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4K&G-SYNC搭載で8万円台のコスパ最強『XB280HKbprz』をレビュー

2014年11月12日 13時30分更新

XB280HKbprz

 NVIDIAのゲーマー向け液晶制御技術“G-SYNC”対応の液晶ディスプレーが日本国内ででもボチボチ出回り始めました。しかし、これまでの製品は27~28インチの大画面液晶を採用する一方、解像度がフルHD(1920×1080ドット)からWQHD(2560×1440ドット)止まりになっていました。

 けれども、これから液晶を買うなら絶対、高解像度の4K(3840×2160ドット)だと考えている人も多いはず。そんな人の前に日本エイサーが究極のG-SYNC対応液晶を発売しました。それが今回紹介する『XB280HKbprz』です。

XB280HKbprz
↑液晶パネルは28インチ3840×2160ドットのTNタイプ、ゲーマーをターゲットにしているので応答速度1ms(中間調)の高速なパネルを採用しています。既存のG-SYNC対応液晶と同様に、入力はDisplayPortが1系統のみですが、USB3.0のハブ機能も内蔵しています。
XB280HKbprz
↑左側面にもUSB3.0ポートがあり、背面のハブ機能に繋がっています。USBメモリーやヘッドセット等を使う時に便利でしょう。

 XB280HKbprzの一番の強みは何より価格。既存のG-SYNC液晶はフルHDのもので6万円前後、WQHDで9万円前後と妙に割高感がありました。G-SYNCのないプレーンな製品より3万円程度高い計算になります。しかしXB280HKbprzは実売価格8万2000円前後。27~28インチのTNパネルを使った4K液晶が6~7万円といった情勢を考えると「ちょっと予算上乗せしてもいいかな?」と考えたくなる価格設定です。

 低価格IPS液晶がこれだけ普及すると、XB280HKbprzが視野角の狭いTNパネルである事がひっかかる人も多いでしょう。確かに画面中心付近を見ると、上や下の方の色が濃く(薄く)なって見えますが、昔のTN液晶のように色味までは変化しません。液晶の上下位置調整や首振りが可能なスタンドを装備しているので、自分の姿勢に合ったベストポジションに合わせるのも簡単です。

XB280HKbprz
↑液晶そのものを90度回転させることもできます。4K等倍表示で週アスPlusを見ると、とんでもない情報量になります。

 G-SYNCの何が凄いかということについてはここ(リンク)で解説していますが、要は“画面の描画を液晶のタイミングに合わせるよりも、GPUの描画に合わせるようにすると画面のカクつきや描画遅延が減ってグレートさ!”というものです。

 ここでひとつ注意したいのはリフレッシュレートの仕様。既存のG-SYNC液晶は144Hz対応の製品だけでしたが、XB280HKbprzでは最高70Hzまで。素早い動きの分解能では144Hzの液晶の方が優れているので、一見するとXB280HKbprzの仕様はアレ? と感じるかもしれません。

 しかし、G-SYNCを使えば低フレームレート時でもそれなりに滑らかに見えるため、リフレッシュレート70Hz上限のXB280HKbprzの方がG-SYNC本来の持ち味を活かせる、と言えます。それに『ウォッチドッグス』クラスの描画の重いゲームを4K&高画質設定で動かそうとすると、GTX980を使っても平気で30fps台まで下がるため、4KでゲームをするにはG-SYNCはベストマッチといえるでしょう。低画質設定で4Kにしても有難みがありませんしね!

 G-SYNCを使うにはG-SYNCの必須条件、つまりGTX650Ti以上のグラボを搭載したPCとDisplayPortケーブルで接続するだけ。最新ドライバーを入れてあれば、標準でG-SYNCが有効になってます。あとはゲームをフルスクリーンで起動するだけ! 暗い部分を見やすくするような補正機能はありませんが、繋げば動く、という手軽さは最高です。

 ちなみに最近の4K液晶と同様に、XB280HKbprzもDisplayPort1.2のSST(Single Stream Mode)モードで転送し、4Kでリフレッシュレート60Hzの表示が可能です。今年初めに話題を呼んだ4K液晶のように、ディスプレー側で設定が必要なMST(Multi Stream Mode)は使いません。私は60Hz出力にはMSTが必要なデル『UP2414Q』を使っていますが、時々画面が乱れたり解像度が上手く選べないといったトラブルに悩まされますが、XB280HKbprzではそうした心配はなさそうです。

XB280HKbprz
↑OSD(メニュー)の構成はシンプル。輝度&コントラストとオーバードライブの度合いを確認すれば特に触れるべき設定はありません。
XB280HKbprz
↑本製品の機能“リフレッシュレートカウンター”を有効にすると、液晶のリフレッシュレートが画面左下にバーで表示されます。G-SYNCが効いていると、画面のFPSの増減に応じて上下に伸縮します。

 G-SYNCを効かせることでフレームレートの低いシーンでもティアリングやスタッタリングが消え、滑らかさでヌルヌルとした動きに。特にティアリングが消えると視認性も上がるので、フレームレートが上がったような錯覚すら覚えます。

 ただし、不満な点もいくつかあります。TN液晶であるのもその一つですが、G-SYNC制御回路の仕様からか、映像入力がDisplayPort1系統のみに限定されているのでサブPCやゲーム機と切り替えて使うことはできません。もちろん別に液晶を用意すれば済む話ですが、ゲーミングPC専用の28インチの液晶が机の上を占有するので、日本の住宅事情を考えるとちょっと使いづらいのは確かです。

 4K解像度で遊べるような強力なグラボを持っているかというのもハードルになりますが、別にゲームはフルHDで遊んで、広いデスクトップや文字の輪郭を美しくするために4Kを使う、という運用にするなら、GTX760クラスのグラボで十分間に合います。

 PCゲーム環境を改善するにはグラボの強化が一番ですが、GeForceユーザーならこのXB280HKbprzにすれば、画面の精細さと滑らかさが一気に手に入ります。ゲーマーを自認するなら一度は試してみるべき製品といえるでしょう。

●関連サイト
XB280HKbprz製品サイト

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