事件です。肌寒くなってほんのり人恋しさを感じる9月。秋葉原某所でこんなイベントがありました。その名も『iBeacon恋活パーティー』。
■iBeacon恋活パーティーとはなんぞや
iBeaconというとiPhoneのBluetooth Low Energyを利用したテクノロジー。野球場やフードイベントなど、主にO2Oの施策として導入事例が増えてきていますが、恋活パーティーで利用されるとは前例を聞いたことがありません。 iBeacon恋活パーティーの実態はいかに!? 編集部のナベコが潜入取材を敢行しました。
■IT系男子と心優しい女子が参加
秋葉原の某所で開かれたiBeacon恋活パーティー。街コンのように複数の店舗を移動するスタイルではなく、ひとつの会場に限定した恋活イベントでした。基本的に立食でお酒はもちろん飲み放題! |
第1回となるiBeacon恋活パーティーの副題は“IT系男子×優しい女子” 。男女それぞれの参加資格は以下です。
男性……IT系のお仕事をしているか、IT系企業に就職予定の学生さん、もしくはITリテラシーの高いアキバ系ヲタクの条件を満たしている方。
女性……控えめなIT系男子を優しく受け止めてくださる方、もしくはお酒が好きな方。
IT系の男性というと横文字で華やかな印象もありますが、学生時代の友人は同性ばかりで繊細であるため女性とうまく話ができない……というタイプも多いですよね。今回のパーティーではそんな控えめなIT男子と心優しい女子のマッチングがねらい。
女側である私は条件に当てはまるかというと、優しいかどうかはさておき酒好きという点で問題ないでしょう!!
「予想以上に女子が集まっている」というのが当日の会場の印象。“iBeacon”というITやスマホに少し詳しくないとまったくなじみがない単語を掲げているため、女子の参加率は少ないのではないかと不安だったのですが、写真を見てのおわかりのように女子がわんさかいました。しかも同性から見てもレベルが高いかわいい人揃い。パーティーの定員は男女20×20の40人でちょうどそれくらい人数が集まっていましたが、女子のほうがやや多いように感じました。
■利用するのはiOSアプリ『AYATORI MATCH』
会場で使用したアプリ『AYATORI MATCH』 |
会場ではパーティーの始めに今回の趣旨とiBeaconをどのように利用するかスライドを使っての説明の時間が設けられました。
「何が始まるのだろう?」とドキドキしていると、運営側より手持ちのiPhoneにアプリをダウンロードするようにとの指示がありました。そのアプリこそ、『AYATORI MATCH』でした。
パーティーは基本的にiPhoneを持参するのも参加条件のひとつ。私はiPod touchで参加しました。
『AYATORI MATCH』というアプリは、それぞれ自分の性別や趣味などを入力すると、会場内にいる同じ趣味を持つ異性と反応し合うというマッチングを支援するアプリ。イヤホンジャックに装着する専用のトリ形のガジェットアクセサリーと連携し、マッチングするとトリが美しく光るというのも特徴です。このときに相手と通信する仕組みが、iBeaconだということ。
『AYATORI MATCH』に趣味など基礎項目を入力したら、イヤホンジャックに装着したAYATORIがすぐに光りだしました。む〜ドキドキする。 |
トリ形のアクセサリーの名も“AYATORI”。ベンチャー企業ウィンクルがクラウドファンディングで資金を募って開発したものです。
会場では参加者全員にAYATORIが配布され、趣味があう相手がいると点滅して光を放ちます。さらに、相手との距離が近くなるにつれ点滅速度が速くなるのでマッチングした人物も明確になるような仕組みです。AYATORIは男性は青、女性は赤と端末が区別されていて、反応しあうのは異性同士に限られています。
気が合う相手を光で教えてくれるなんてロマンチックですね。なお、パーティー開始時には「Bluetoothの設定をオンにする」ほか、イヤホンジャック端子を利用するため「音のボリュームを最大設定」にするよう案内がありました。
■わからないことはIT男子に聞くべし
さらにパーティー直前の説明ではもうひとつ大事なことを言い含められました。それは、
「女性は、もしAYATORIが光らなかったりわからないことがあれば、運営側ではなくてまずはIT男子に訊いてください」
というものでした。ガジェットのことといえば会場に来ているIT男子の得意な分野。スタッフではなく参加者である男子に質問することで、会話が生まれるということですよね。
ひと通り説明が終わると、ついにiBeacon恋活パーティーなる世にも珍しい宴の口火が切られました。
「さて……」と、私は考えました。IT男子と無事に話しができるでしょうか。そして、飲み放題であるこのイベントではたしてお酒は何杯飲めるでしょうか!?
■婚活パーティーの火ぶたが切られ、そしてAYATORIが光った
実は私のAYATORIは『AYATORI MATCH』に基本情報を入力してすぐ、パーティーの説明が終わる前には光り出していたのです。これは会場内に私と趣味があう(マッチングする)相手がいるということ。私のAYATORIさんは誰と共鳴しているのでしょう?
会場内にはざっと40人ほどの男女がいるので、AYATORIが光っていても相手が誰だかすぐにはわかりません。そこで、ビールジョッキを片手にウロウロと歩き回っているとAYATORIの点滅が急に早くなりました。
「もしかして」と、顔を上げると近くで青いAYATORIがピカピカと急かしく光っている男性と目が合いました。互いにAYATORIを見せ合いマッチングを確認。トリが運んできてくれた出会いにほかなりません。緊張しながらも、趣味が同じということはAYATORIがマッチングしたことで明白なので、「お酒は何が好きですか?」という話題をどちらからでもなく切り出しました。少しステキな瞬間でした。
『AYATORI MATCH』には自分の情報を入力しているとはいえ、けっこう大まかなもの。“お酒”、“料理”、“読書”などかなりざっくりした趣味のジャンルと性別だけ。なので、マッチングして趣味が合うといっても相手のことがわからないに等しい状態です。マッチングはあくまできっかけで、互いのことを掘り下げて語らうことがイチバンの大事なポイントのようです。
1回目にマッチングした相手と趣味のお酒や読書の話で盛り上がり、つい時間を忘れそうになりました。が、運営側がタイミングを見計らって連絡先を交換した上で話し相手をチェンジするよう会場全体に促してくれました。せっかく来たからにはみんな多くの人と話すのが目的ですからね。
■2回目以降、話し相手を探すのが困難
会場のテーブルには唐揚げやポテトのほか、スナック菓子などが並べられていました。 |
無事にIT男子ひとりとの会話を終了した私は、とりあえずカウンターで生ビールをもらい飲み干し、その後とあることに気が付いて困惑しました。
「2回目の話し相手ってどうやって見つけるんだろう?」
その時、私のAYATORIはまだ点滅で光を放っているのですが、それは1回目に話しした人とのマッチングによるもの。つまり、2回目からはAYATORIの力を借りず自力で話しかけなくてはいけないのです。
「どうしよう」と、またもや生ビールを片手にウロウロしていると「自分のAYATORIはいっこうに光らない」と話しかけてくれる男性がいて、ひとまずホッとしました。
■ほのぼのとした空気が流れていました
こちらもAYATORIがマッチングした男女。 |
そんなこんなで、なんとかパーティーでは何人かのIT男子とお話しすることができました!
iBeaconを活用したAYATORIは、私の場合は1人目の男性と話すきっかけづくりになりましたが、すべて男女のマッチングにひと役を買ったかはわかりません。中にはずっと光っているけれど、会場内にいるはずの相手が見つからなかったという人や、AYATORIが反応している相手がいたけれどちょうどほかの異性と会話している最中で話しかけられなかったという人もいたようです。
だけど、このひと筋縄ではいかないAYATORIが潤滑油となることで、アプリの力を借りずとも互いに話題を探して仲よくなれるようような、優しい空気が会場にあったように思います。
■酒に走ってしまったワタシ
生ビール6杯飲みました。その後、最寄駅からアイスを買い食いしながら帰って、家にあるウィスキーを飲み干して記憶が飛んでいます。IT男子とうまく話せなかったから……、じゃないですよ。 |
主催者側であるウィンクルにきいたところ、今回のようにiBeaconを利用したガジェットとアプリは今後も仕様の開発を進めつつ、また恋活パーティーなどのイベントに活用する計画だそうです。アプリ『AYATORI MATCH』ではBluetoothのみを利用するため、WiFi環境がない地下などでも利用できるという利点があります。何より、イヤホンジャックガジェットであるAYATORIは、幸せを運ぶトリのビジュアルで恋活にぴったりですよね。
今後、iBeaconを使った恋活パーティーがどんどん普及し、意気投合してゴールインするカップルまで現れたらそれはまさしくiBeaconならぬiBea婚(アイビーコン)ですね。
…………おあとがよろしいようで!
●関連サイト
vinclu
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