インテルは開発コードネーム:Broadwellで知られる第5世代CoreファミリーをCES2015にて発表した。プロセスルールは14nmに微細化され、Core i7、i5、i3、Pentium、Celeronで展開する。なお、Broadwellコアを採用した14nm世代のCPUにおいては、COMPUTEX2014ですでにCore Mが発表されている。その後、IFA2014で詳細な型番が発表されたが、位置付けとしてはCore i3の下に属するYプロセッサー(超省電力プロセッサー)だった。
CES2015合わせではTDPが15Wと28WのUプロセッサー(省電力プロセッサー)の型番が明らかになった。今後、1月後半にはvPro対応のCore i7とi5が追加され、2015年中期(6月のCOMPUTEX2015合わせか?)には、TDP45W以上のパワフルなモバイル向け製品とデスクトップ向け製品が登場する予定だ。今回発表されたモデルの内蔵GPUはIris Graphics 6100、HD Graphics 6000/5500、PentiumとCeleronのHD Graphicsだったが、より3D性能が高いIris Pro Graphicsはそこまでおあずけとなる。
明らかになった第5世代CoreファミリーのUプロセッサーの型番
型番 | コア/スレッド | 動作クロック | L3キャッシュ | 内蔵GPU | GPU動作クロック | 対応メモリー | TDP |
i7-5557U | 2/4 | 3.1GHz、最大3.4GHz | 4MB | Iris Graphics 6100 | 300MHz、最大1.1GHz | LPDDR3-1866、DDR3L-1600 | 28W |
i7-5650U | 2/4 | 2.2GHz、最大3.2GHz | 4MB | HD Graphics 6000 | 300MHz、最大1GHz | LPDDR3-1866、DDR3L-1600 | 15W |
i7-5600U | 2/4 | 2.6GHz、最大3.2GHz | 4MB | HD Graphics 5500 | 300MHz、最大950MHz | LPDDR3-1600、DDR3L-1600 | 15W |
i7-5550U | 2/4 | 2GHz、最大3GHz | 4MB | HD Graphics 6000 | 300MHz、最大1GHz | LPDDR3-1866、DDR3L-1600 | 15W |
i7-5500U | 2/4 | 2.4GHz、最大3GHz | 4MB | HD Graphics 5500 | 300MHz、最大950MHz | LPDDR3-1600、DDR3L-1600 | 15W |
i5-5287U | 2/4 | 2.9GHz、最大3.3GHz | 3MB | Iris Graphics 6100 | 300MHz、最大1.1GHz | LPDDR3-1866、DDR3L-1600 | 28W |
i5-5257U | 2/4 | 2.7GHz、最大3.1GHz | 3MB | Iris Graphics 6100 | 300MHz、最大1.05GHz | LPDDR3-1866、DDR3L-1600 | 28W |
i5-5350U | 2/4 | 1.8GHz、最大2.9GHz | 3MB | HD Graphics 6000 | 300MHz、最大1GHz | LPDDR3-1866、DDR3L-1600 | 15W |
i5-5300U | 2/4 | 2.3GHz、最大2.9GHz | 3MB | HD Graphics 5500 | 300MHz、最大900MHz | LPDDR3-1600、DDR3L-1600 | 15W |
i5-5250U | 2/4 | 1.6GHz、最大2.7GHz | 3MB | HD Graphics 6000 | 300MHz、最大950MHz | LPDDR3-1866、DDR3L-1600 | 15W |
i5-5200U | 2/4 | 2.2GHz、最大2.7GHz | 3MB | HD Graphics 5500 | 300MHz、最大900MHz | LPDDR3-1600、DDR3L-1600 | 15W |
i3-5157U | 2/4 | 2.5GHz | 3MB | Iris Graphics 6100 | 300MHz、最大1GHz | LPDDR3-1866、DDR3L-1600 | 28W |
i3-5010U | 2/4 | 2.1GHz | 3MB | HD Graphics 5500 | 300MHz、最大800MHz | LPDDR3-1600、DDR3L-1600 | 15W |
i3-5005U | 2/4 | 2GHz | 3MB | HD Graphics 5500 | 300MHz、最大850MHz | LPDDR3-1600、DDR3L-1600 | 15W |
Pentium 3805U | 2/2 | 1.9GHz | 2MB | HD Graphics | 100MHz、最大800MHz | LPDDR3-1600、DDR3L-1600 | 15W |
Celeron 3755U | 2/2 | 1.7GHz | 2MB | HD Graphics | 100MHz、最大800MHz | LPDDR3-1600、DDR3L-1600 | 15W |
Celeron 3205U | 2/2 | 1.5GHz | 2MB | HD Graphics | 100MHz、最大800MHz | LPDDR3-1600、DDR3L-1600 | 15W |
TDPは2種類あり、15WシリーズではIntel HD Graphics 6000/5500/無印、28WシリーズではIntel Iris Graphics 6100を採用している。
第5世代Coreは第4世代Core(開発コードネーム;Haswell)と比べ、大幅にパワーアップしている。なお、Intel HD Graphics 5500を内蔵するCore i7-5600(第5世代Core)とIntel HD Graphics 4400を内蔵するCore i7-4600(第4世代Core)で比較した場合、3D性能は最大22%アップ、動画変換では最大50%高速化している。一方で、CPU性能(生産性)は4%アップにとどまり、22nmから14nmへ微細化してトランジスターの実装面積を省スペースにしたぶんをGPUの強化にあてたということだろう。なお、トランジスター数とダイサイズは第4世代Coreでは9.6億個で131平方mmだったのに対して、第5世代Coreでは13億個で82平方mmとなっている。
↑インテルのCPU内蔵GPUは2006年のCPU内蔵GPUと比べると第5世代では約100倍の性能にまでなったという。 |
↑Intel HD Graphics 6000とIris Graphics 6100を内蔵するモデルのダイデザイン。 |
↑右がIntel HD Graphics 6000とIris Graphics 6100を内蔵するモデル。左がIntel HD Graphics 5500を搭載するモデル。 |
また、Intel HD Graphics 6000とIris Graphics 6100はIntel HD Graphics 5500を搭載するモデルとは異なるダイデザインを採用している。トランジスター数は19億個、ダイサイズは133平方mmとなる。Intel HD Graphics 5500を内蔵するダイからちょうどEUが倍になっていると思われる。
Iris Graphics 6100もIntel HD Graphics 6000/5500もDirectX11.2に対応し、DirectX12に今後対応する見込み。4K出力に関してはワイヤレスで出せるようになる。また、利像コーデックはHEVCやVP8/9を新たにサポートし、高ビットレートな高圧縮動画の再生も可能。なお、高解像度動画の連続再生では前世代のCPUと比べて、最大で1.5時間長くバッテリー駆動で再生できる省電力さも特徴だ。
バッテリー駆動時間はi7-5600Uとi7-4600Uの比較においては、アイドル時で計測しても1時間増となる。
ちなみにインテルは第5世代Coreを搭載するPCから“ワイヤレス”をことさら強調しいる。従来のキー入力、マウスによるGUI操作、タッチ入力、音声コントロールに続き、これからのPCでは深度センサーで認識する3Dカメラによるジェスチャー操作が普及するという。
Intel RealSense Technologyがまさにそれで、Voice Assistantと呼ばれる音声操作も加え、第5世代Core搭載PCでは従来のPCにはないもっと自然で簡単な使い勝手を実現しようとしている。すでにRealSense TechnologyはIDF14で採用タブレット『Venue 8 7000』がお披露目されており、今後搭載機が増加するものと思われる。
また、“ワイヤレス”という意味ではIntel Wireless Display(WiDi)の進化やIntel Wireless Gigabit Dockingと呼ばれる高速無線技術に期待したい。
↑Voice Assistantは6言語に対応し、2015年1月にさらに4言語追加されるという。オンラインでもオフラインでも使え、iTunesやFacebookなどで使える。もちろんウェブ検索やPCの機能の呼び出しなども可能だ。 |
↑WiDiはv5.1を新たにリリース。Windows 7/8.1で使え、第5世代CoreとCore Mに最適化されている。DX9/11対応ゲームのフルスクリーン出力や最大4Kまでのワイヤレス表示をサポート。対応アダプターとしてActiontec Mini2(39.99ドル)を挙げている。 |
インテルは2010年のCore i5-520UM(開発コードネーム:Arrandale、TDP18W)搭載ノートPCとの比較も明らかにしている。第5世代のCore i5-5300U(TDP15W)は生産性で最大2.5倍アップし、バッテリー駆動時間は最大2倍に、起動時間は9倍高速化しているという。4年前に買ったPCが不調な方はいい買い換えタイミングとなりそうだ。
ちなみに、米国ではシェアが高いChromebookに関しても第5世代Coreは採用される。すでにエイサーがCES2015で発表している。
そのほか、第5世代Coreの話題で触れておきたいのは、PCHの機能。Atomeタブレットに採用されていたDynamic Power and Thermal Frameworkが組み込まれ、もちろんそのパラメーターはメーカーサイドに委ねられるはずだが、より賢い電力&温度管理で動くようになる。例えば、PCの表面温度が高くなったら動作クロックを落とすなどだ。
そして、Intel Smart Sound Technologyへの対応も新しいポイントと言える。音声起動(Wake on Voice)をサポートし、声紋分析を使ったパスワード要らずのセキュリティー管理が近い将来高い精度でできるようになるかもしれない。
無線LANチップも新たにIntel Wireless-AC 7265が登場する。IEEE802.11acに対応し、従来よりも15%高速。なおかつアイドル時は従来の半分の電力という省電力設計がウリだ。マイクロソフトのInstant Goにも対応する。
インテルはAtomを、マイクロソフトはWindowsを低価格化する形で、昨年の後半は多数の激安PCが発表された。しかし、それでもインターネットにつながるデバイスのシェアを大幅に拡大するためには、もっと大胆な戦略が必要だろう。超低価格な第5世代Core搭載モバイルノートPCの登場に期待したい。
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