IFAは毎年秋にベルリンで開催される世界最大のコンシューマーエレクトロニクスの展示会。2015年は9月4日開幕だが、それに先立ち、世界55ヵ国から300人の報道関係者を集め、地中海に浮かぶマルタでプレスカンファレンスを行なった。
主催者とスポンサー企業によるプレゼンテーション、調査会社による市場動向をお伝えする。
メインカンファレンスでベルリンメッセCEOのGoke氏はコンシューマーエレクトロニクスの変化に従ってIFAも常に変化するが、メーカーとバイヤー、消費者をつなぐ役目を果たしていくことを確認。2014年の海外からのトレードビジターは4万7800人で前年比2%増だが、海外メディアは2600人と13%増加、展示面積は14万9500平米と3%増加した。
2015年の会場はHome Entertainment、Technology&Components、My Media、Communication、Home Applianceの5ジャンルで構成。Whirpoolグループが9号館に移動するほかは、パナソニック、ソニー、サムスン、フィリップスなどの大型展示は昨年と同じ場所となる。通信分野では、世界最大の電力会社E.ON、T−Mobile、Vodafone,、韓国SKtelecomといったキャリアのほか、HTCやZTEといったメーカーが出展予定だ。
今年はTecWatchコーナーがすでにキャンセル待ち状態の人気で、世界のスタートアップ企業も多数出展する予定。昨年はサムスンやインテル、Nest、Sennheizerがキーノートスピーカーを務めたが、今年は現状未定で、日本企業にもぜひ参加してほしものだ。
同時開催の会議とイベントは今年も予定しており、ebayの顧客分析システムのGershkoff氏や米USCのInnovation LabのTaplin氏、スマホでパーキンソン病を診断するシステムを開発したLittle氏などが出演予定だ。
●フィリップス
オランダに本拠を置くグローバル企業フィリップスは照明と健康に注力しているが、今年は健康についてプレゼン。
世界的ヒット商品のノンフライヤーやエアフロスに続き、ドイツの大手保険会社のAllianzとともにHealth Systemの提供を開始する。
手始めとして腰痛予防のシステムを発表。腰に巻くベルトをスマホでコントロールする。
●Haier
中国の家電メーカー、ハイアールは世界165ヵ国に製品を展開し、依然成長中だが、今年は3つの新製品を発表。
ひとつは、洗濯にかかる時間を半分に短縮するという、家庭用のふたつのドラム洗濯機!
そしてもうひとつは、3つのコンテナを冷蔵と冷凍に使いわけられる4ドア冷蔵庫。
さらにモーターレスのワインセラー。また、Androidタブレットに続きスマートウォッチにも進出する。
●Grundig
ドイツのGrundigは、ラジオ・テレビに始まり、今や500以上の製品をもつ総合家電メーカー。
CEO自ら登壇し、開発中のVUX(Virtual User eXperience)を発表。キッチンに採用した製品はプロジェクターと3Dセンサーを使い、システムキッチンのコントロールを行うシステム。
プロトタイプでデモも行なっていたが、電磁コンロに一切のスイッチがなく、投影したコントローラー映像を指で操作する。近く製品として発売するそうだ。
●ZTE
おなじみ中国のZTEがGPCに初登場。総出荷台数は6億台に上り、2014年は4800万台のスマホを出荷した。米国ではプリペイド端末として21%のシェアとNBAチームを3つも持ち、中国市場ではLTE端末のシェアで1位を保持している。
モバイルプロジェクターの最新製品『Spro 2』や、日本でも発売予定の『Blade S6』を紹介した。
●TP Vision
フィリップスのテレビ部門TP Visionは、他社との差別化について、おなじみの画像にあわせて壁面に色を投影するAmbilightに加えて、ヨーロッパクオリティーのデザインと画質、サウンドの向上を手掛けてきた。
今年は全モデルの80%にAndroidを搭載することを発表。すでに同社のスマートTVのユーザーのうち90%がネットに接続しており、ビデオオンデマンド(VOD)を楽しんでいる。
クラウドで動作するゲームに加え、EAとGameloftと契約し、ダウンロード型のゲームも提供していく。
●Gibson Innovations
ギターでおなじみのGibsonは昨年フィリップスの音楽部門となった。
TEACやONKYOといったオーディオブランドとともに、世界一のミュージックライフスタイルカンパニーを目指す。
Gibson Inovationとして発売するTRAINERやgogearといったヘッドホンブランドもアピール。
会場にはLightningコネクタに直結できる日本未発表のiPhone用ヘッドホンを展示していた。
●2015年の市場予測
市場調査GfK社による予測では、2015年のコンシューマーエレクトロニクス市場の成長率は13年の0.1%、14年の0.9%を超えて、1.5%の見通しで、新興国のスマホ需要がけん引し、総額は7900億ユーロ(約102兆円)になる見込み。
製品別ではスマホ・携帯の出荷額が8%成長し全体の40%を占め、スマホの出荷台数は140億台に乗る。テレビは2.3%成長するが、デジカメは15%も縮小する予想だ。
TVの成長は世界レベルでは横ばいで、2015年は2憶4570万台、1144億ユーロ(約15兆円)の出荷予定で、中でも4KTVは台数ベースで14年の4%から今年は11%、16年には17%まで上がる。曲面テレビは3900万台、OLEDは40万台に留まり、スマートテレビは16年には全体の45%を占めるようになる。
冷蔵庫や洗濯機といった大型家電は3%成長して総額1450億ユーロ(約19兆円)に、小型家電は4%成長し505億ユーロ(約7兆円)となり、16年まで続く見通しだ。
急成長中のウェアラブルデバイスは全体で2014年の3100万台から、今年は7200万台、16年には1億1400万台に到達。製品別では、スマートウォッチが4600万台、スマートバンドが3800万台で、ウェアラブルカメラが1500万、ヘッドセットが1100万台、スマートグラスは500万台出荷される。
急成長しているテレビ用のサウンドバーは18%増の1290万台、アクションカムは39%増の960万台が今年出荷される。そして次のヒット商品はもちろんドローンであると断言していた。
調査会社のIHSは4Kテレビについて講演し、どの国でもストリーミングによる4Kソースの提供は充実してきたが、放送とディスクメディアが追い付いていない。とはいえ、2018年には50インチ以上のテレビはすべて4Kモデルとなり、特に中国での販売台数が大きく伸びると予想。
スマホについても、2015年には700dpiを超えるモデル(たとえば6.2インチで3840×2160ドット)が登場すると予測。2021年には全スマホの半数以上が400dpi(現iPhone 6 Plus)より精細になるとしている。
IFA2015の入場料はトレードビジターなら前売り1日券が37ユーロ(約5000円)で、6月30日までならおトクなパック料金もあるので、エアライン、ホテルとともに予約はお早めに!
●関連サイト
IFA 2015 公式サイト(英語)
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4,980円
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