週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

谷川俊太郎さんがコンピューターについて書いた詩がとてもいい

macbook
かつて谷川俊太郎さんが使っていたiBook

 谷川俊太郎さんがMac使いのガジェット好きだったのはびっくりした

 びっくりついでに、詩集『空に小鳥がいなくなった日』(1990)に載っている、谷川さんのコンピューターの詩がしみじみいいので紹介しておいてもいいかしら。うっかり取材記事に入れ忘れたわけじゃないのよ。ぜひ声に出して読んで、どうぞ。


我が友コンピューターに

僕はきみを見たことがある
きみは大きな箱のように単純な姿をしていた
僕はきみに触れたことがある
きみにはかすかだが体温があった
僕はきみを愛してはいないが怖れてもいない

きみはますます巨きくなるだろう
きみはますます利口になるだろう
でも僕は僕のままだろう
しゃくにさわるとか虫が好かぬとか
相変わらずそんな小さな業すら捨てきれずに

だが二進法について何ひとつ知ってなくても
僕もきみのプログラマーだ
僕はきみに入力する 途方もない理想を
情報の奔流がすべての秘密を洗い流し
人間が自らの裸の心を
ただそれのみをみつめざるを得なくなるまで



 いかがでしょう。そして詩の余韻を味わっていただきながら、3年前に載せた電子音楽の巨匠・冨田勲さんへのインタビュー記事を紹介してもいいかしら。じつは谷川さんと冨田さんともに83歳の同い年なのです。

 わたしが担当編集だった音楽ライター・四本淑三さんの連載に、初音ミクとのコラボコンサート『イーハトーヴ交響曲』を語っていただいた記事がある。今月20日にも北京で公演があるとか。いま調べたら中国のニュースに「日本籍国际知名DJ kotobuki hikaru先生」とか書いてあってなんかやばいんだけど、とりあえず置いといて。

 谷川さんは1931年12月15日、冨田さんは1932年4月22日生まれ。おふたりとも1945年、13~14歳で終戦を迎えた世代で、死生観やテクノロジーへの視点が似ている感じ。一言で言えばどちらもクール。

僕自身も結局、自然現象なんですよ」とか、冨田さんサラッと言うし。

 それに2人とも印象が宇宙人っぽい。冨田さんは名盤「惑星」で宇宙との交信っぽい演出を入れてるし、谷川さんは“宇宙的詩人”(世界的詩人じゃなくて)とか冗談言ってたし、なんだか兄弟みたい。宇宙きょ……すいません。

 そんなわけで長くなったけど、冒頭の詩が気に入ったらぜひ詩集「空に小鳥がいなくなった日」をどうぞ。詩集っていまアナログレコードくらいかっこいいモノって感じがする。ていうかDJことぶき光先生……(フェイドアウト)

■関連サイト
谷川俊太郎.com

お詫びと訂正:初出時、冨田勲さんの誕生日に誤りがありました。関係者のみなさんにお詫びするとともに訂正します。冨田先生失礼しました!(18日)

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります