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Windows情報局ななふぉ出張所

Xperiaで学ぶ、メシマズとメシウマの境界線:夏休み自由研究

2014年08月13日 17時00分更新

 『Xperia Z1』と『Xperia Z1 f』は6月に配布されたアップデートにより、“メシマズ”写真機能が改善されたとの報告が多数上がっています。

Xperiaで学ぶ、メシマズとメシウマの境界線:夏休み自由研究
↑Xperia Z1 fに、Android 4.4へのアップデートが提供された。

 ソニーのカメラ技術を結集したはずのZ1やZ1 fでは、カメラアプリの初期設定が“プレミアムおまかせオート”になっています。しかしこのモードで撮影すると、食べ物が美味しそうに見えない“メシマズ”写真になってしまうと、ユーザーの間で話題となっていたのです。

 その後、ソニーや携帯キャリア関係者の間でも“メシマズ”が話題となり、後継モデルである『Xperia Z2』などでは、すでに改善されたのですが、その後、同様のアップデートが、Xperia Z1世代にも提供されたというわけです。

 そこで筆者もXperia Z1 f(ホワイト)を2台用意、Android 4.2と4.4の状態にて、撮影テストを行なってみました。

■メシマズ写真が撮れるのはXperiaだけではない

 ただ、ここでキチンと認識しておいていただきたいのは、いわゆる“メシマズ”写真が撮れるのはXperia Z1だけではないという点です。たとえばスマートフォンの中でも、さまざまな状況で高品質な写真を撮りやすい機種としてiPhone 5sがありますが、それでもメシマズ写真が撮れてしまうことはあります。

Xperiaで学ぶ、メシマズとメシウマの境界線:夏休み自由研究
↑iPhone 5sによる“メシマズ”写真の例。蛍光灯による照明のせいか、全体的に青かぶりしてしまった。
Xperiaで学ぶ、メシマズとメシウマの境界線:夏休み自由研究
↑『Photoshop』を使って青かぶりを補正してみた。見た目に近い色になり、なにより美味しそうだ。

 一般的なカメラの“オート撮影”では、画像処理エンジンによるホワイトバランスの自動調整機能を備えています。しかし“自動的に”といっても、なにを基準に調整すればよいのでしょうか。

 雰囲気の良い飲食店では、照明にもこだわっています。単なる蛍光灯の場合もあれば、ダイクロハロゲン球によるスポットライト、間接照明や、最近ではLED電球もあり得ます。こうしたさまざまな光源下で、撮影者の意図をくみ取りつつ、それらしい絵をつくるというのは、なかなか困難な作業です。

 とはいえ、Xperiaシリーズの“レミアムおまかせオート”は、単なるオート機能とは異なる、高い性能を感じさせる点で、自らハードルを上げてしまったともいます。コンデジ並みにものすごくおまかせできそうな機能なのに、いざ撮ってみたらそれほどでもないという、“意外とおまかせできない”残念さが、問題を増幅させたといえるでしょう。

■実写にてXperiaのアップデートを確認する

 ここからは実際にAndroid 4.2と4.4という、2台のXperia Z1 f(SO-02F)を用いて撮影し、写真を比較していきたいと思います。なお、撮影テストに際して端末はリセットして初期化し、カメラアプリの設定はデフォルトのまま、“プレミアムおまかせオート”で撮影しています。

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↑まずはお寿司から。アップデート前(左)もメシマズというほどではないが、アップデート後(右)は電球色に照らされた様子をしっかり描写できた。
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↑麻婆豆腐は、アップデート前(左)がやや暗く、アップデート後(右)は明るい。ただ、全体的な印象はほとんど変わらなかった。
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↑生牡蠣は、アップデート前(左)もよく撮れているが、やや色味が薄い気がする。アップデート後(右)はレモンの色も見た目に近かった。
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↑マクロモードで後列のお刺身がボケてしまったが、ほとんど違いは感じられない。ただ、拡大してみるとアップデート後(下)のほうがサーモンやマグロの色味が増している。

 何度か場所を変えながら撮影して気付いたのは、アップデート後は全体的にISO感度が下がっているという点です。たとえばお寿司の写真では、アップデート前はISO200~250だったのに対し、アップデート後は軒並みISO100~125に下がっています。

 その理由として、当初はISO感度を高めにすることでシャッタースピードを稼ぎ、手ぶれを防ぐことを優先していたのかもしれません。しかしアップデート後はソフトウェアの改善や市場からのフィードバックなどにより、ISO感度を下げることができたものと考えられます。ISO感度が低ければノイズも減るため、画質アップにつながりやすい改善といえます。

 ためしに風景を撮影してみたところ、やはりISO感度は下がっていました。ただ、写真としてはわずかに明るくなっています。どうやら“メシマズ”以外にも、細かくアップデートが入っているようです。

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↑メシウマ補正とは関係ないが、風景を撮ってみた。アップデート前(上)はISO64、アップデート後(下)はISO50となったが、アップデート後のほうがわずかに明るい。
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↑かき氷では、アップデート前(左)は色味が薄く、寒々しい印象。アップデート後(右)は色味が増しており、抹茶シロップの甘さが伝わってきた。

■“メシマズ”写真をPhotoshopで“メシウマ”に補正する

 このようにXperiaのアップデートでは、おおむね“メシマズ”現象が改善されていることが分かりました。ただ、それでもまだ満足できない結果になってしまうシーンがありました。

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↑こちらはアップデート前。露出がかなりアンダー気味な上に、青や緑の色かぶりが発生している。いい感じの“メシマズ”度合いだ。
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↑こちらはアップデート後。青みが消えてだいぶ改善したが、まだ緑かぶりが残っている。露出アンダーの傾向も同じ。

 アップデートにより、たしかに改善は見られるものの、まだまだ物足りない印象です。このままSNSに投稿しても、スルーされてしまいそうな仕上がりです。

 そこで、大人げないとは思いつつも、アドビの画像編集ソフト『Photoshop』でレタッチをすることにしました。

Xperiaで学ぶ、メシマズとメシウマの境界線:夏休み自由研究
↑アップデート前をベースに、Photoshopでレタッチ。“レベル補正”で青かぶりを直し、ついでに露出も補正する。

 スマホで写真を撮るたびにPCを起動し、PhotoshopやLightroomを起動するというのもめんどうですが、無料アプリの『Photoshop Express』(Android/iPhone)を使えば、基本的なレタッチ機能が使えます。

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↑アドビの『Photoshop Express』。無料アプリだが、スマホでサクサクとメシマズ写真を補正するのに便利だ。
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↑露光と色温度を中心にレタッチ。“鮮やか”や“夏”などのプリセット機能なら、さらに手軽に補正できる。
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↑アップデート前、アップデート後、Photoshopレタッチを比較。SNSへの投稿で“いいね”や“RT”数にこだわるなら、ひと手間かけてレタッチしてみてはどうだろうか。

■スマホはオート撮影が重要

 このように手間暇をかければ、どんなメシマズ写真もあっという間に“メシウマ”に補正できるのですが、スマホの写真撮影では、できる限りラクしてキレイに撮りたいものです。できればカメラアプリのデフォルト設定で、“使える”写真を撮らせて欲しい。その点、Xperiaのカメラは確実に改善されたといってよいでしょう。

 最後になりましたが、この記事は美味しい食べ物の写真がたくさん含まれていますので、空腹時にご覧になる際にはご注意ください。

山口健太さんのオフィシャルサイト
ななふぉ

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