PayPalアカウントは持っているが、いまはほとんど使っておらず放置状態──という人は多いだろう。PayPal決済のメリットはクレジットカード番号を見知らぬサービス会社に知らせなくても決済できるという点。
ただしPayPalアカウント自体がハッキングされたら? という事例が知人に発生した。そして、PayPalアカウント自体がハッキングされたら、単にクレジットカードをスキミングされるより、さらに面倒な事態に発展する可能性がある──その驚きの事実を、今回の事例は示している。
PayPalとのやり取りの顛末を見て、みなさんはどう感じるだろう?
※この記事では、ハッキング発見からPayPalとのやり取りの流れまでを実際のスクリーンショットを交えてお送りします。
身に覚えのないCHRISTOPHERとの取引を知らせるメールが到着。数年間眠らせていたアカウントのため、即座にハッキングされているのではないか?と気づく |
そのため「未承認」の取引としたところ、発生した料金は返金されることになった |
右上の日付に注目。CRISTOPHER名義の取引は防いだものの、返金から約30分後、別人を装った不正取引が新たに進行。今度は220ユーロの請求が来てしまった |
身に覚えのない取引がされているとPayPalに報告し、調査を依頼。同時に、支払われてしまった金額に対する返金も請求。PayPal側は即座に対応し、取引相手側から返金されるとの連絡が来る。その間も、ハッキングされたアカウントでは、別の不正取引が実行される。
調査中の間も、ハッキングされたPayPalアカウントを使って不正な取引が実行されてしまう |
さらに別のDEBORAH BENDERとの取引も発生。この件についてPayPalへ問い合わせを出したところ…… |
約1時間半で対応を完了。ここまでは、よしよし、しっかり働いてくれたと思う人が多いでしょう。 |
さらに、Alfredina Greco名義の不正取引が発生。こちらも、CRISTOPHERおよびDEBORA BENDAR名義の取引と同様に、未承認取引の申し立てをしたところ……。
取引相手と直接やり取りしてくれとのメール。泥棒相手に連絡をしても無駄だと思うのだが…… |
今回は、相手の口座から払い戻しを取り戻そうとしたものの、口座がすでに消滅しているなどの理由で返金できないとのメール。
それはそうだろう、犯人なら受け取ったらすぐに引き出すなりの対処をするハズ。で、どうするのかと読みすすめると、次の驚きの一文が。
「この払い戻しについてはAlfredina Greco様にお問い合わせください」
え、泥棒に直接話せってこと? そんなバカな!
払い戻し金額を相手の口座から引き落とせなかったとのメール。対象口座はすでになくなっている可能性が高い |
つまり、Paypalは「できること」はやってくれても、原資が取り戻せなければ、さしあたりそれ以上のことは何もやってくれないようだ。
知人はすぐさまPayPalアカウントを閉じようとも考えたが、返金処理中の不正取引がある状態でPayPalアカウントを閉じると、返金が無効になってしまうのでは? と考えて、閉じるに閉じられない状況になったそう。
八方塞がりだ。
今回のPayPalアカウントで発生した不正取引の履歴 |
■結果、どうやって被害を回復したか
最終的にPayPalは頼りにならないと判断。PayPalアカウントは返金処理が完了するまで残すことにした。
一方でPayPaに紐付けたクレジットカード会社側の対応により被害を受けることはなかった。PayPalの放置アカウントを持っている人は、いまいちど確認して、アカウントを削除するなどしたほうがいいだろう。
※7月23日21時 追記
その後、PayPalからの連絡で調査の結果、すべての取引に対して全額返金するとの連絡があったとのこと。個々の不正取引に対する調査結果と、不正対策部門担当者からのメールが送られてきた。時間はかかってしまったが、PayPal側も誠意ある対応を見せてくれたというわけだ。
個々の不正取引(画面はAlfredina Grecoとの取引)についての調査結果の詳細 |
PayPal不正対策部門担当者から、4件の不正取引についてすべて全額補償するとの連絡があった |
関連サイト
PayPal Japan
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