マイクロソフトは毎年恒例となる最新研究開発説明会『2015TecnologyUpdate』を開催。日本マイクロソフトの最高技術責任者(CTO)であり、マイクロソフトディベロップメント代表取締役社長の加治佐俊一氏が登壇し、マイクロソフト・リサーチの研究開発事例を紹介した。
加治佐氏はまず、同社が昨年から掲げてきた“モバイルファースト”&“クラウドファースト”の意味を改めて解説。マイクロソフトが目指すのは過去ではなく革新であると強調した。また、これまで3年単位で考えられてきた開発チームの枠組みを外し、ナデラCEOのもと、新技術を最適なスピードで確実に取り入れながら、確実に進化していく企業になっていると話す。
現在は、まず“革新的”であること、さらにマイクロソフト製品にきちんと未来を見せることを使命とした、1000人ほどの博士号を持つ研究者が、マイクロソフトのために世界中で活躍しているという。また、オラクル、IBM、Adobe、DropBoxといった、従来は競合とされてきた企業ともパートナーシップを結び、積極的にクラウドビジネスを拡大していくほか、オープンソースとの連携、企業買収においても、今後、積極的に行なっていく一方、それらすべての活動を支えるために、信頼できるクラウドを提供していくことが最も重要であると語った。
また、技術開発としてBingの検索やキネクトの認識精度、機械学習の性能向上にも力をいれており、あらゆるOSで動作できるようマルチプラットフォームの開発も進めている。今年登場するMicrosoft Visual Studio2015ではAndroidのエミュレーターそのものが、デスクトップ上で動くようになるという。
発表会では、研究部門、マイクロソフト・リサーチの具体的な成果のひとつとして、キネクトを活用したナチュラルユーザーインタフェース『Handpose(ハンドポーズ)』を紹介した。これまでのキネクトは前にあるもののみを操作していたが、デプス(深度)センサー技術を向上させることで、詳細な指先の動きまでリアルタイムで認識できるようになってきたほか、バーチャルリアリティにも応用できるという。この進化しデプスセンサーをさまざまな製品のバックグラウンドで動かせるようになったことで、先日米国で発表したVR+ARヘッドマウントディスプレー『HoloLens』や、『Surface Hub』にも応用できている。
『RoomAlive』では、キネクトとプロジェクターを組み合わせることで、バーチャルリアリティの仮想環境をつくりだし、部屋全体を使ってゲームをしたり、壁紙を替えたり、雨を降らせたり、いたずらをしかけたりといった、さながらアニメ『サイコパス』に出てくる部屋を実現できるというもの。
日本のチームが開発しているアプリとして紹介されたのは、プレゼンシート作成サービス『Sway』。簡単に動画や写真をはめ込み、サーバーにUPすると自動的にハイセンスなプレゼンシートを完成させるというもの。現在ではウェブ版(英語)のみの提供となっているが、アプリ版(iOS)も日本で近日提供される予定。機能的にはウェブ版と同じで、スマホ上から簡単にプレゼンシートが完成する。デザインの変更も“スタイル変更”を選ぶだけで、一括変換できる点が魅力的だ。
最後に、マイクロソフトは2020年に向け、デバイスはスマホ、タブレット、ウェアラブル、組み込みシステムなどさまざまな端末に波及していくとし、さらに多言語の音声認識も力をいれていくと説明。その一環として、年内にもリアルタイムの通訳ツール『Skype Translate』のベータ版をリリースすることを明らかにした。
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