1月に開催されたCES2015でインテルが発表した、第5世代Coreプロセッサーを皮切りに、春モデルのPCが続々と登場しています。
注目すべきは、2015年後半に登場するWindows 10を見据え、春モデルのPCがどのようなアプローチをとってきたのか、という点です。Windows 8時代には“2in1”ばかりに注目が集まりましたが、そのトレンドは微妙に変化しつつあります。
■PCは意外と売れている
2月12日にIDCが発表した2014年の国内PC市場調査結果では、前年比で1.5%減と、PC市場はわずかに縮小しています。Windows XPのサポート終了という特需があったにも関わらず、その反動により2014年後半の出荷が落ち込み、通年ではマイナスとなったようです。それでも各PCメーカーに共通しているのは、PC市場は意外に堅調である、という認識です。
個人用途を中心に、動画やSNSなどコンテンツの視聴用途では、タブレットや大型スマホへの置き換えが進んでいますが、そのタブレットを仕事に活用することを試みたものの、結局は普通のPCに戻ってしまった、という人も多いのではないでしょうか。
Windows 8時代には、タブレットとノートPCを統合した“2in1”が大きく注目を集め、いかに画期的な形状を実現するか、開発競争が起こりました。その流れは、2in1をOSとしてもサポートするWindows 10に続いていきます。
↑NECの『LaVie Hybrid ZERO』は、2in1モデルでも926gと超軽量。タブレット状態にして電車の中で新聞を読むなど、これまでのノートPCにはない使い方を提案している。iPadを別に持ち歩くより、カバンの総重量も軽くなる。 |
その一方で、昔ながらのクラムシェル型ノートPCにも、根強い人気を感じます。いまでは死後になりつつある“Ultrabook”という言葉を、もう一度復活させてもいいのではないかと思えるほどです。
↑レノボの新『ThinkPad X1 Carbon』は、従来型のキーボード、トラックポイント用の物理ボタンが復活。既存のThinkPadユーザーが求めるクラムシェル利用を改善した。2in1ではない、Ultrabookを求める人に打ってつけのPCだ。 |
■ごく一部のユーザーに刺さった新VAIO Z
2月16日には、新しい『VAIO Z』と『VAIO Canvas Z』が登場。ソニーから分離した“VAIO株”が設計した最初のノートPCとして、また久しぶりのフラグシップZシリーズの新モデルとして、大きな注目を集めました。
ただ、筆者が開発段階の新VAIO Zを見た時点で最初に気になったのは、外観からは何が凄いのか分からないという点です。天板が2つに折れ曲がる2in1構造はVAIO Fit Aシリーズと同じだからです。
↑新VAIO Zを後方から見た様子。VAIO Fit Aシリーズと見分けがつかないほど似ている。カフェなどで積極的にVAIO Zを自慢したいユーザーには不評だろう。 |
↑逆に「正面から見るとMacBook Proに似ているのでは」との声も。ただ、実機を見る限り、あまりそういった印象は受けなかった。 |
発表会では中身の凄さを強調し、冷却部品やキーボードなどを共同開発している国内パートナーの名前を挙げるなど、ソニー時代との違いをアピールしていましたが、全体的に新VAIO Zは外観で損をしている印象があります。いっそのこと、VAIOの代名詞でもあったパープルカラーのデザインを復活させ、原点回帰してもよかったのではないでしょうか。
しかもVAIO Zは、予想実売価格が約20万5200円~と高価格ゆえにユーザーからの要求レベルも非常に高いものがあります。発表会場にはノートPCを積極的に活用している記者が多く集まっていましたが、「パフォーマンス寄りなら15インチが良かった」、「(ウワサの)12インチ新MacBookのほうが魅力的」、「クラムシェルが欲しい。2in1は不要」といった不満の声もちらほらと聞こえてきました。
画面サイズについては、モバイルで主流といえる13インチ以外にも、15インチの4Kや11インチに挑戦しても良かったのではないでしょうか。
↑モバイルノートで人気の13インチクラスだが、現在では狭額縁を採用したデル『XPS13』のインパクトがすごい。店頭に並んでいても、つい2度見してしまうほどの個性がある。 |
もちろん、12インチ新MacBookはあくまでウワサに過ぎないものの、VAIO Zには、USB 3.1 Type-Cコネクターのような次世代インターフェイスの採用を期待する声もあったといえます。
そして今後数年間の利用を考えると、年内中に登場する新OS『Windows 10』がメインとなってくることが予想されます。Windows 10の最終的な姿は明らかになっていないとはいえ、発表にあたってWindows 10をどのように意識したのか、もう少し言及が欲しかったところです。
■なぜ赤いタイプカバーだけが売り切れるのか?
一方で日本マイクロソフトは、2月20日にSurface Pro 3についての新たなキャンペーンを発表。春の新入生、新社会人に向けて、キャッシュバックやタイプカバーのプレゼントを展開しています。
↑安価なCore i3モデルは対象外となっているものの、1万円のキャッシュバックは嬉しいところ。タイプカバーのプレゼントは全モデルが対象となっている。 |
ちょっと気になるのは、販売停止状態となっているレッド色のタイプカバーの行方です。マイクロソフトは各国語版のタイプカバーをひとつの工場で生産しており、その中でも日本でのみ売られる日本語版タイプカバーは、やや特殊な存在としなっています。
さらに日本で人気が高い色はビジネス向けのブラックやブルー。そのため、“日本語版”+“レッド”という、マイナーな組み合わせの需要を見積もるのが難しい状態とみられます。今後は販売再開の計画があるとのことから、新モデルの準備により生産を絞っているというわけではなさそうです。
山口健太さんのオフィシャルサイト
ななふぉ
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