSをお探しかい? と直接的なアピール。 |
このように説明を聞くと、Android搭載のPOS端末はいいことずくめのようですが、もちろん欠点もあります。現状では同時に数多くのPOS端末を稼働させるような、大規模な店舗での運用には不向き。そういった環境ではインテル製のCPUとマイクロソフト製のOSを組み合わせたパワフルなシステムのほうが安定しているそうです。
Android搭載のPOS端末は小規模な店舗、たとえばヘアサロンなど店内のPOS端末を1台から数台で運用するような環境に向いているとのこと。POS業界の“XP問題”で、Androidがシェアトップのマイクロソフトにどれだけ食い込めるか今後に注目です。
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