さて、気になって夜も眠れないというと言い過ぎかもしれませんが、おサイフの余裕くらいは確かめたであろう、年に一度のアップル大イベント週の幕開けです。
編集部から現地入りするのは私イトー、そしてACCN。現地時間9月9日のアップルスペシャルイベントに向かう車中からこれを書いています。
招待状が手元に届いたという記事以降、いくつかの新情報が出て来ています。単純な噂情報は無視するにしても、推測を補強するような情報はやはり気になります。現時点でわかってきたことをざっくりまとめていきます。
■9月9日のアップル スペシャルイベントはやはり過去最大規模
スペシャルイベントへの力の入れようが、さらに明らかになってきました。既報の記事で書いたとおり、アメリカ国内の発表会にもかかわらず、海外プレスにも招待状を送ったのは、過去7年で3回目。非常に異例なこと。
そして、現地メディアがすでに記事にしていますが、初代Mac発表の地でもある会場“Flint Center(フリントセンター)”には、白いボックス状の謎の仮設会場の建築が進んでいます。Vimeoに投稿されたドローンによるスパイショット動画をここに埋め込んでおきます。
Aerial footage of mysterious white box at Apple's 'iPhone 6' event site from AppleInsider on Vimeo.
引用元:AppleInsider
このホワイトボックスが発表会場そのものなのか、実機に触れるハンズオン会場なのか、それ以外の何かなのかは、まだ全くわかりません。現地メディアの間では、スマートホームのデモのために作ってるんじゃないか?なんてウワサ話まで出るほどです。
それにしてもたった数時間の発表のためにこの規模の仮設会場……。どれだけ力を入れてるんだって話です。Flint Centerに広い場所がないわけじゃないですからね。
実際、正式名称”Flint Center for the Performing Arts”には、席数1500以上という、オーケストラ演奏も可能な本格的なメインシアターがあります。
これまでやってきた発表会規模からすると、5000人の参加者を収容しなければならないWWDC基調講演を除けば、十分な広さを持つ会場といえます。
例を挙げると、過去2回の“海外プレスも呼んだスペシャルイベント”の1つ、iPad mini発表会場だった“California Theatre”は、座席数1122。収容人数としてはこの前例を上回るシアターがある場所の脇に、何らかの理由でわざわざ建物を仮設しているらしい、ということになります。
そして取材のなかでわかってきたのは、日本から現地入りすると見られる取材人数は過去最大級ということ。
業界ではよく知られる通り、アップルのスペシャルイベントは“手をあげれば入れる”というものではなく、“アップルが呼ばないと入れない”イベント。この点でも、どれほど力の入ったものかがうかがい知れます。
■iWatchなるものと、iPhone6(仮)最後にハマるピースは解像度とNFCの有無?
iWatchの存在はいまだ噂レベルで、形や仕様につながる確定的な情報はありませんが、ムードとしては何らかのウェアラブルデバイスの発表があるのでは?という空気が徐々に醸成されています。
ウェアラブルについては不確定要素があまりにも多く、周辺の状況証拠らしきものからでは、この中身に近づくのは想像や推測といったレベルでしか無理です。要はお楽しみですね。
一方で、新型iPhoneについてはあまり疑問がないように言われがちですが、この段階になっても見えないことがあります。画面の解像度と、それによるiOS8の変化です。
形や大きさ(3ヵ月ほど前までは5.5と4.7の両方を発表という情報が飛び交っていましたが、ここ最近は5.5の情報が薄い)についてはある情報が定まって来た感があるなか、液晶についてはまったく見えません。
しかし、このまま放っておくとは、にわかには考えづらい。ピクセル密度と解像度の関係をまとめてみると、こんな状況です。
仮想iPhone6(解像度×4倍) | 4.7インチ | 1280×2272? | 555ppi |
仮想iPhone6 (解像度そのまま) | 4.7インチ | 640x1136? | 277ppi |
iPhone5s/5 | 4インチ | 640x1136 | 326ppi |
iPhone4s/4 | 3.5インチ | 640x960 | 330ppi |
参考:Xperia Z3 Compact | 4.6インチ | 720x1280 | 319ppi |
参考:Xperia Z3 5.2インチ | 5.2インチ | 1080×1920 | 424ppi |
参考:Isai FL | 5.5インチ | 1440x2560 | 534ppi |
iPad mini Retina | 7.9インチ | 2048x1536 | 326ppi |
iPad Air | 9.7インチ | 2048x1536 | 264ppi |
MacBook Pro 15 Retina | 15.4インチ | 2880x1800 | 220ppi |
MacBook Pro 13 Retina | 13.3インチ | 2560x1600 | 227ppi |
iMac 27 | 27インチ | 2560x1440 | 109ppi |
いかがでしょう。そのままの解像度では、日本以外のプラットフォームとしては大きな壁になっているAndroid勢の最新機種に比べて、大きく見劣りする状況になります。別にスペック比較で論じたいわけじゃなく、iPad Airと同程度のピクセル密度だとすると、視聴距離の関係でずいぶんとドットが大きく感じるハズ。
アップルがこれをそのまま放置しておくのでしょうか?
今年の4月ごろに「5sの解像度4倍、555ppiになる」と言えば誰も信じなかったでしょうが、Isai FLという超高解像度機を“液晶供給もしているあのLGが”出してきたことを考えると、技術的には十分可能なレベルにありそうです。
……とここまで書いて、空港で会ったITジャーナリスト 西田宗千佳氏からツッコまれたのが「単純にそのまま解像度上げると、バッテリーのもちがエラく下がることになる」確かに。
この部分の解決方法は、
1)ソフトウェア制御で解決する
2)バッテリー駆動時間が短くなることは割り切る
3)バッテリー駆動時間が短くなるから、そもそも高解像度化はしない
4)本体を厚くして、消費電力分のバッテリー容量を確保する
この4つ。このどれを選ぶかは、アップルの判断にかかって来ます。
さらにあるのは、本当に解像度が高くなったとすると、今度はアイコンの並びが4列から5列になる可能性を考えないといけません。以前、Androidでは実際にそういうことが起こりましたからね。特に開発者サイドは、液晶の解像度がどうなるか、気がかりな人が多いハズ。
9月10日午前2時に発表される液晶スペックと本体の厚みが製品でどうなっているのか。その結果を上の4パターンにに当てはめて考えてみるとおもしろいかもしれません。
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さて、週刊アスキー編集部はAppleの発表会の現地中継を交えたニコ生を、9月9日の23時から始めます。ぜひお楽しみに。無料会員の皆さんは、いまのうちにタイムシフト予約しておくのがお勧めです。
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