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直径11メートルの大穴から地球を見おろそう! 宇宙ミュージアム『TeNQ』

2014年07月08日 13時30分更新

 東京・水道橋の東京ドームシティに、7月8日、宇宙ミュージアム『TeNQ』(テンキュー)がオープン。直径11メートルの大穴から地球が見下ろせるという映像展示は圧巻に違いない! ということで、早速訪れてみることにした。

宇宙ミュージアム『TeNQ』

■9つのエリアで宇宙を体験

 テンキューでは、9つのエリアに分かれて宇宙のイメージから最新の研究まで、幅広く展示する。映像で宇宙の美しさを眺めたい人も、宇宙開発の現状や最新の惑星科学に触れたい層も、全方位に楽めるミュージアムだ。

 まずは最初のエリア、『エントランス』。 日本を中心に、宇宙開発や天文学に親しむディスプレーが多数置いてある。

宇宙ミュージアム『TeNQ』

 たとえば、ロケットの先端で人工衛星を守る“フェアリング”。JAXAのイベントなどで実物の展示を楽しめる機会が増えたが、テンキューではこのフェアリングを2つに分離するための部品まで展示している。日本の主力ロケット向けにフェアリングを提供する、川崎重工業からの本物だ。

 宇宙ミュージアム『TeNQ』
↑宇宙空間に到達後、衛星のフェアリングを2つに分離するためのパーツ。川崎重工業製。
 宇宙ミュージアム『TeNQ』
↑アクセルスペースWNISAT-1の模型も。

 日本初の超小型衛星ベンチャー、アクセルスペースが開発した、北極海の海氷を観測する『WNISAT-1』の模型も展示。この1号機は、2013年11月にロシアのロケットで打ち上げられ、北極圏の撮影に成功したものの不具合が生じて機能を喪失。2号機の開発と打ち上げに向けた活動を応援したい。

宇宙ミュージアム『TeNQ』

 日本の人工衛星や宇宙探査機の模型がエントランス全体に配置されているので、自分が生まれた年の衛星を探してみるのも楽しいだろう。

 また、アポロ宇宙船を月に送った世界最大のロケット、サターン Vの超合金や、宇宙探査、天文学に関する書籍もおかれている。書籍は手にとって閲覧可能とのことだ。

■トンネルをくぐって、いざ宇宙へ!

 宇宙への入り口『トンネル0(ゼロ)』をくぐり抜けると、そこは映像の美しさを味わえる“はじまりの部屋”。

 宇宙ミュージアム『TeNQ』
宇宙ミュージアム『TeNQ』
宇宙ミュージアム『TeNQ』

 高さ4.5メートル、幅20メートルの壁に、プロジェクションマッピングで人類の宇宙観の移り変わりを映しだす“はじまりの部屋”で視点を宇宙に移したあとは、宇宙そのものの美しい映像を『シアター宙(ソラ)』で楽しめる。

 宇宙ミュージアム『TeNQ』
宇宙ミュージアム『TeNQ』
宇宙ミュージアム『TeNQ』

 シアター宙は直径11メートルという大きな穴が開いた空間で、上から覗き込んで鑑賞する施設。縦横4Kでフルハイビジョンの8倍、約1600万画素という高解像映像は圧倒的で、浮遊感さえ感じられるほどだ。

 ここで流れるのはハワイ島マウナロアで撮影された星空や、国際宇宙ステーションから見た地球の映像。解説やナレーションはないが、かえって本当にその場にいて実際に見おろしているような錯覚さえ覚える。宇宙をたっぷり感じとったら、次のエリアへと進もう。

■遊びながら学べるエリア『サイエンス』

『サイエンス』のエリアは、文字や映像、模型、触れる展示など、五感を駆使して学べる施設になっている。

 このエリアでは、惑星科学の専門家で小惑星探査機『はやぶさ』のプロジェクトメンバーでもある東京大学総合研究博物館の宮本英昭准教授の協力のもと、最新の惑星探査に関する展示が並んでいる。

 宇宙ミュージアム『TeNQ』

『はやぶさ』が撮影した小惑星イトカワの表面の地形画像を、実際のスケールで展示。イトカワの上に立って、探査機の視点で見てみよう。

 正面の鏡には、切り立ったイトカワの地表に立つ自分の姿が。この映像は、地球の1万分の1の重力しかないイトカワでも、たくさんのゴツゴツの岩石がどこへも失われずに表面にとどまっていた、その事実を初めて研究者が知ったときの驚きを表現している。

宇宙ミュージアム『TeNQ』
↑小惑星探査の歩みを示す映像展示。小惑星は毎日のように新しく発見されており、その数はどんどん書き変わる。6月30日には64万4632個。次はいくつに増えるだろうか。
 宇宙ミュージアム『TeNQ』
↑東京大学 宮本英昭准教授の研究室分室がTeNQ内に開設されている。目の前で、現役の研究者の活動が繰り広げられている。
 宇宙ミュージアム『TeNQ』
つい先日、火星での1周年を迎えたNASAの火星ローバー『キュリオシティ』など多数の探査機の歩みに加え、NASAの火星探査機『マーズ・オデッセイ』から届いた映像を見よう。取材の時点で映像は2014年6月17日の最新のもの。

 つい先日、火星での1周年を迎えたNASAの火星ローバー『キュリオシティ』など多数の探査機の歩みに加え、NASAの火星探査機『マーズ・オデッセイ』から届いた映像も表示。取材の時点で映像は2014年6月17日の最新のもの。

 宇宙ミュージアム『TeNQ』

 続いて火星ライブビューとさえいえるかもしれない、火星の風景を、肉眼で見られるパノラマ展示。火星の岩石を再現した模型の色は、火星表面の赤い色が酸化鉄の成分によることを反映して、地球の鉄鉱石を使ってその色を表現している。1962年、ナイジェリアに落ちた本物の火星隕石は触ってよし! なのでぜひ触っておきたい!

■参加したり、操作したり、ちょっと休憩したり

 続く『イマジネーション』の部屋は、ロボットやパズル、遊んで体験できる展示のエリア。

宇宙ミュージアム『TeNQ』
↑『イマジネーション』の部屋は、ロボットやパズル、遊んで体験できる展示のエリア。
 宇宙ミュージアム『TeNQ』
↑タッチパネルで球形ロボットを操作してロケット打ち上げミッションに挑もう。

 球体ロボット『Sphero』をタッチパネルで操作してロケット打ち上げミッションを達成する『アストロボール』や、宇宙人と共にJAXA『H-IIA』、『H-IIB』、『イプシロンロケット』の打ち上げ映像や地球観測衛星『だいち(ALOS)』が撮影した地球の映像を座って楽しむ”眺めルーム”を堪能できる。

 宇宙ミュージアム『TeNQ』
↑どこかで見たような人と肩を組んでロケット打ち上げ映像を眺めるという、ロマンしかないベンチ。

『企画展示室』では、宇宙に関するトピックスを数カ月ごとに入れ替えて展示する。第1回の現在は、『宇宙旅行でジャンプ!!~TeNQ式宇宙旅行展~』と題して、アメリカで今年こそは始まるかと言われてる民間宇宙旅行の今についての展示を行なっている。会期は9月30日まで。

宇宙ミュージアム『TeNQ』
↑サブオービタル(弾道飛行)宇宙旅行を実現する、ヴァージン・ギャラクティック社のスペースシップ2模型。

■体験した宇宙を心に残そう

 映像、サイエンス、体験を堪能したあとは、自分と宇宙のつながりを感じられる『つながる場所』へ。

宇宙ミュージアム『TeNQ』
↑次々と映し出される宇宙の言葉。小惑星探査機『はやぶさ2』のプロジェクトマネージャー、JAXAの國中均教授をはじめ、現役の科学者、研究者の言葉も多い。
宇宙ミュージアム『TeNQ』
↑床に映し出された月の映像の上を歩くと、日付と共に足跡が印される『私の足跡』。“小さな一歩”も“偉大な飛躍”も印してみよう。

 宇宙と人とをつなぐ言葉『コトバリウム』のベンチで少し休んだら、『ちょっと宇宙でフォト』で記念撮影。宇宙飛行士になりきったり、ロケットに乗ることもできる。

宇宙ミュージアム『TeNQ』
↑お好きな人はUFOアブダクション体験もどうぞ。

 残る最後のエリアは『TeNQ宇宙ストア』。宇宙関連の雑貨やTeNQオリジナルグッズなどが買えるミュージアムストアだ。宇宙への想いを家にもち帰ろう!

【2014年7月8日23時】画像を数点追加しました。

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