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秋葉原をハードウェア スタートアップの聖地に!モノづくりの”秘密基地”DMM.make AKIBAとは?

2014年10月31日 10時30分更新

 ハードウェア・スタートアップのための開発・検証施設”DMM.make AKIBA”(ディーエムエムドットメイク アキバ)が秋葉原に開設される。総額約5億円の最新鋭機材を導入し、スタートアップや起業志望者に開放。開設は11月11日から。利用者の募集開始は10月31日より。

 入居企業第1弾としてABBALab、Cerevoが10月31日に移転し、DMM.make AKIBAと共同でハードウェア・スタートアップ支援を行う。
 開発環境の提供だけでなく、資金提供の相談や技術ノウハウの提供により、DMM.make AKIBAはハードウェア開発に必要な環境すべてをトータルで提供する、日本のものづくりにおける開発プラットフォームを目指す。

 同施設では初期費用キャンペーンとして、正式オープン前に事前申し込みを行うと初期費用および1月までの月額料金が無料となる。ハードウェア・ガジェットなどのものづくりを志す学生や起業家、つくりたいものがある人は必見だ。
 

AKIBAをハードウェア・スタートアップの聖地に 秋葉原に開設される”秘密基地”とは?

 DMM.make AKIBAは、ハードウェアの開発から、環境試験、量産試作、小ロット量産までを行なう「DMM.make AKIBA Studio」、シェアオフィスやイベントスペースを提供する「DMM.make AKIBA Base」、開発のコンサルティングを行なう「DMM.make AKIBA Hub」で構成された、ハードウェア・スタートアップが製品を開発するために必要な全てを備えた開発拠点。

 一部の機材については利用者講習での合格が必要だが、約150点、総額5億円規模の設備は、DMM.make AKIBAの会員なら自由に使うことができる。

AKIBAをハードウェア・スタートアップの聖地に 秋葉原に開設される”秘密基地”とは?
↑10階開発拠点の壁を張り巡らされたエアコンプレッサの配管

■量産を前提とした試作開発環境を用意

 ハードウェアの開発には、試作開発はもちろん、量産を前提とした設計や各種認証取得、品質を高める環境試験といった工程が必要不可欠。だが各種機器は高価で購入が難しく、スタートアップ最大の武器であるスピード感を大きく損なう結果となっていた。

 DMM.make AKIBAでは、3DプリンタやCNC(コンピュータ数値制御工作機械)、3D CADといった最新の開発機材に加え、熱衝撃や恒温恒湿、荷重破壊、水圧試験などの各種試験機、技術基準適合やHDMIの試験が行える試験機など、量産を目的としたハードウェア開発に必要なありとあらゆる機材を備えている。

AKIBAをハードウェア・スタートアップの聖地に 秋葉原に開設される”秘密基地”とは?

 さらに開発者のためのオフィススペースも提供。登記や所在表記、郵便受取などの法人業務にも対応するほか、各種イベント・セミナー用スペースもあり、自社製品セミナーや新製品発表会、懇親会など幅広い用途で利用することが可能だ。

■アキバをハードウェア・スタートアップの聖地に

 DMM.make AKIBAへの入居企業第1弾となるのは、ABBALabとCerevoだ。DMM.comと3社共同で始まるハードウェア・スタートアップ支援について話を聞いた。

 Cerevoは、導入機材の技術監修のほか、電子機器関連の設備をDMM.comと共同で運営する。また、DMM.make AKIBA利用者に向けて、Cerevoがこれまで培ってきたハードウェア開発のノウハウ提供を行う。

 ABBALabは、IoT(モノのインターネット)ハードウェア分野のスタートアップ企業やエンジニア向けに支援プログラム「ABBALab Farmプログラム」を提供する。
 プログラムの対象となった企業やエンジニアには、製品のプロトタイピングや適量生産モデルの開発など、そのフェーズに応じて必要な資金、活動拠点、スキル教育に関する支援を行う。この他、製品プロモーションを目的としたデモイベントの運営や大量生産時におけるメジャーメーカーとのアライアンスなどもサポートする。

AKIBAをハードウェア・スタートアップの聖地に 秋葉原に開設される”秘密基地”とは?
↑10階開発拠点の全景


■モノを作るプラットホームになりたい

 DMM.com 3Dプリント事業部 企画営業プロデューサーの吉田賢造氏は、「企画の軸は、モノを作るプラットホームになりたい」と語る。これまで「DMM 3Dプリント」、ハードウェア開発情報コミュニティ「DMM.make」など、ハードウェア・スタートアップのムーブメント支援をしてきた延長線上にDMM.make AKIBAはある。
 DMM.comが運営主体として、機材やスタッフなどの施設提供を行っているほか、製作のノウハウはCerevoが、スタートアップの立ち上げ資金をABBALabが担う。

AKIBAをハードウェア・スタートアップの聖地に 秋葉原に開設される”秘密基地”とは?
↑10階開発拠点の恒温槽

 ウェブのスタートアップは参入障壁が低いゆえに広がったが、簡単過ぎたゆえにレッドオーシャンだと語るのは、Cerevoの岩佐琢磨代表取締役CEO。限られたパイの食い合いのなかで、日本の産業を成長させるカギがハードウェア・スタートアップだという。

 国内のスタートアップは投資資金の動きも活発だが、ハードウェア・スタートアップにはさらにノウハウや機器が必要だと岩佐氏は訴える。「リスクマネーの投下だけでなく、ハードルを下げて機器を使えるようにした。そもそも海外ではシリコンバレーや中国などが普通にやっていること。ただし、使い方・設定はノウハウが必要。そこをサポートすれば、いいスタートアップができる」(岩佐氏)

 施設をつくるうえで、「できない」という言い訳をなくすのがテーマだという。「ものをつくりたい人が必要なものをすべて用意しようというのがコンセプト。必要なものは全部リスト化した。ほぼ秘密基地という規模感で、本物の機材がそろう場所。エアコンプレッサーから最新の工場で使われているもので、すべてが最新の設備。本格的にハードをゼロからものづくりができる設備そろっている。」(岩佐氏)

 秋葉原という場所については、アキバをハードウェアスタートアップの聖地として、なるべく集積したいという思いがあるという。「僕らも積極的に出て行って、ハブ役としてみなさんをつなげていければいい」(岩佐氏)


■こだわっているのは”量産試作品”

 また、DMM.make AKIBAがこだわっているのは、”量産試作品”という言葉だ。通常の試作品とは別で、量産を前提としたものづくりが意識されている。これまでなら試作品に終わったアイデアでも、小ロットでも作れればクラウドファンディングなどでの可能性が広がる。

 インターネットで起業した人は、次は必ずIoTハードウェアに来るはずだとして、そのような起業家の受け皿になりたいと語るのは、ABBALabの小笠原治代表取締役。
 「日本から出たクラウドファンディングは、かなりいいものだという状況を世界的に作りたい。ロードマップとしては、時間がかかる想定。分野に特化して売れるものを作りたいが、1年くらいは実績が出るのは難しいだろう。まずはCerevoの新商品を期待」(小笠原氏)

 DMM.comではハードウェア・スタートアップが2020年に向けて最も急激に成長する市場と見込んでいる。海外ではハードウェア・スタートアップでのクラウドファンディングが活発だが、DMM.make AKIBA発でも多数の商品が新たに生まれることに期待したい。

AKIBAをハードウェア・スタートアップの聖地に 秋葉原に開設される”秘密基地”とは?

以下はプレスリリースの詳細。

■設備概要
◇DMM.make AKIBA Studio(624.57平方m)
 電子工作、メカ工作から量産試作品の開発・検証にはじまり、PSE・EMC・技適等の各種認証向けプリテストまで、ハードウェア開発に必要な設備を集約した開発拠点です。本施設内の各種設備を活用することで、設計・開発・評価・小ロット量産までを1拠点で行なうことができ、スタートアップにとって最重要ともいえる開発期間を大幅に短縮することが可能となります。
 専属スタッフも常駐し、操作に一定の知識や技術が必要な設備についてはスタッフがサポートします。また、操作に関するワークショップを受講しライセンスを取得することで、当該設備を利用者自身が操作することも可能です。
◇DMM.make AKIBA Base(1,134平方m)
 ハードウェア開発に必要なオフィススペースやイベントスペースを提供するビジネスの拠点です。オフィススペースは最大80名程度が同時に利用できるフリーアドレスエリアのほか、3名以上を対象とした個室エリアも提供。フリーアドレスエリアは情報交換のためのコミュニケーションの場としても機能します。また、個室を利用することで機密性の高い開発中のハードウェアを適切に管理できます。フリーアドレスエリア、個室エリアともに法人登記や所在表記、郵便受け取りに対応します。
 イベントスペースは約60名が着席できるスペースとプロジェクターを完備。セミナーや新製品発表会などを開催することができます。イベントスペースにはバーカウンターを備え、飲食を交えたコミュニケーションの場としても活用できます。正式オープン後には、スペース内で飲食を提供するサービスも予定しております。
◇DMM.make AKIBA Hub(354.15平方m)
 オリジナルのハードウェアを開発・販売するにあたって相談をしたい、という利用者向けにコンサルティングを行なう窓口です。DMM.make AKIBA StudioおよびDMM 3Dプリント設備を活用した造形コンサルティング、部品選定や工場選定などの製造コンサルティング、プロトタイピング資金や起業資金の調達相談など、ハードウェアビジネスを展開するために必要なノウハウを利用者へ提供します。

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DMM.make AKIBA料金体系

■関連サイト
DMM.make AKIBA
ABBALab
Cerevo

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