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なぜ日本はシリコンバレーよりロンドンに学ぶべきなのか スタートアップTechCityが理想的すぎる

2015年03月05日 10時30分更新

 シリコンバレーとは異なる生態系が育まれているロンドンのスタートアップが集まる地域“TechCity(テックシティ)”。TechCityと日本の企業をつなげるイベントが、2015年3月4日に英国大使館で開催された。トーマツベンチャーサポートのエンターテイメントテクノロジーセクター事業統括の上森久之氏によるTechCityの現状についての紹介では、ロンドンで成長するスタートアップのエコシステムの特徴が説明された。

TechCity

 ロンドン中心部など広範囲に渡っているTechCityのスタートアップ企業群。2008年は10社ほどだったが、2014年には1300社を超えるようになった。もともとは画家やアーティストのためにあった賃料の安い地域を、ITのスタートアップも利用するようになったのがきっかけで始まった。シリコンバレーとの大きな違いは、地域の既存産業とうまく融合しているところ。ロンドンのスタートアップが金融に強いと言われるのも、長い歴史のある金融街・シティーがあるという理由からだ。

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 TechCityではそれぞれの産業分野で縦割りのように大企業、ベンチャー、スタートアップがいて、その縦割りの中に各産業に強い投資家やアクセラレーター、インキュベーター、専門家のようなプレーヤーも存在している。ファッション、eコマース、ヘルスケア、音楽、ゲーム、フードとそれぞれの分野でスタートアップと既存産業との融合がなされている。既存の大企業がスタートアップを育成、資金提供するアクセラレータープログラムも存在する。

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 英国政府とロンドン市も、積極的に法人税を下げ、投資家向けの減税措置、スタートアップ向けの無料オフィス提供をするなどサポート体制も整っている。今回のイベントをサポートしていた“UK Trade & Investment”も、スタートアップをサポートする機関だ。プロモーションをする機関や、人材のマッチング機関も存在すると、トーマツ上森氏。ロンドン五輪のときに行なわれたTechCityの取り組みでは、多くの選手や観光客のためにつくられた施設を、五輪後にスタートアップが活用したという。それを2020年の東京五輪でも行ない、スタートアップとの融合をつくっていきたいと説明を締めた。

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 シリコンバレーが強力なテクノロジースタートアップにより急発展したのに対して、既存企業との融合で成長しているロンドンのスタートアップ。既存の大企業がまだまだ存在感をもつ日本が見習うべき姿はロンドンにあるのではないだろうか。

 また、このイベントでは、ロンドンでUK Trade & Investmentが集めたスタートアップ企業とスカイプをつなぎ、現地から自社サービスを紹介した。その中でも注目のサービスを2つ取り上げたい。

『Netduma』はオンラインゲーム専用のルーター向けソフトウェアだ。オンラインゲームでは最大の問題となる、ネットの遅延“ラグ”を解消するソフトウェアだ。EU外の価格は200ドル。2014年12月の発売開始後、6週間で25ヵ国で発売し、爆発的な人気となっているという。PCゲーム以外に、PS4やWii Uなどのコンソール機でも使え、『スマブラ』や『マリオカート』、『コール オブ デューティ』など人気オンラインゲームも対応している。気になる日本市場への進出は、翻訳やサポートなどを募集している段階だという。

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 すでに日本に進出を果たしている『Blippar』は、画像やポスター、製品のパッケージにスマホのカメラをかざすと、動画やSNSとの連携、ゲームなどインタラクティブな動作をするというアプリだ。既存のARを発展させたもので、プラットホームとしても使えるマーケティングツール。例えば、動画であれば時間帯によって観られる映像が変わる番組編成のような機能も利用できる。アプリ連携からブラウザーに飛ばせば、Eコマースにもつなげることができる。

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