霞が関は5秒に1回のサイバー攻撃を受けている。日本の大手企業なら1日1000通の標的型メールが届いているのはザラだともいわれる。 12月初旬、そうしたリスクを象徴するニュースが報じられた。北朝鮮の金正恩第一書記をあつかったコメディー映画『インタビュー』が公開前にソニー・ピクチャーズから流出した。
当初は、北朝鮮とハッカー、エンタメ産業と米国政府という組み合わせから三面記事的な注目も集めたが、いまや米国の一般企業にとって他人事ではないシリアスな議論を巻き起こしている。機密文書やメールも流出したことから、ハリウッドの体質や個人のプライバシーなどへと波紋が広がっている。ところが、現実は、“水飲み場型攻撃”(標的型の攻撃のひとつ)などの基本的な事柄もあまり認知されていないことを認めざるを得ない。
日本は“ことばの壁”で守られているという議論もかつてはあったが、もはやインターネットによる国籍不明のサイバー攻撃はエスカレート。水面下での知的財産や企業秘密の流出は試算できない規模と深刻性を帯びているともいわれる。これは、個人・企業・国家の安全保障までひろがる問題であり、サイバー戦争は、いまや現実の戦争となったといえる。
角川インターネット講座 第13巻『仮想戦争の終わりサイバー戦争とセキュリティ』(慶応義塾大学院政策メディア・研究科教授 土屋 大洋監修)は、そうした時代の個人情報から国際社会の安全保障まで、インターネットに潜むリスクを徹底解説。すべての企業経営者、エンジニア、あらゆるジャンルの研究者までが視野に入れておくべき、サイバーセキュリティの実際をつかめる内容となっている。
『仮想戦争の終わりサイバー戦争とセキュリティ』
慶応義塾大学院政策メディア・研究科教授 土屋 大洋監修
第1部 変容するサイバーセキュリティ
序章 仮想戦争の終わり
第1章 サイバー攻撃と防御の基礎
第2章 制御システムのセキュリティ重要インフラの制御システムを狙うサイバー攻撃にいかに対処するか
第3章 サイバー攻撃の主体とサイバー防衛のための人材育成のあり方
第4章 サイバー犯罪とは何か その実態と対応
第5章 サイバーセキュリティと通信の秘密 第2部 サイバーセキュリティの国際安全保障
第6章 歴史的観点から見た戦前の日米情報戦
第7章 サイバー戦争と国際法
第8章 サイバー戦争とその抑止
第9章 サイバーセキュリティの国際連携と信頼醸成措置
著者は、監修の土屋大洋氏のほか、西本逸郎、新誠一、名和利男、坂明、四方光、林紘一郎、簑原俊洋、 橋本靖明、 河野桂子、川口貴久、小宮山功一朗、早貸淳子(※敬称略)といった第一人者たち。サイバーセキュリティの最新事情、企業が直面するであろうサイバー犯罪や国家的レベルのサイバー戦争、さらには戦前の日米情報戦まで、技術だけでは語れないこのテーマを深くそして分かりやすく掘り下げている。
なお、1月15日(木)には、この本の刊行を記念した角川インターネット講座THE SALONとして、『インターネット時代の安全保障~日常に潜むリスクと国家規模のサイバー戦争~』と題したリアル講座が開催される。開催概要は、以下のとおりとなっている。サイバーセキュリティの実際を知るよい機会であるととももに、具体的な対策を検討されている方にもお勧めしたい内容といえる。
角川インターネット講座『THE SALON』第3回
『インターネット時代の安全保障〜日常に潜むリスクと国家規模のサイバー戦争~』
【日 時】1月15日(木)18時~20時00分 受付開始(会場17:45)
【会 場】角川第3本社ビル9階(千代田区富士見1-8-19)
【参加費】10,000円(税込)
登壇:
土屋大洋 氏(慶応義塾大学院政策メディア・研究科教授)
西本 逸郎 氏(株式会社ラック取締役CTO(最高技術責任者)、専務取締役)
名和 利男 氏(サイバーディフェンス研究所理事、上級分析官(情報分析部部長))
小宮山 功一朗 氏(一般社団法人JPCERTコーディネーションセンターエンタープライズグループマネージャ兼国際部シニアアナリスト)
・総合司会
遠藤 諭(株式会社角川アスキー総合研究所)
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