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WiMAX2+のCAで帯域が1/3になる“使い放題”のWiMAXユーザーの行く先は

2015年02月21日 16時00分更新

 UQコミニュケーションズは2月20日から、栃木県真岡市でWiMAX2+のキャリアアグリゲーション(CA)を開始した。下り最大220Mbpsという高速化を実現する代償に、旧来のWiMAXサービスは1/3まで帯域が削減され、速度が低下することになる。また、新プランとなる“ギガ放題”もスタートし、4月からはこれまで「無制限」だったWiMAXサービスに対して、「3日間3GB」という制限が導入されるほか、月間7GBの通信制限のあるプランも追加される。これまで、WiMAXを自由に使っていたユーザーにとって、どういった影響があるだろうか。

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↑WiMAX2+のCAで、下りスループットで195Mbpsを達成した(モデルは美人時計の室伏真璃さん)。

 UQのWiMAX2+は下り最大110Mbpsのサービスで、2月19日には全国で2万局の基地局を設置。WiMAXと同等のサービスエリアとなっている。続いてUQが導入を進めるのが、CAと4×4MIMOによる2つの高速化サービスだ。CAは、2つの電波を束ねてひとつの電波とみなし、速度を高速化させる。4×4MIMOは、基地局と端末それぞれ4本ずつのアンテナを使って送受信し、速度を高速化させるというもの。

 いずれも下り最大220Mbpsを実現し、CAは真岡市を皮切りに順次全国へ拡大。4×4MIMOは3月の端末発売と同時に全国でスタートする。4×4MIMOはすでに全国の基地局が対応しており、端末の発売を待つばかり。CAは、UQが割り当てられた50MHz幅の周波数帯域のうちの20MHz幅を2波使うため、既存のWiMAX用の30MHz幅を巻き取って10MHz幅に削減する必要がある。

 真岡市はトラフィックが少なく、WiMAXの影響が少ないなどの特徴から選ばれた土地で、2月12日にCA対応を行なった。その後現在まで、WiMAXの低速化によるユーザーからの不満の声は見受けられず、ネットワーク的にも問題は発生していないという。今後、真岡市でのデータを参考に、全国に点在する同様のエリアからCA対応を進めていく考えだ。

 問題は東名阪などの都市部で、WiMAXユーザーが多く、いきなり低速化すると影響が大きい。そのため“タダ替えキャンペーン”を実施してWiMAX2+対応ルーターを提供することで、早期の移行を促していく。同社の野坂章雄社長は、「1年経たずに全国でCA対応させたい」考えだ。

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↑UQコミュニケーションズの野坂章雄社長。
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↑要海敏和・技術部門長兼ネットワーク技術部長。

 ユーザーの移行が進まない可能性はいくつかある。まず、料金プランが変更になる。これまでと同様に月間のデータ通信量の上限がない使い放題プランは“ギガ放題”となり、「UQ Flat ツープラスギガ放題」プランだと月額4380円になる。これまで、1年間の継続利用を前提とした「UQ Flat年間パスポート」だと月額3696円だったため、その点では値上げとなる。

 月額3696円の同額となるプランだと「UQ Flatツープラス」となり、こちらは月間通信量7GBの制限が発生する。そこでUQでは、“ギガ放題”の契約後最大3ヵ月間は月額3696円に割り引くことで、実際に7GB以上が必要かどうかを確認してもらうようにした。

 また、月単位でならプラン変更は自由に行なえるため、「来月は大容量が必要」という場合は、一時的に“ギガ放題”を選ぶという使い方も可能にした。

 もうひとつの制限は、「3日間の通信量が3GBに達すると、翌日にかけて速度を制限する」というもの。他の携帯事業者でも同様の制限はあり、野坂社長は「3GBに達したら制限する」と明言しており、他社のように「ネットワークの状況に応じて」といった注釈はなく、ある意味「平等に」制限をかける考え。

 ただし、制限する速度はゆるめで、「YouTubeの標準画質の映像が見られるレベル」は確保するとしている。ネットワークの利用状況に応じてこの制限速度は変動する模様で、制限がかかっても気付かない、という場合もありそうだ。

 この制限された速度が、ユーザーにとって我慢できるか、あるいは気付かないか、といった辺りが今後のUQの評価につながるだろう。野坂社長は、「実際は問題にはならないと考えている」と胸を張り、「ゆるやかな制限」に自信を見せる。

 しかし、同社の要海敏和・技術部門長兼ネットワーク技術部長も認めるとおり、CAや4×4MIMOの導入で高速化することで、制限に簡単に達してしまうユーザーも増える可能性がある。UQはもともと固定回線代わりの無線ブロードバンドとしてアピールしていたこともあり、今後4K映像配信が普及した場合にも制限が影響する可能性がある。

 要海氏は真岡市でスタートしたCAの動向を見つつ、さまざまな検討を行なっていく考えを示す。CAや4×4MIMOによってネットワーク効率を高めつつ高速化を図っているが、ユーザーの増加で「電波は今後苦しくなってくる」(要海氏)と見ており、さらなる技術的検討を行なっていくとしている。

 4×4MIMOは3月にも全国でスタートするが、真岡市からスタートするCAの全国展開のためにはWiMAXの巻き取りが必要になる。速度が低下するため、ユーザーへの影響が大きい部分だが、実際にCA対応した真岡市ではどの程度のレベルになっているのか。

 UQのテストでは、午後7時の段階でスループットは8Mbps程度。10MHz幅になるとはいえ、同時利用するユーザーが少なければこのレベルの速度は出るため、要海氏は、これをひとつの基準とすると語る。

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↑真岡市におけるWiMAXのスループット。
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↑こちらは2月20日の取材時点での速度。

 巻き取りによってユーザーがWiMAX2+に移行すると、WiMAXユーザーが必然的に減少する。現在は混雑している都市部でも余裕が出てくるため、このぐらいの速度が出せるぐらいまでユーザーが減少した段階でWiMAXを削減してCA化を図る構え。

 これを早期に実現するために、UQは積極的にWiMAXの巻き取りを進める。野坂社長は「1年以内」と期限を明言。要海氏は「技術(部門)の責務だと言われている」と話し、技術的にはこれを達成したい考え。そのためにはユーザーの移行も急務で、野坂社長は法人ユーザーにも積極的に移行を促すよう営業部門にハッパをかけているようだ。個人ユーザー向けには、下り最大40Mbpsに対して110Mbpsになるという高速化をアピールし、タダ替えなどのキャンペーンも利用しながら移行を促す。

 野坂社長は、基本的にはいきなりWiMAXの電波を削減することはしないとしつつ、「この時期にWiMAXを削減する、といった賑やかしはしたい」と強調。早期にCA化のめどを立て、最終的には一気に移行を進めていきたい考えだ。つまり、今後はWiMAXユーザーがWiMAX2+へと移行することは既定路線。WiMAXを自宅の固定回線代わりに利用しているユーザーは、何らかの対応を迫られることになりそうだ。

■関連サイト
UQコミュニケーションズ

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