みなさん、こんにちは。いまは週刊アスキーの吉田でございます。さて4月27日に(株)サイバードの「THEATRE CYBIRD」でCocos2d-xの開発元であるChukong Technologies Japan主催の「Cocos2d-x Talks #3」が開催されましたよ。今回のそのレポートをお届けします。
マンサード代官山の1Fにある「THEATRE CYBIRD」。 |
THEATRE CYBIRDは、マンサード代官山というビルの1Fで、スゲェいいところにあります。
Cocos2d-xの3D機能を使って作られたiPhoneアプリのデモ動画。 |
イベントは19時30分にスタートし、まずは「Cocos2d-x最新情報」としてChukong Technologies Japanでエンジニアリングディレクターを務める清水氏が登壇しました。講演では、北京で4月2日に開催された「Cocos Developers Conference(Spring)2015」の内容をかいつまんで解説。特にCocos2d-xの3D機能は素晴らしい進化が見られ、これを利用したゲームの開発もすでに進められているそうです。Cocos Developers Conferenceについては、週アスPLUSでも記事にしているのであわせてチェックしてください。
Cocos2d-xやCosos Studioなどの開発環境を統合した「Cocos」と呼ばれる統合開発環境が新たに登場しました。 |
機種が多くアプリの互換性を保つのが難しいAndroidですが、最新のCocos2d-x v3.5では99.37%の互換性を維持しているそうです。 |
Cocos2d-x v3.x系のロードマップ。v3.6では地形作成、v3.7では3Dのパスファインディングなどが可能になるそうです。 |
そのほか、Cocos2d-xのロードマップなどが紹介されました。
slideshareに公開されている清水氏のスライド。 |
清水氏が講演に使ったスライドはslideshareで公開されているので、詳細が知りたい人はチェックしてみてください。
Cocos2d-xのエバンジェリストである(株)シュハリの松浦氏。 |
次に登壇したのは、Cocos2d-xのエバンジェリストである(株)シュハリの松浦氏。Cocos v2.2とConsole機能の利用方法が紹介されました。
統合開発環境の「Cocos」を利用することで開発環境の構築などがかなり楽になるそうです。 |
Cocosとは、Cocos2d-xはもちろん、「Cocos Studio」や「Cocos Store」などが組み込まれている新しいプラットフォーム。これを利用すると簡単にCocos2d-xを利用した開発を進められるだけでなく、必要なツールやリソースのダウンロードも可能。これまでのような複雑なセットアップは不要となるそうです。Cocos2d-xの開発環境のセットアップに悩んでいた人にはかなりの朗報ですね。
slideshareに公開されている松浦氏のスライド。 |
Console機能については、その実装方法の紹介やデモが披露されました。Console機能とは、実行中のアプリケーションの情報をのぞくことができたり、タッチ操作をシミュレートできたりする、上級者向けのツールです。コマンドの追加方法も紹介されました。この講演で紹介したソースコードは松浦氏がslideshareで公開しているので、これを使って開発環境のステップアップを図ってみましょう。
(株)ウェブテクノロジの高井氏。 |
3人目の登壇者は、(株)ウェブテクノロジの高井氏。同社は「SpriteStudio」と呼ばれるUIエディターを開発している会社で、高井氏はCocos2d-xとSpriteStudioを使った「音ゲー」の開発について紹介していました。
高井氏はCocos2d-x初心者であり、Windowsユーザー。初めてWindowsマシンでCocos2d-xを利用してゲームを作ったときのメリット、デメリットなどをエピソードを交えながら話してくれました。これからCocos2d-xに触れようと考えている人にとっては参考になる情報でした。WindowsマシンでCocos2d-xの開発環境をセットアップする際、ネットにある情報の多くはMacがベースになっており、情報を集めるのに苦労したそうです。
SpriteStudioは個人開発者なら無料で利用可能です。 |
また、UIエディターのSpriteStudioをCocos2d-xへの組み込む方法についても触れていました。SpriteStudioにはインディーライセンスも用意されており無料で利用可能なので、個人開発者にとっては朗報ですね。
サイバードの加島氏。 |
イベントの最後は、サイバードの加島氏と池本氏が登壇。「Cocos2d-x 3.2を用いたサイバードの開発事例」というテーマでの講演となりました。
街づくりRPGの「名探偵コナン ミステリータウン」。 |
女性向け恋愛ゲームの「イケメン王国 女王と真実のキス」。 |
前半は加島氏により、サイバードによるCocos2d-xが利用されたタイトル「名探偵コナン ミステリータウン」と「イケメン王国 女王と真実のキス」が紹介されました。
これまで手がけてきたアプリは、アプリなのはメニュー周りのみで、操作画面はウェブベースだったそうです。 |
同社はもともとウェブベースのゲーム開発を得意としており、これまでのスマホゲームはメニュー回りのみがネイティブアプリで、プレイ画面自体はウェブベースという仕組みでした。これをCocos2d-xベースでネイティブアプリ化する際に問題になったことを中心に語られました。
メリット、デメリット、情報収集に利用したサイトなどの紹介がありました。これまではウェブベースだったので、ローンチの直前まで作り込みができたが、ネイティブアプリとなるとAppleの審査前にすべてを完成させる必要があるうえ、バージョンアップ以外でアプリを修正できなくなるという点がいちばん大変だったそうです。 |
後半は池本氏から、「名探偵コナン ミステリータウン」の開発におけるエンジニア視点からのCocos2d-xのメリット、デメリットが紹介されました。そのほか、Cocos2d-xと組み合わせたツール群の紹介もあるなど、開発者にとってはかなり役立つ情報でした。
slideshareに公開されているサイバードのスライド。 |
サイバードの講演内容についてもslideshareで公開されているのでチェックしてみてください。
なお、今後ののCocos2d-x関連イベントとしては以下の3つが予定されています。
・東京インディーフェス2015(5月8〜10日、東京・秋葉原)
・de:code 2015(5月26〜27日、東京)
・Game Tools & Middleware Forum 2015(7/7、大阪/7/17、東京)
■関連サイト
Cocos Developers Conference(Spring)2015
Chukong Technologies
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