ドイツ・ベルリンで開催されているIFA 2014の取材のため、筆者は9月の頭からベルリンに滞在しています。
↑ベルリンで10日まで開催中のIFA 2014。 |
IFAではインテルの基調講演を中心に、多数のPC製品が発表されました。その中でもCore Mプロセッサーによる次世代PCとして期待できそうな製品として発表されたASUSの『Zenbook UX305』と、東芝が開発中とみられる『Altair』を取り上げてみたいと思います。
■Core Mで超薄型のクラムシェルノートを実現
ASUSが発表したZenbook UX305は、本体の厚さがわずか12.3mmという、超薄型ノートPCとなっています。現行の第4世代Coreプロセッサを搭載したMacBook Airが厚さ17mmであることを考えても、驚異的な薄型化を達成していることがわかります。
↑9月3日のプレスカンファレンスで発表された『Zenbook UX305』。 |
また、13.3インチ・QHD+(3200×1800ドット)という超高解像度のディスプレイを搭載、マルチタッチにも対応しつつ、重量は13インチのMacBook Airより150g軽い、1.2kg。まさにMacBook AirにRetinaディスプレーを搭載し、さらに薄型軽量にしたような、夢のようなスペックが実現されています。
↑薄型軽量マシンに超高解像度ディスプレイを搭載した、夢のようなスペックだ。 |
インテルはCore Mプロセッサーを従来のCore i3/i5/i7とは異なる製品ファミリーとして、プレミアムタブレットや2 in 1向けと位置付けています。一方で、Core Mを使ってどのようなPCをつくるかはPCメーカーに任されているため、ファンレスで超薄型のクラムシェル型ノートPCを作ることも可能というわけです。Zenbook UX305は公式にファンレスをうたったものではないものの、そのスペックからファンレスも十分にあり得るデザインという印象を受けます。
↑インテルの基調講演でもカーク・スカウゲン氏によって紹介された。 |
このようにCore Mはタブレットや2 in 1だけでなく、従来型のクラムシェル型ノートPCも大幅に進化させる可能性を秘めているといえます。
■Core Mならクラムシェルのような使い勝手の脱着型も
インテルの基調講演では、東芝による未発表のCore M搭載PCとして『Altair』(アルテア)も披露されました。プレゼンテーション中では「東芝によるvPro対応のデタッチャブル型システム」と言及され、詳細なスペックには踏み込んでいません。基調講演後も、じっくり写真を撮る間もなくステージから撤去されてしまいました。
↑東芝が開発中とみられる『Altair』。一見するとクラムシェル型ノートに見えるが、デタッチャブル型という。 |
インテルの説明によれば、タブレットをキーボードから脱着できるデタッチャブル型とのこと。たしかに画面下部にはWindowsボタンが配置されており、タブレットとして単独で使えるように見えます。
↑タブレットをしっかり支える、特徴的なヒンジを備えている。 |
クラムシェルのようなヒンジを備えたノートPCとして、ASUSの『TransBook T100TA』もありますが、これはAtomプロセッサーでした。一般にデタッチャブル型の2-in-1では、ディスプレイ側(タブレット側)が重くなるため、角度調節に制限をかけざるを得ません。富士通のCoreプロセッサー搭載2 in 1『ARROWS Tab QH77/M』のように、角度を固定したものもあります。
しかし東芝はクラムシェル型ノートPCの使い勝手を維持しつつ、高性能なCore Mプロセッサーを搭載した、タブレットとしても利用できるPCを開発しているようです。
↑クラムシェル型ノートPCのように閉じることが可能。 |
AltairはvProに対応し、キーボード側にアナログRGB出力を搭載するといったスペックから、ビジネス向けPCの可能性が高いといえます。ほかにもキーボード側の左側面にはHDMI出力、右側面には電源ジャックを備えています。このことからタブレットとキーボードは、電源供給や高速データ転送が可能な端子で接続されていることがうかがえます。
↑Core M搭載でvProに対応したビジネス向け2 in 1とみられる。 |
キーボード上には、東芝製のPCで復活しつつある青いスティック型のポインティングデバイス“アキュポイント”を搭載しています。スティック型といえばトラックポイントを備えたThinkPadがありますが、最新のThinkPad Helixでトラックポイントがオプション扱いとなり、『Ultrabook Pro Keyboard』を購入する必要があるなど、レノボはトラックポイントから距離を置き始めています。これは東芝にとって、スティック型デバイスのユーザーを取り込むチャンスかもしれません。
↑アキュポイントとみられるスティック状のポインティングデバイスを搭載する。 |
IFAの時点で詳細が明かされないということは、10月以降に発売予定となっているほかのCore M搭載PCよりも発売が遅くなる可能性はあるものの、まずは東芝からの続報に期待したいところです。
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