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谷川俊太郎さんがコンピューターについて書いた詩がとてもいい

macbook
かつて谷川俊太郎さんが使っていたiBook

 谷川俊太郎さんがMac使いのガジェット好きだったのはびっくりした

 びっくりついでに、詩集『空に小鳥がいなくなった日』(1990)に載っている、谷川さんのコンピューターの詩がしみじみいいので紹介しておいてもいいかしら。うっかり取材記事に入れ忘れたわけじゃないのよ。ぜひ声に出して読んで、どうぞ。


我が友コンピューターに

僕はきみを見たことがある
きみは大きな箱のように単純な姿をしていた
僕はきみに触れたことがある
きみにはかすかだが体温があった
僕はきみを愛してはいないが怖れてもいない

きみはますます巨きくなるだろう
きみはますます利口になるだろう
でも僕は僕のままだろう
しゃくにさわるとか虫が好かぬとか
相変わらずそんな小さな業すら捨てきれずに

だが二進法について何ひとつ知ってなくても
僕もきみのプログラマーだ
僕はきみに入力する 途方もない理想を
情報の奔流がすべての秘密を洗い流し
人間が自らの裸の心を
ただそれのみをみつめざるを得なくなるまで



 いかがでしょう。そして詩の余韻を味わっていただきながら、3年前に載せた電子音楽の巨匠・冨田勲さんへのインタビュー記事を紹介してもいいかしら。じつは谷川さんと冨田さんともに83歳の同い年なのです。

 わたしが担当編集だった音楽ライター・四本淑三さんの連載に、初音ミクとのコラボコンサート『イーハトーヴ交響曲』を語っていただいた記事がある。今月20日にも北京で公演があるとか。いま調べたら中国のニュースに「日本籍国际知名DJ kotobuki hikaru先生」とか書いてあってなんかやばいんだけど、とりあえず置いといて。

 谷川さんは1931年12月15日、冨田さんは1932年4月22日生まれ。おふたりとも1945年、13~14歳で終戦を迎えた世代で、死生観やテクノロジーへの視点が似ている感じ。一言で言えばどちらもクール。

僕自身も結局、自然現象なんですよ」とか、冨田さんサラッと言うし。

 それに2人とも印象が宇宙人っぽい。冨田さんは名盤「惑星」で宇宙との交信っぽい演出を入れてるし、谷川さんは“宇宙的詩人”(世界的詩人じゃなくて)とか冗談言ってたし、なんだか兄弟みたい。宇宙きょ……すいません。

 そんなわけで長くなったけど、冒頭の詩が気に入ったらぜひ詩集「空に小鳥がいなくなった日」をどうぞ。詩集っていまアナログレコードくらいかっこいいモノって感じがする。ていうかDJことぶき光先生……(フェイドアウト)

■関連サイト
谷川俊太郎.com

お詫びと訂正:初出時、冨田勲さんの誕生日に誤りがありました。関係者のみなさんにお詫びするとともに訂正します。冨田先生失礼しました!(18日)

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