“KDDI ∞ Labo(ムゲンラボ)”の第7期メンバー5社が3ヵ月の成果を発表する“KDDI ∞ Labo 7th DemoDay”が2015年1月27日に東京・渋谷のヒカリエホールで行なわれた。ムゲンラボは、KDDIと大企業とがスタートアップ企業を支援するプログラムだ。7期は“パートナー連合プログラム”を開始し、ムゲンラボに賛同する企業が、メンターとして参加した。
5社ともに非常にレベルが高く、プレゼンデモは白熱。そんな中、最優秀賞に選ばれたのは、病院内の事務管理をスムーズにする院内SNSアプリ『Dr.JOY』だ。メッセンジャー、スケジュールの共有などが行なえる。医局でのバックオフィスの多さ、複雑化を解消し、アナログで非効率な医者の事務作業を減らして患者のための診察時間を増やそうと、課題解決のために現役の医師である石松宏章代表が作成した。来場者の投票で選ばれるオーディエンス賞とダブル受賞となった。
イベント当日にベータ版をリリースした。医師向けにアカウントが必要なサービスのため、一般には使えない。すでに3つの病院で採用が決定しており、将来的にはオープンに多くの病院で使えるように開放していく方向だという。
惜しくもオーディエンスの投票で2位だったのが、meleapの『HADO』というサービス。誰でも子供のころにやってみたと思った、カメハメ波や魔法を使って、モンスターを倒す体験ができる近未来型ゲームだ。スマホとウェアラブルデバイスを使い、実空間とバーチャルを融合したゲームを提供する。
スマートフォンをハコスコのようなデバイスで装着。ARで現実世界に現われたモンスター、または相手チームのクリスタルに対し、腕に取り付けたスマートウォッチでジャスチャー動作を検出、それにより技を繰り出して攻撃する。
代表の福田浩士氏はこれを“テクノスポーツ”と名付ける。サッカーや野球のようなアナログスポーツ、F1のようなモータースポーツ。その次は情報科学と結びついたテクノスポーツの市場ができるとする。2020年の東京五輪開催の年には、テクノスポーツの五輪を開催したいと壮大な目標を立てる。2015年4月にサービス開始予定で、すでに先行申し込みをウェブサイトで開始している。
そのほか『sakaseru』は、著名なフラワーデザイナーのつくった花を配達するウェブサービス。プレゼンした当日にサービスを開始。利用の流れは、まずデザイナーを選択、ヒアリングシートで好きな色など贈りたい相手に合わせた情報を送信。チャットでデザイナーと話し、オンリーワンの花を作成。あとは希望の時間と場所を指定して届けてもらえる。全国配送しているが、都内であれば、どんな場所でも指定すれば届けてくれる。
六本木で13年間花屋をやっている代表の西山祐介氏は「大切な人によろこんでもらえる。愛と思いを込めることでオンリーワンの贈り物になる」と、ぜひオーダーしてほしいと語る。生花とデザイナーを合わせた、今までになかったウェブサービスだろう。当日プレゼンでは会場で参加者がサービスを利用して奥さんに花を届けたり、参加者全員に花を一輪配ったりと粋な演出をした。
アドクオリティの『Ingram』はまったく新しい検索体験を提供する。スマートフォンのカメラで写したモノがなんなのか分析して、情報を取得してくれるサービスだ。今までの検索ではあらかじめ名前を知っていないとわからなかったものがわかるようになる。たとえば、テレビで芸能人の着ている服が何か知りたいとき、カメラで写すだけでメーカーや品名がわかるというもの。画像データは人工知能で学習データを蓄積。ユーザーの集合値でデータを学習、システムにフィードバックしていき、精度を高めていく。代表の松田総一氏は「検索の新たなスタンダードをつくっていきたい」と語る。ユーザーがデータを取得したあとの行動は、消費行動だけでなくさまざまなことが考えられるという。
『∞ブックス』は業界最安値で紙と電子書籍をつくれる自己出版サービス。出版された本はアマゾンで販売できる。テキストを書くだけで、ブログのようにワンボタンで出版が可能になる。今までコスト的につくれなかったニッチな眠れるコンテンツをカタチにしたいという。
また、ムゲンラボ8期のメンバーを募集開始。期限は2015年2月20日まで。パートナー企業のさらなる拡大、地方創生をテーマとする。スタートアップ企業の、さらなるビジネスマッチングの強化を狙い、時代に応じたものとつながっていきたいとしている。
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KDDI ∞ Labo
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