Twitterは、上海で開催中のアジア初上陸の家電ショー『CES Asia』において、キーノートを実施。同社のアジア太平洋・中南米・新興国担当副社長であるシャイレシュ ラオ氏が登壇しました。
Twitterといえば、日本でも若者だけでなく幅広い年齢層や企業や団体を超えて利用されているインフラ的ウェブサービスで、今さらTwitterの特徴などを挙げる必要はないと思われますが、今回のキーノートではTwitterにとっては“いわく”付きの中国に向けたものとなっていたので、同社の意図とともに解説します。
↑Twitter副社長のシャイレシュ ラオ氏。 |
ラオ氏はまず中国という国の大きさを振り返ります。金の産出国、赤ワインの消費が世界でトップ。輸入出においても2013年は3兆8700億米ドルと、米国とほぼ同じ規模になっており、GDPは920京米ドルと日本の約3倍になっているとのこと。
一方で、ITにおいての中国の規模を解説。アジア太平諸国のインターネットユーザーのうち47%が中国のユーザーで、その数は6億4900万人にものぼります。さらに、そのうちの37%はソーシャルメディアユーザーとのこと。中国で勢いのあるインターネットサービスはいわゆる“BAT”と呼ばれており、これは中国検索大手の“Baidu(百度)”、ソフトバンクが主要株主の“Alibaba”、メッセージングサービス『WeChat』の運営会社“Tencent”の略のようです。
そんな中、Twitterは自社サービスの特徴を4つに分類。“LIVE(リアルタイム性)”、“PUBLIC(公共性)”、“CONVERSATION(交流性)”、“DISTRIBUTE(流通性)”それぞれの各国での事案を解説し、最後にTwitterを活用している中国企業の例を示しました。
↑サッカーの試合では盛り上がりと同時にツイート数(画像内の青線)が一気に増加。 |
↑Twitterは膨大なアクティブユーザー数、ユニークユーザー数、そして利用可能な端末数を抱えている。 |
↑2014年世界で多く使われたハッシュタグ一覧。“#Sochi2014”や“WorldCup”など行事以外にも、“#Ebora”や“#MH370”など時事ネタも多くツイートされました。 |
↑政治分野での利用としてはインド首相のナレンドラ・モディ氏のツイートがピックアップ。日本の安倍首相とハグを交わしている写真です。 |
↑中国企業のTwitter利用の一例としてシャオミーもピックアップ。先日、米欧市場に進出を果たしただけに、グローバル戦略はさらに本格的に。 |
このように、中国の世界的に見た期待値、世界戦略を進める上で必要となるTwitterの利点、そしてその成功例が紹介されたわけですが、そもそも気になることが1点あります。
一度旅行や出張に行ったことがある方はおわかりだと思いますが、中国国内ではTwitterをはじめFacebookやInstagramなどのSNS、Googleのサイトおよびサービスが規制されています。「中国で開催されるCES AsiaでTwitterの副社長が基調講演に登壇する」ということで、「中国でのサービス運用について何か進展があるのではないか」と期待したメディアは自分をはじめ少なからずいたようで、今回の発表の中身を受けて「中国できちんと使えるようにはならないのですか?」と、直接ラオ氏に質問をする姿は多く見受けられました。
↑GoogleやTwitterなど、中国国内からではVPNやローミング回線を使わないと利用できないサイトは多い。 |
ラオ氏は「第1段階としてまずは中国の大企業にTwitterを使ってもらい、より世界に広がっていって欲しいと考えている」と答えており、今回の発表はやはり中国の企業、しかも超がつくほどの大企業向けのPRだったようです。中国の一般ユーザー向けの施策に関しては「さらに次のステップで考えていく」(同氏)と述べており、現状で決まっていることはないようです。
前述のとおり、すでに日本を含む各国でインフラ化しているTwitterですが、中国のようにまだTwitterが普及していない国に対してこのようにグローバル進出する(できる)企業から徐々に導入を進めていく方針なのかもしれません。
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