週刊アスキー

  • Facebookアイコン
  • Twitterアイコン
  • RSSフィード

ドコモは第2四半期も減収減益 セット割“ドコモ光”で巻き返しを狙う

2014年11月03日 14時00分更新

 ドコモは31日、2014年度第2四半期の決算を発表した。営業収益は前年同期比1.2%減の2兆1729億7600万円、営業利益は同15.5%減の3995億8600万円で減収減益。音声通話定額プランの導入による減収が響き、パケット通信料収入の増加やコスト削減効果を相殺した。

 同社の加藤薫社長は、「厳しい内容だがオペレーションの数字は改善傾向が続いている」と強調。しかし、通期予想を下方修正し、営業収益は1900億円減の4兆4000億円、営業利益は1200億円減の6300億円とした。

ドコモ 決算
↑ドコモの加藤薫社長。
ドコモ 決算
↑2014年度上期の決算概況。

 音声定額を含む新料金プランの契約数は943万契約で順調に増加。純増数は同約5倍となる119万件の契約となった。前年の不調に対して、iPhoneなどの導入が効果を発揮し、純増数を拡大した。新規販売数も同約7%増となる366万契約、解約率は0.24ポイント改善の0.62%など、各指標は改善傾向にある。

ドコモ 決算
↑主な財務指標。
ドコモ 決算
↑セグメント別では、本業が不調だが、スマートライフやそのほかの事業は伸びている。

 端末販売数も前年上期から今上期は5%増の1095万台となり、スマホ販売数も7%増の676万台、タブレットは同約60%増となる72万台に拡大した。スマホの利用数は2640万契約にまで達し、LTE対応端末の比率も87%となった。LTE契約数は前年同期から1000万近い増加となる2622万契約となった。さらに、VoLTE対応機種は8機種合計で約130万台に達したという。

ドコモ 決算
↑新料金プランは1000万契約を突破。
ドコモ 決算
↑純増数は大幅に増加。
ドコモ 決算
↑MNPは改善傾向。
ドコモ 決算
↑パケット収入増につながるスマホ比率は順調に増加。
ドコモ 決算
↑LTE契約数も拡大。VoLTE対応端末は130万台に。
ドコモ 決算
↑ネットワークでは、LTE基地局の設置は計画通りに進捗。

 こうした数字は好調で、パケット収入は前期に比べて311億円増加。新領域と呼ばれるサービスなどの収入も355億円増、端末販売収入も424億円増となったが、月々サポートが同809億円減、さらに音声収入も542億円減となり、増収分を吹き飛ばした。端末販売数の増加により端末販売費用などの営業費用も476億円増加し、結果として大幅な減益となった。

ドコモ 決算
↑パケット通信や新領域収入は伸びたが、音声収入が大きく下がって利益を押し下げた。

 本業のモバイル通信事業が減収減益となる中、“dマーケット”などの新領域事業は、年間目標7700億円の売上に対して順調に推移しており、今上期は前年同期比13%増の3630億円となった。“dマーケット”の取扱高も同30%増の346億円となり、“dマガジン”、“dヒッツ”、“dアニメストア”など、順調に拡大している。

ドコモ 決算
ドコモ 決算
↑dマーケットをはじめとする新領域は計画通りに拡大。

 通期予想の下方修正は、とくに音声定額の“カケホーダイ”が大きく影響した。当初予想に対して1200億円の減益要因となっており、さらに端末販売の収支が600億円の減益となり、500億円というコスト削減を実施してもまかないきれないと判断した。

ドコモ 決算
ドコモ 決算
↑新料金プランの影響が大きく、通期予想を下方修正。

 音声定額は、これまで通話料が大きかったユーザーが当初移行することで、減収になることはもともと織り込み済みだった。しかし、サービス開始当初の6月だけで470万弱が新料金プランに移行し、「予想外だった」(加藤社長)という。ドコモとしては、「もう少し検討してから移行する」(同)と考えていたようで、大量の音声利用者が一気に移行したことで、収益が予想以上に悪化した。

 ただ、音声定額で大きく収益が悪化するのは、音声を多く利用するユーザーが移行するためで、そうしたユーザーが上期に一気に移行したため、9〜10月をピークに収益へのインパクトは小さくなると予想。「来年度には黒字化する」(同)と見る。

ドコモ 決算
↑新料金プランの影響は順次減少していく。

 新料金プランは、音声定額と複数のパケットパックから選択するかたちで、もともと「パケット収入の増大が狙い」(同)だった。トラフィックは前上期から1.5倍になり、順調に増加している。

 音声通話が多いユーザーほど、新料金プランを選択すると毎月の利用料は減少するため、ドコモとしては減収要因となる。しかし、その後利用率の低いユーザーが新料金プランに移行することで、減収幅が小さくなってきている。さらに、新料金プランによってパケット利用が増えるユーザーが増加しており、今後は収益が改善するとしている。

ドコモ 決算
↑パケット利用は順調に増大。
ドコモ 決算
↑新料金プラン以降による減収幅は縮小していく。

 減収減益となった上期に対して、その傾向は下期も継続する見込みだが、下期は重点施策で収益の改善を図りたい考え。とくに、NTT東西が予定している光回線の卸を受けて、固定回線と携帯回線のセット割“ドコモ光”を導入する計画。

ドコモ 決算
↑NTT東西の光卸を活用した“ドコモ光”を予告。
ドコモ 決算
ドコモ 決算
↑ドコモが固定、携帯回線、ISPを一貫して提供する。ISPは、他社も参加可能だという。
ドコモ 決算
↑携帯の新料金プランとセットでおトクになるサービス。

 ドコモ光は、携帯の新料金プランとセットで料金を割り引くサービスで、ドコモがNTT東西から回線を借り受け、携帯回線とISPをセットで販売する。携帯のシェアパックやパケットパックが高額なユーザーほど、光回線の追加料金が安く抑えられる、という形になるという。

 従来、KDDIが“auスマートバリュー”として固定と携帯のセット割を提供しているが、これはau携帯契約者が固定回線を導入する際に、月額料金を一定額割り引くが、“ドコモ光”は、携帯料金に対して「固定回線の追加料金を安くする」という考え方になっている。

 一体型料金で、ドコモが固定から携帯までワンストップで提供できるため、「簡単、便利でリーズナブル」(同)という料金プランになる見込み。2015年2月から提供を開始する予定だ。

 コスト削減もさらに進め、500億円規模の削減を行い、当初目標の年間55億円に対して1050億円のコストを削減する。

 こうした取り組みを行って下期を乗り切るとともに、2017年度までに利益を回復させ、営業利益は2013年度の水準以上にするのが目標。新領域事業は1000億円以上の利益を目指し、コスト削減も2013年度比で4000億円以上を削っていく。

ドコモ 決算
↑2017年度までの中期目標。

 加藤社長は、「今年は成長の礎を築く年と言ってきた」と話し、その“骨格”である新料金プランと、新たに開始する“ドコモ光”という2つの軸をベースに、「長期利用者や家族のユーザーを大切にし、ドコモを選んでもらい、使い続けてもらうことで競争ステージを変える」(同)ことを目指す。2017年度まで、「ドコモの真価が問われる3年間」(同)として、業績回復を図っていきたい考えだ。

●関連サイト
ドコモ 決算短信ページ

この記事をシェアしよう

週刊アスキーの最新情報を購読しよう

本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります