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初の本体色ゴールド、感圧パッドの驚き 極薄MacBook 12インチRetina実機レビュー

2015年03月10日 19時30分更新

MacBook 12インチ Retina最速レビュー
左から、ゴールド、スペースグレイ、シルバー。ゴールドは、iPhone6 Plusをはじめて見た時のような衝撃。これだけ大きな面積だと、本当に"ゴールド!!"という印象。周囲の男性記者はスペースグレイを推す声が多く、一方、女性記者はゴールドを指名することも。昨晩のニコニコ生放送でもシルバー:ブラック:ゴールドの比率は4:3:2でゴールドは意外と人気は高い。

 待望のRetinaディスプレイを搭載したMacBook 12インチ Retina(以下MacBook)。
 深夜の発表会中継を見てすでに色々な意見が語られているように、これは率直に言って好みが分かれるマシンだ。外観を極薄に仕上げただけではなく、まだ誰も触ったことのないテクノロジーを盛り込み、Airのコンセプトを一層洗練させ、さらに仕様を極端に振ることで個性化させているからだ。

 それを素直にとらえて「いまのMacBook Airの進化系」と考えると、いくつかの面ではAirがもっていた"オールマイティさ"の欠如がどうしても目につく。
 ただ、製品の特性としては、どちらかといえば、MacBookが競合するのはiPad Airなどの10インチタブレットが片足を突っ込んでる、ライトなクリエイティブワーク向けのマーケットではないか?僕はそう思っている。
 iPad Airのような「軽くて画面が綺麗で長時間バッテリーがもつコンピューター」に足りない要素を補完して、一定の生産性も持たせたのが、久々の単独ネーミングが復活した新生MacBookの隠れた本質だと僕は思う。

■羽のような軽さ、待望のRetinaの精細感

MacBook 12インチ Retina最速レビュー
照明が電球色で少しそちらに色が寄っている感はあるものの、目視でも相当に金色。さすがにこれは派手だと感じる人もいそうだ。

 MacBookは920gという軽さを大きく打ち出している。実際、酸化アルミの高剛性なボディをもつノートと考えると、驚くほどの軽さが確かにある。一方で、12インチというサイズからは「あれ?」と思うほど小さい。薄いではなく、幅が物理的に小さい。

 改めてボディーサイズを考えると、MacBook Air 11インチが幅30センチなのに対し、MacBookは幅が2センチ近く狭い28.05センチ。ついこの間まで最小のノート型Macだった11インチAirよりコンパクトなのに、画面はむしろより大きい。これがまるで騙し絵のような異次元空間を発生させている。

 そのカラクリはご想像のとおり、MacBook Proシリーズのような細いベゼルのおかげだ。2304×1440ドット(226ppi)液晶画面のクリスピーな精細感の高さは、サイズ感もあいまってiPad Airの雰囲気を彷彿とさせる。ただし、ppi(ピクセル密度)としては実は13インチPro Retinaの227ppiとほぼ同じ。iPad Airは264ppiなので、実際はもう少し細かい。

 ちなみに、ディスプレイの実質解像度は、最大で1440×900ドット相当。つまり、表示できる情報量としては13インチのMacBook Airと同じということになる。

MacBook 12インチ Retina最速レビュー
MacBookのディスプレイオプション画面。最もスペースを広げた場合でも1440×900ドット。情報量は13インチAirと同じでも、もちろん書体などの美しさは別物だ。
MacBook 12インチ Retina最速レビュー
システムプロファイラでスペック表示をしたところ。プロセッサ名としてCore Mが表示されている。なお、MacBookのCTO最上位にあたる動作クロック1.3GHzのCPUは、現在インテルの公式ラインナップには入っていない。アップル向けのカスタム品か、特殊な選別品は現時点では不明。

■Taptic Engine内蔵タッチパッドは"信じられないほど自然"だった

MacBook 12インチ Retina最速レビュー
見た目の印象は、タッチパッドが広いということ。表面の質感は従来と変わらないが、物理的なストローク機構がなくなっている。

 ノートPCとして考えるときに大事な「タッチパッド」と「キーボード」はまったく想像とは違った。
 まず良い意味で裏切られたのがタッチパッド。発表イベント中継でわかったのは、

・どうやら物理的なストロークがないらしい
・Apple Watchと同じ、Taptic Engineテクノロジーを内蔵し、擬似的にクリック感を創り出すらしい
・圧力を認識で、”強クリック”という新しい操作ができる

 というもの。

 実際に触ってみると、この感触は意外やまったく自然で驚いた。実際にハンズオン会場でも、「本当はストロークしていない」というのが信じられず、何度も試すプレスがいたほど。僕もご多聞に漏れず同じことをやってしまった。
 ちなみに、通常のクリック程度に押し込むと「カチッ」というクリック感(実際はTaptic Engineが震えている)があり、さらにぐっと押し込むと、感覚的には少し深い位置に「カチッ」と2回目のクリック感(これも擬似的なもの)がある。

 タッチパッドに物理的なストロークがないことは、タッチパッド上で二本指で交互にタップを繰り返してみるとわかる。Taptic Engineがついてこれないほどの速さで叩くと、パッド面がストロークしていないことがわかる。
 逆にいえば、それくらいイジワルなことをしないとわからないほど自然ということだ。

 圧力は通常のクリック、強クリック以外にもリニアに検知できるようで、動画再生時の早送り速度を押す圧力に応じて変速させるデモも体験できた。早送りの様子は下記動画をどうぞ。

MacBook 12インチ Retina最速レビュー
設定画面中の"クリックの強さ"や"強クリックと触覚機能のフィードバック"は感圧タッチトラックパッド搭載機種のみに表示されるオプション。項目が増えているほか、設定画面そのものも通常のYosemiteとは異なっている。

■キーボードはピッチはOK、一方、キーストロークは味わったことのないショートストローク

MacBook 12インチ Retina最速レビュー
側面から見たところ。キーボード面の飛びだしがほぼないことがわかる。他メーカーでは液晶が開くのに合わせてキーが迫り出すような機構を持つノートPCもあるが、MacBookは見た目そのままの超ショートストローク。

 11インチより狭いボディにフルサイズ相当のキーを詰め込んだ代償で、キーとキーの間のピッチが多少犠牲になっている。ただし、この点はまったく問題なかった。

 一方、ストロークの短さは、使う人がどこまで許容できるか次第。過去のWindowsノートで極小ストロークの機種はいくつか触ってきたけれど、MacBookのストロークの短さは、間違いなく自分至上最短のショートストロークだ。
 ユニボディならではの、アルミ板に張り付いてるかのような剛性の高さのおかげで小気味良いキレ感はあるものの、常用しているMacBook Pro 15 Retinaなどに比べると、あまりにも短いストロークなのでどうしても違和感はある。
 キーピッチがしっかり確保されているので、そのうち慣れるだろうと想像はできるけれど、実質数分のハンズオンでは、僕にとっては"好き"とか"快適"まではならない、そんな感じだ。

MacBook 12インチ Retina最速レビュー

 冒頭に"競合するのはMacBook AirではなくてiPadだ"と書いたのは、こういう非常に割り切った製品だからだ。
 ある程度なんでもこなせてしまう、今のMacBook Airをイメージすると、明らかに向いてる先が異なる製品。

 でも、サブノートと呼ばれるジャンルは、本来こういうトレードオフを伴うものだったはずだ。

 外部ポートがUSB3.1 Type -Cひとつしかない、というのは、思い切ったことをするなぁという感想はやっぱりある。充電しながらUSB機器や外部モニターを使うには、純正USB Type-Cアクセサリーなりが必要になるわけだから。

 他方で、文字入力やプレゼン資料作成程度の軽めの生産性のためにiPad Airにキーボードを付け、アプリも工夫して組みわせて使っているような人なら、外部ポートの数は気にならないだろうし(iPadにはそもそも、ほぼ何も繋がらない)、MacBookは気楽な持ち運びと、快適な生産性をもつ製品になるはずだ。

 この判断を単純にはさせてくれないのが、重要な判断材料である価格設定にある。

■税込16万円の強気な価格設定をどう見るか?

 スタート価格の14万8800円は税別表記なので、消費税込み金額は16万円を微妙に超えてくる。これがもし、MacBook Airの11インチと13インチの間にあたる税抜き12万円とは言わないまでも、13インチと同程度だったら......迷うことなく買う!という人は結構いそうだ。

 それが、はっきりとアップルの強気を感じる価格設定で、かつブランド的にもAir系ではなくエントリーラインの印象が強い"MacBook"なので、より悩ましいという感想をもってしまう。

 とはいうものの、ハンズオンでわかることはその製品の魅力や弱点も含めて、ごく一部にすぎないのも事実だ。
 実際、CPUにCore Mを採用して性能とトレードオフで得たファンレスの良さは、今日の慌ただしい試用では少しも味わうことが叶わなかった。わかったのは、「普通にブラウザーを扱う程度ならモタつきは全く感じない。意外と快適」という当たり前のこと。

 MacBookの用途の中で、本当に端子が足りずに困るのかどうか? この疑問も、クラウド中心の"MacBookのある生活"をしてみると、"これはこれで潔い"と思えるかもしれない。

 このあたりは、後日腰を落ち着けて使える機会が来たら、改めてレポートしてみたい。

MacBook 12インチ Retina最速レビュー
スペースグレイ。以前から、初期の広報画像で暗めに撮っている場合があり「グレー登場か?」と思われたことが何度かあった。今回こそは本物。PowerBookアルミ時代から続くシルバーが見慣れたせいもあり、精悍な印象。かなり、気に入りました。
MacBook 12インチ Retina最速レビュー
一方のゴールド。実際の雰囲気にかなり近く撮れているカット。ハンズオン会場は暗かったが、これが明るいアップルストア店内やプレミアムリセラーではどう映るか。なお、イヤホンジャックの隣に2つ並んだ小さな穴はデュアルマイクとのこと。
MacBook 12インチ Retina最速レビュー
左側面は、話題の唯一の拡張端子にして充電コネクターを兼ねる、USB 3.1 Type-Cコネクターがある。実機がないので推測ではあるものの、Magsafe採用以降のアップル製品としては久々の純正以外の充電器が使える製品ということになるのかもしれない。
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