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「ドコモが浮いてしまっただけ」au決算発表、2期連続2ケタ成長でドコモを抜き国内2位に

2015年05月13日 20時00分更新

 KDDIは5月12日、2015年3月期の決算を発表した。営業利益は7413億円で対前年比12%増となり、公約どおり2期連続2ケタ成長を達成。営業利益ではドコモの6391億円を超えて国内2位となった。これまで経営指標としてARPU(1ユーザー当たりの月間平均収入)を使っていたが、新たにARPA(1アカウント当たりの月間平均収入)という指標を導入。複数のデバイスを使うユーザーを拡大し、さらなる成長を目指す考えだ。KDDIの田中孝司社長は、国内携帯市場が縮小するなか、新規サービスの提供や既存サービスの改善などで今期も「通期10%成長をなんとか達成していきたい」と意気込んでいる。

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↑KDDIの田中孝司社長。
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↑決算ハイライト。2期連続2ケタ成長を達成した。

 営業収益は同5.5%増の4兆5731億4200万円、純利益は同32.9%増の4279億3100万円で増収増益。田中社長が「auモメンタムは継続している」と強調するとおり、主力の携帯事業が好調で、パーソナルセグメントのモバイル通信料収入が前期に比べて751億円増加した。『au WALLET』の立ち上げ費用173億円など889億円の減収要因もあったが、販売手数料の減少などが利益を押し上げた。全体では781億円の利益増となり、順調な業績だった。

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↑営業利益の増減要因。

 同社ではMNPユーザーを「ARPUが大きい」とみて重視しており、MNP純増は通期を通して好調に推移。最大の商戦期である3月には年間で最高となるMNP純増を記録したという。総契約数は3648万2000件、純増数は235万1000件となり、同5.1%増。解約率も7ポイント改善の0.69%で、四半期ごとの数字も前年より改善した。

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↑MNP純増は拡大。
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↑純増数は後半に拡大して対前年比増に。
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↑解約率も改善。

 固定通信とのセット割である『auスマートバリュー』は、auスマートフォンユーザーの50%が利用し、固定側の『auひかり』(FTTH)ユーザーの60%がauスマートフォンを利用。固定通信サービスだけでなく、多チャンネル放送も対象にしたことで利用者層が拡大し、提携CATVにおけるauへの誘導も功を奏した。子会社のJ:COMでは、前年に比べてauへの誘導が約40%増加したという。また、auスマートバリュー利用者は継続傾向が強く、解約しにくいという点も大きなメリットとしてあげる。

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↑auスマートバリュー利用者が拡大。特に新規ユーザーの利用が多いという。
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↑適用条件の拡大も功を奏した。au契約へのプラス効果も大きい。

 音声とデータのARPUは同30円増の4230円で、通期で初めて前年比増となった。ARPUが反転したことで、今後の収益の安定化が期待できる。音声ARPUは新料金プランの影響などで同100円減だったが、データARPUが230円増加し、減少ぶんを補った。

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↑ARPUが初めて反転し、対前年比プラスとなった。
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↑ARPUの内訳。

 端末の販売数は985万台。スマートフォン浸透率は54%に達し、LTE対応スマートフォンに限っても50%にまで拡大した。LTEスマートフォンユーザーはデータARPUが高いため、これもARPU反転に寄与した。

 ネットワークは、人口カバー率99%以上のLTEネットワークを構築し、さらにLTEとWiMAX 2+のいずれもキャリアアグリゲーションにより下り最大225Mbps/220Mbpsの速度に対応。4月には最初の対応端末として『Galaxy S6 edge』を発売した。ドコモが年度内に下り最大300Mbpsへと高速化する方針だが、記者からの「対抗するか?」の問いに田中社長は、「もちろん!」と強い調子で答え、ネットワーク強化も継続していく。

 3年連続2ケタ成長という3ヵ年計画の3年目にあたる今期は、マルチネットワーク、マルチデバイス、マルチユースというキーワードを用いた3M戦略をさらに推進。auスマートバリューによって顧客基盤は確立したとしており、ひとりが使うデバイスを増加させるマルチデバイスやau WALLET、auスマートパスといった付加価値事業によるマルチユースをさらに強化していく考えだ。

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↑3M戦略をさらに推進する。

 マルチデバイスでは、ルーターやタブレットの契約数を伸ばすことで収益の拡大を図る。従来のARPUは、ひとつの契約ごとの数字を計測していたが、新たな指標となるARPAは、1アカウント(1ユーザー)がもつ複数デバイスの収入をまとめたもので、これを拡大させることを目指す。

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↑新たな経営指標としてARPAを導入する。

 2014年3月期のARPAは5530円だったが、2015年は1.4%増の5610円に拡大。ひとり当たりのデバイス数も平均1.37台から1.4台へと増えた。これをさらに増加させることで、新たな「成長ドライバー」として位置付ける。

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↑ARPAをさらに拡大するために、複数持ちユーザーの拡大を図る。
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↑タブレットの累計契約数。

 その鍵となるタブレットは、「急速に販売を伸ばしている」(田中社長)状況で、累計契約数は前年比2.5倍となる100万を突破。複数台持ちのメリットを訴求するなどして、今後も拡大していきたい考えだ。

 コンテンツサービスのauスマートパスや電子マネーサービスのau WALLETといった付加価値サービスによるマルチユースの戦略では、こちらも複数のサービスを利用してもらうことで「付加価値ARPA」を拡大し、収益増加を目指す。

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↑付加価値ARPAも導入する。

 現在KDDIは、auスマートバリューなどによって確立した顧客基盤の上に、auかんたん決済やau WALLETといった決済プラットフォームを配置し、付加価値サービスを提供することで「付加価値経済圏」を構築しており、これをさらに拡大するのが目標。付加価値経済圏の流通総額が3800億円規模だが、今期はこれを8500億円まで拡大する。そのため金融サービスやコマースサービスをさらに強化していく。

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↑付加価値経済圏の拡大のため、金融・コマース分野を強化。
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↑流通規模をさらに拡大する。

 付加価値ARPAは、auスマートパスなどのKDDIサービスからの収入が310円、auかんたん決済とau WALLETによる手数料収入が110円で計420円。今期は19%増の500円を目指す。au WALLETは契約数が1200万を突破したが、まだ「道半ば」(同)という考えで、流通額がさらに増えれば、今後収益化が図れると見る。

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↑付加価値ARPAは500円まで拡大を目指す。

 その他のセグメントでは、法人向けのビジネスセグメントが減収減益。グローバルセグメントは、決算報告期間の変更もあったため大幅な増収増益となったが、特にミャンマーにおける通信事業において、販売網の強化やネットワーク品質の改善、割引サービスの提供などで、800万枚を超えるSIMを販売し、順調に推移しているという。

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↑ミャンマー事業は順調に拡大しているという。

 こうした取り組みを継続することで、今期はEBITDAで1兆4000億円、営業利益で8200億円、純利益で4900億円を目指し、3期連続2ケタ成長を達成したい考え。なお、同社では今期から国際会計基準であるIFRS基準に変更するため、それにともなって日本基準に比べて営業利益が754億円減少する見込みだが、それを考慮しても8200億円の営業益確保を目指す。

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↑2016年3月期の通期予想。
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↑増減要因。IFRS基準に移行することによる影響が発生する。

 設備投資額は6000億円程度を想定。連結対象となるUQコミニュケーションズの650億円が含まれるため、前年比では増加するものの、auとしては設備投資額は対前年比で削減する。

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↑設備投資額の予定。

 2015年3月期では営業利益でドコモを抜いたかたちとなったが、田中社長は「3年間(3ヵ年計画)のコミットメントを達成するのが目標で、その通過点にドコモが浮いてしまっただけ。大幅に利益を伸ばしたかといえばそうでもない」と冷静。

 今期は、NTT東西による光コラボレーションやMVNOの影響を見極めつつ、従来の事業を継続・改善、さらに「お客さまの望むサービス」(同)を提供するなどして、2ケタ成長を実現したい考えだ。

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↑1株当たりの配当も増加する。

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KDDI

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