サムスンが発表した『GALAXY Tab S』は、薄型軽量に高解像度ディスプレーを搭載した製品で、デザインとしてはスマホの『GALAXY S5』と共通のものを採用している。GALAXY Tab Sのデザインと、もっとも重視されたディスプレーについて、韓国本社のタブレットプロダクトデザインチームのDennis Yu氏、Susan Lee氏に話を聞いた。
↑GALAXY Tab S。左が8.4インチ、右が10.5インチモデルで、それぞれデザインは共通。
GALAXY Tab Sは、タブレット製品のフラッグシップに位置づけられるが、今回の開発にあたり、同社ではユーザーのタブレット利用動向を調査した。ユーザーは、“ビデオを見る”、“Web閲覧”、“ゲーム”といったエンターテインメント用途として使うのがメインだった。
また、ビデオの視聴でもスマホなどと比べて長時間の動画を見る例が多くなっているという。こうした点から、ユーザーはタブレットを“見る”という用途に使っており、ディスプレーの性能が重要になってくる。
“最高の視聴体験”を提供するため、GALAXY Tab SではSuper AMOLEDディスプレーを採用した。
大きな特徴が“広色域”という点で、従来のTFT液晶が70%程度だったカバー率を“90%以上”にまで引き上げた。広色域になったことで、自然の風景をより正確に再現でき、「緑はより緑に、青はより青に、赤はより赤に表現できる」(Yu氏)という。
↑広色域表示の切り替えも可能で、1ボタンで画面がより鮮やかになった。コンテンツの色空間によって自動で切り替えることはできないが、手動で切り替えることで、コンテンツの本来の色を再現できる。
高コントラスト比も特徴で、10万:1という数字は液晶の1000:1に対して100倍。「黒は真の黒で、白はより明るく見える」(同)。
↑コントラスト比の比較。手前がGALAXY Tab Sで、黒の締まり、白の明るさは一見してわかるレベル。
↑画面の明るさをコンテンツの内容に応じて細かく制御するなどして、外光下での見やすさも向上。左が液晶、右がSuper AMOLEDで、屋外の昼間の明るさとほぼ同等という明るさでテストしている。
サムスンは、たとえば同社のデジタルカメラ『NX30』でもAdobe RGBカバー率90%以上のSuper AMOLEDを採用しており、色再現性の良さをアピールしている。同じレベルであれば、Adobe RGBで撮影した写真のフォトビューアーとして使うのにも良さそう。
Adaptive Display機能は、環境光センサーによって周囲の光の状況を判断し、彩度やシャープネスなどを自動的に設定する機能。たとえばカフェで黄色の照明が使われているときにGALAXY Tab Sを使うと、ディスプレーの表示が最適化され、「より快適に見られる」(同)という。
↑周囲の環境光の色で表示をコントロール。その色で最も見やすい表示に最適化するという。
↑Reading Mode機能も搭載。写真ではわかりにくいが、テキストを読むのにふさわしい明度やシャープネスを設定してくれる。
↑Reading Modeを使用するアプリを登録することもできる。
画面モードが3種類あり、“AMOLED Cinema”は動画をよりダイナミックに視聴できる。“AMOLED Photo”は、Adobe RGB表示になり、“Basic”はスタンダードなモードで、手動で設定できるほか、自動でモードを切り替えて使うこともできる。
↑画面モードの切り替え画面。
デザインの点では、薄さや軽さ、プレミアム感といったキーワードがあげられる。毎年、サムスンでは、その年に出す製品すべてに一貫したテーマを決めているという。2014年は“Modern Flash”。GALAXY S5も同じテーマで、GALAXY Tab Sにも共通している。Modern Flashでは、「現代のライフスタイルに対応するスリムでエレガントなデザイン」(Lee氏)を目指したという。
GALAXY Tab Sの至上命題となったのは“薄さ”と“軽さ”で機能だけでなく、サイズ感、そして美しさも追求したのがGALAXY Tab SだとLee氏は言う。さまざまな機能を搭載しつつ6.6ミリの厚さにおさえ、これは「クレジットカード5枚を重ねた厚さと同じ」(同)だそうだ。
デザインは横から見ると、2段になっており、ゆるやかに細くなって薄さを演出しつつ、背面はソフトな紙のような感触で持ちやすさも高めた。また、ブラシメタリック仕上げでプレミアム感も出しそうだ。
↑側面。ややくさび形になっており、背面はゆるやかにカーブしている。薄さはXperia Z2 Tabletにわずかに及ばず、世界最薄とはならなかった。防水も搭載していないが、厚みを重視した結果、今回は見送ったという。
「構造的にミニマリズムを目指し、バランス、控えめ、エレガンスといったキーテーマがあった」とLee氏。そのミニマリズムをLee氏は、「もう少しであふれるギリギリ、ボーダーレスだけどボーダーがあるという印象」と表現する。「毎日使う環境と調和が取れるデザインにした」(Lee氏)。
背面のドットは、近代建築のデザインを採り入れたもので、カラーにも近代的なビルが太陽を反射しているような色、輝きをデザインに入れ込もうとしたそうだ。Titanium Bronzeではスプレー式の塗装で、ゴールドが少しだけ含まれるようなラグジュアリーな印象を表現。Dazzling Whiteでは、雪に反射する太陽の輝きをイメージするために、純白ではなくローズとゴールドを少し含ませた色にしたという。
↑写真ではあまりわからないが、それぞれの背面は単なる一色ではなく、プレミアム感のある印象がある。
GALAXY Tab Sは、ブックカバーやシンプルカバーといったオプションも、同時に利用することを想定した調和の取れたデザインで、「スマートでアーバン、ダンディーなカバー」(Lee氏)と表現されていた。
ディスプレーだけでなく、フラッグシップのプレミアム感を追求したというGALAXY Tab Sのデザインにも注目してみて欲しい。
●関連サイト
サムスン 公式サイト
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります