「デジタル世代の若者たちの話題は、明日にはすでに移っている」
角川アスキー総合研究所代表取締役 角川歴彦社長はそう語る。4月1日、同研究所が発表したツイッターからエンターテインメントコンテンツの人気を分析できるサービス『キャッチ・ザ・モーメント』(Catch The Moment)だ。
「ツイッターには膨大な情報が流れている。映画はもちろん、テレビや芸能、スポーツ、アニメなどの感想があふれている。どうしたら情報を活用できるか考えて、コンテンツを軸にしたフィルタリング、ランキング、レーティングをしようと」
KADOKAWAが「芸能人・著名人」「テレビ」「映画」「お出かけ」などエンタメ辞書を独自作成。NTTデータからBotのツイートを排除したフィルタリングデータの提供を受け、東京大学の喜連川優研究室で分析する。エンタメ情報の評判を30秒~60分単位で把握できる仕組みだ。
ツイートを分析してランキングにする |
ポジティブ・ネガティブも判定可能 |
「東京大学の喜連川教授と出会い、ビッグデータ分析でこういうことができるんだと見せられたときは衝撃だった。こんな狭い研究室でこんなことができるのかと、思わず先生の手を握ったのが4年前だった」
KADOKAWAで想定するのはテレビ情報誌のネット版。開始時期は未定だが、移りかわる興味から、テレビ番組・ネット番組どちらからでも、いま見るべきコンテンツがすぐ分かる。
「雑誌『週刊ザテレビジョン』を創刊して33年になる。テレビ週刊誌は日本最大の雑誌として100万部、年末合併号が300万部という巨大な雑誌になった。アナログ時代の情報誌からいかにデジタル時代の情報誌ができるか。マルチコンテンツガイドが、デジタル時代の新たな羅針盤になれば」
同研究所では広告代理店による広告利用なども想定し、一定の消費者層に響くキーワードを抽出する機能なども持つ。形としては出版社が広告代理店の上位になる姿勢。
背景にあるのはインターネットの情報爆発だ。
「コンテンツが爆発的にネットに流れる大きなパラダイムシフトが起きる。中心はネットフリックスの日本上陸だ。アメリカ最大手の動画配信が入ってくる。出版社からするとアマゾンが日本に上陸して電子書籍がどう変わったかを考えさせられる」
NHKがネット同時配信を始めるなど、ネットとテレビの境界はますますあいまいになる。「テレビだけではなく、ネットにあふれているコンテンツから見たいものにたどりつけない。何がいちばん人気があるのか分かりにくい状況が生まれてくる」と角川会長。
たしかにテレビとニコニコを同じくらいよく見ている若者にとって、ネットもテレビもコンテンツの意味では価値が等しいものなのだ。
余談だが、発表会に美しいピアノ曲が流れていた。それは1981年上映のフランス映画『ディーバ』テーマソングで、私の大好きな曲なので「ほんと良い曲だよね」とツイッターにつぶやいた。今思えばあのツイートも30秒単位で解析され、人気曲ランキングに反映されるのだ。
ふしぎな気分だが、リアルタイム時代のランキングとはそういうことだ。情報誌、メディアもリアルタイム時代に合わせて変化していく必要があるということのだろう。
写真:編集部
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