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この漢字、読める?『沙羅曼蛇』 コナミのMSXゲーム伝説12:MSX31周年

2014年09月11日 11時30分更新

MSX30周年スロット&スプライトロゴ


■ツインビー(1986年発売)

MSX30周年:コナミのゲーム伝説12

 コナミの縦スクロールシューティングを代表する『ツインビー』。『グラディウス』と同時期の作品で、やはりアーケードからの移植作品である。アーケード版は“バブルシステム”という、基板のデータ部分だけを交換できるシステムで作られていた。これは“バブルメモリ”という特殊な半導体を使用していたために、今では動くものが少なく、知名度に対して稀少な作品となっている。

 家庭用としてはファミコン版が有名であるが、MSX版も少し遅れて発売された。当時としては珍しく、2人同時プレイが盛り込まれた作品である。『ツインビー』というタイトルにそれが現われている。当時はまだ“2人で一緒に遊ぶ”という行為そのものが珍しかった時代である。これ以前にも2人プレイモードを搭載したゲームはアーケードに多数存在したが、いずれも“やられる度に交互に遊ぶ”タイプであり、“同時プレイ”それ自体を強調した作品はなかなかに珍しかったのである。まだまだゲームは1人ストイックに遊ぶもの、という風潮だったのだ。

MSX30周年:コナミのゲーム伝説12
↑この時には、グインビーもライトもパステルもいなかったのだ。ところで皆さんは、ベルを身につけていたりしましたか?


 ツインビーにはグラディウス同様パワーアップの要素がある。雲を撃つとベルが飛び出し、そのベルを撃った回数によってパワーアップの種類が変化する。カプセルを取った数で決まる『グラディウス』とは明確にデザイン面で差がつけられていた。もっとも、のちに発売されたMSXの『パロディウス』にはカプセルとベルが一緒に出てくるなど、その後は合流したりもする。そういえば、MSXの『グラディウス』ではスロット2にこの『ツインビー』のカートリッジを差し込むと自機がツインビーになる、というお遊びもあった。かようにサービス精神に溢れたツインビーであるが、MSXで出たシリーズとしてはこれ1本きりとなってしまった。『パロディウス』へのゲスト出演などの機会はあったものの、ファミコンでは他に2作品出ているのに比べると露出は少ない。爆発的に普及したファミコンでは“友達と一緒に遊ぶ”というシチュエーションがツインビーと合っていたのか、ツインビーはファミコンで世界観を展開していく。MSX版のグラディウスが独自の世界観でシリーズ5タイトルも展開していったのと似ている形だ。

MSX30周年:コナミのゲーム伝説12
↑この黒い敵は!? 魔城伝説からのゲストキャラだ。『スカイジャガー』→『魔城伝説』→『ツインビー』という縦スクロールシューティングの流れをちょっとだけ感じる。


 今にして思えば、MSX2+メガロム+SCCの『ツインビー2』などが出ていたら、さぞかし素敵な仕上がりになったろうに、と夢想することもあるのだが、当時はそういった声はあまり聞かれなかった。グラディウスのパワーがあまりに強かったせいかもしれない。
 初代ツインビーのパワーアップはしっかりと敵の誘導をやらなければならないというコツがある。ゲーム開始直後にパワーアップを集めるためにベルにばかり集中していると、敵の誘導がおろそかになり、無駄に難しくなる。うまくやれば敵を倒さずにパワーアップすることも可能だ。

 既に紹介済みの『コナミゲームコレクションvol.3』に収録されているツインビーでは、スナッチャーのサウンドカートリッジがあるとSCC版のやたらと豪華な曲が聴ける。その出来たるやオリジナルのアーケード版をも超えていると言っても過言ではない。もちろんファミコン版よりも豪華であることは言うまでもない(と大人げなくムキになってみる)。MSX版ツインビーの一番のウリはここなのかも知れない。ツインビーは一つでもパワーアップを取ると曲が変わってしまうのだが、パワーアップを取らない時の曲もなかなか好アレンジとなっている。必死に敵を避け続けて頑張って聴いてみよう! あと、2面のボスの曲もお薦めだ。


■サーカスチャーリー(1984年発売)

MSX30周年:コナミのゲーム伝説12

“サーカスの人気者ピエロのチャーリー”を操って、火の輪くぐり、綱渡り、玉のり、曲のり、空中ブランコと“むずかしい芸”をこなして“大観衆の拍手をうける”のが目的である。この作品、この時期の他のコナミMSXゲーム同様に元はアーケード版で、同じ年にMSXへと移植された。ファミコン版は様々な事情から他社発売となり、かつ時期も1年以上後となってしまったため、MSX版の印象が強い作品である。

 ゲームは左右移動とジャンプのみ、しかし芸の種目ごとに操作のポイントがかなり変わるという特徴を持っている。“火の輪くぐり”は全体のテンポがゆっくり目で、かつ後ろにも下がれるためある程度自分のペースでジャンプできるが、“綱渡り”になるとお猿さんがこちらにどんどん向かってくるためにだいぶシビアになる。“玉のり”ではジャンプすると自分の乗っていた玉は後ろに飛ぶため再度乗ることができない……という感じにリスクが高くなっていく。とは言え、ある程度タイミングを掴むと割と軽快にポンポンと進めるようになるから大丈夫だ。
 アーケード版では7種目あったものが5種目になったが、全体の印象はなぜかあまり変わらない。メインのBGMも3曲あり、種目に合わせた曲がかかるのが憎らしい。この時期としてはなかなかに充実した内容である。

MSX30周年:コナミのゲーム伝説12
↑ライオンに乗って火の輪をくぐる。ゲームは1面だけにそんなに難しくはないが、これ現実だったら凄い芸だ。っていうか無理だ。


 さてこのサーカスチャーリー、5種目のうち4種目までは修行すれば割とカンタンにクリアできると思う。そんな人気者チャーリーの前に立ちはだかるのが最終種目“空中ブランコ”だ。このゲーム、この空中ブランコだけは特に難しい気がするのだが諸兄の感想や如何に。BGMはこのゲーム専用のゆったりとしたものだが騙されてはいけない。裏腹に、一瞬のタイミングのズレで後ろに飛んでしまうなど、情け容赦のない厳しい“芸”の世界を体感させてくれる。練習、練習、また練習で自分自身のステータスを上げなければクリアは難しいだろう。“芸”の世界なのだから当然である。

MSX30周年:コナミのゲーム伝説12
↑これがウワサの高難易度面“空中ブランコ”だ。その難しさに反して象の目がつぶらでとてもカワイイ。


 全体の構成としては『ハイパースポーツ』シリーズと同じく規定の順番に遊ぶことしかできないが、『サーカスチャーリー』はクリアだけを目指した場合は最終種目だけが特に難しくなるようにできている。そんな構成であるため、ゲームをプレイした者=同志ならば誰しもが空中ブランコの難しさを知っている。「オレは空中ブランコを簡単にクリアできるぜ!」と言えるならばMSX界ではある種のステータス=“サカチャリマスター”なのである(MSXA認定)。さあ、かつて挫折した君も老練なる領域に達した今の腕前でチャレンジしてみようではないか!と思って自分やってみたらやっぱり空中ブランコをクリアできなかった。人気者への道は遠い。

 あまり知られていないがこのゲーム、MSX1では難しいドット単位のスクロールをプログラム技術と画面構成の工夫で実現している。他にも気合いの現われなのか、同時期のタイトルにはないペラ紙のマニュアルまで入っていた。が、このマニュアルを見ても攻略にはイマイチ役に立たない。主に配点が細かく書かれているだけなので、ユーザーに対するハイスコア挑戦ガイドといった意味合いが強い。先に「(4種目目までは)クリアだけを目指した場合はカンタン」と書いたが、ハイスコアを意識すると序盤からかなりのチャレンジを要求される。間口の広さと奥深さを兼ね備えた名作と言えよう。


■沙羅曼蛇(1987年発売)

MSX30周年:コナミのゲーム伝説12

 1987年の年末を飾るソフトとして発売された『沙羅曼蛇』。元は『グラディウス』の続編としてアーケード版が存在していたが、MSXではこの沙羅曼蛇よりも先に完全オリジナルの『グラディウス2』が発売され、大ヒットを飛ばした。その4ヵ月後に改めてMSX用に沙羅曼蛇は発売されたのだ。名作『グラディウス2』の興奮醒めやらぬ年の、ましてやクリスマスまっただ中での発売である。その期待は否が応にも高まったことは言うまでもない。が、この期待があまりにも高すぎたのか、発売後に色々と批判の巻き起こった作品でもあった。

 この『沙羅曼蛇』、MSX1用としては最高峰の凄まじい技術力を見せつけた作品で、容量こそ『グラディウス』/『グラディウス2』と同じ1Mbit(たった128KBだ!)ながらも1人プレイなら4つまでつく“オプション”、MSX版の誇り(笑)である長い“レーザー”、2人同時協力プレイ、縦と横のスクロールとコナミが持てる技術力を存分に注ぎ込んでいる。中でも凄いのは2人同時協力プレイで、この時期はもとより全MSXゲーム史を見渡しても2人同時協力プレイができる作品はとても少なかった。

MSX30周年:コナミのゲーム伝説12
↑グラ2も超える美しいグラフィック。まさにMSX1の究極。オプションが4つも付いたことに驚いた。MSX1の性能を限界まで引き出していた。


 ところが、難易度が非常に高かった。恐らくはコナミのMSXゲーム史上で最も難しい部類に入るだろう。一応各面での復活(ミスしてパワーアップがなくなった状態から復帰する行為)は可能であるものの、実力と運が伴わないとなかなかにプレイ続行は難しい。コンティニュー回数が無限であるために、根気があればどうにかなっていたのだがそれでも、1面後半と最終面はカプセルの数が少なく、復活は不可能に近い。まあ、最初からやり直す方が現実的かもしれない。繰り返し繰り返し繰り返し繰り返す。まるで桜坂洋の小説『All You Need Is Kill』の如く何度も何度も。そうしてやがて最強のパイロットに成長するのである。自分自身を成長させることがただ一つエンディングへの道なのである。

「1人でダメなら協力プレイだ」と思うのが人情というものだが、困ったことに2人同時プレイは“どちらかがやられると手前(再開ポイント)に戻される”ため、実は1人で遊ぶよりよっぽど難しかったり(!)。ミスしていない側のパワーアップはなくならないものの、2人のレベルがよほど高くないと、最初の内は1面のクリアすらもおぼつかないだろう。

MSX30周年:コナミのゲーム伝説12
↑2人同時プレイ。実はインターネットで遠方同士の2人同時プレイを可能にした試作版がMSXPLAYerを使って開発されていたことがあった。


 そして有名なアレである。『グラディウス2』のカートリッジをスロット2に差しておかないと真のエンディングが見られない。ということは10倍カートリッジを挿す場合には真のエンディングは見れないのである。これは当時からかなり批判があった。それ自体は説明書にも繰り返し書かれているので、まあ後は財力と根性のみの問題ではある。沙羅曼蛇を買う人は、なんだかんだ言ってグラ2持っていたとは思うのだが……。ただ、ほんの少数だが1スロットのMSXもあったからなぁ。う~む。

 まあ、難しい難しいと言ってもグラ2の難所と比較してそう極端に難易度が高いわけではない。無論、順調に進んだときの爽快感はシリーズ随一であると言えるし、SCCサウンドのレベルもグラ2以上に高まって究極に達している。この作品以降は“柔らかく”なっていく音色に比し、この時期の“硬質な音色”のファンも多い。総合的には名作であることに疑いはない。今日における評価がグラ2に比べてイマイチなのは、ユーザー側の期待があまりに高すぎたための愛のムチであることと、この作品が「コナミシューティング初体験だ!」というユーザーからの難易度に対する批判という気もする。このあとのゲーム史的にも“高くなりすぎた難易度”に対する一考へのきっかけとなった作品でもあった。シューティングに限らず、アクションやパズルなどでも起こる議論だったのだが、ゲームバランスの調整においては神業ともいえる領域にあったコナミのMSXゲームでさえ、この問題からは逃れられなかったのである。

 そういったことも含めて、“大の大人”になった今こそコナミのシューティングシリーズは、各作品とも一度は体験しておく価値があるだろう。新しい何かを生み続けプレイヤーを驚かせようという数々の仕掛けと、MSX仕様の限界を突破していく工夫と努力の数々。大人になった今の私たちの感性と技術と知識ならきっと御飯3杯はお代わりできるほど感動するはずだ。

(C)Konami Digital Entertainment

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おたよりぃ~(ツイートから拾った)

Takashi Kobayashi @nf_ban さん
そういや新世SIZERをchiptuneに使ってる人を見たことがない。ソフトが出回らないんだから研究しようもないね

――確かに。SCCは音源として人気あるっぽいのに。新世SIZERがどんな音だったのかはわかりませんが、ひょっとしてチップチューンに向かない何か理由があるのかな?

Shizuo Ichitake @1tk_fakestar さん
メタリオンと聞いて。グラ2は傑作中の傑作ですね。炎の惑星が美しいと大興奮したあの日が懐かしい

――ほんと、あれがMSX1のグラフィックとは信じがたい美しさです。今回の沙羅曼蛇も負けていませんが。あ、まさかいらっしゃらないとは思いますが、沙羅曼蛇が読めないという方、「サラマンダ」です。

ではまた。


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