『機動戦士ガンダムUC』は福井晴敏氏の同名小説をアニメ化した作品。主な舞台は、劇場版アニメ『機動戦士ガンダム 逆襲のシャア』から3年後にあたる宇宙世紀0096年。
“それが開かれるときには連邦政府が滅びる”と言われる『ラプラスの箱』をめぐり、“箱の鍵”たる『ユニコーンガンダム』を託された専門学校生バナージ・リンクスはラプラスの箱をめぐる戦いに巻き込まれていく。『ラプラスの箱』とは何なのか、箱が抱く宇宙世紀の始まりの秘密とは?
2009年に東京ビッグサイトで開催されたガンダム30周年イベント『GUNDAM BIG EXPO』で、2010年春からのアニメ化が発表されてから早5年。劇中では1ヵ月ほどの出来事であるUCの物語もいよいよ完結です。長かったようで短かったようなこの歳月。第1話『episode1 ユニコーンの日』を観たのがつい先日のようです。
当初episode6で終わる予定だった『機動戦士ガンダムUC』ですが、そのあまりの加熱ぶりから1話追加され現在イベント上映中の『episode 7 虹の彼方に』が最終章。
【イベント上映詳細】
●公開期間:5月17日(土)~6月13日(金) ※4週間限定
●上映時間:115分予定<本編90分+宇宙世紀ダイジェスト“episode EX「百年の孤独」”25分[構成:福井晴敏、新規パートコンテ:古橋一浩]>
●料金:1600円予定
●上映館:全国35館
■新宿ピカデリーがユニコーン一色に
そして、5月17日(土)からのイベント上映に先立つ5月16日(金)。22時から新宿ピカデリーの全スクリーンをジャックして前夜祭が開催されました。
前夜祭の会場となった新宿ピカデリーでは、当日、館内すべてのスクリーンで『機動戦士ガンダムUC』を上映。同館では初の全スクリーンジャックとなるとともに、館内の装飾もUC一色になりました。
1階にはジオニックトヨタのシャア専用オーリスをベースにした期間限定モデル『フル・フロンタル専用オーリス』を展示。“袖付き”をイメージさせる意匠にUC版ネオ・ジオンのマークが描かれたボンネットフード、シャア専用の『MS-186H-CA』に対して新たな『MS-186H-FF』の型番が与えられるなど、世界に1台しかないマシンです。こらは5月30日まで展示しているとのこと。
入口右手の壁にはepisode1でバナージがビスト家で見たタペストリー『貴婦人と一角獣』が。これはフランスに実在するもので、ガンダムUCではユニコーンガンダムのモチーフとなっています。
また同じく1階では、前夜祭チケットに含まれるグッズセットのお渡し場所を設置。渡されたのは特製バッグに『episode7 劇場限定版Blue-ray』と限定ガンプラ『HGUC 1/144 ユニコーンガンダム2号機バンシィ・ノルン(デストロイモード)劇場限定NT-DクリアVer.)』、『episode7 パンフレット』が入ったもの。
店内の装飾もユニコーン調になり、ポップコーンやドリンクまでが『ガンダムUCオリジナルコンボセット』になる徹底ぶり。
エントランスにあるグッズ売り場では、ポスターやクリアファイル、ボクサーパンツなどのグッズを販売。
またグッズ売り場の前には主人公であるバナージ・リンクスとヒロインのミネバ・ザビ、物語の中核を為すサイアム・ビスト、ビスト財団現当主のカーディアス・ビスト、サイアムの孫でありアナハイム・エレクトロニクス社会長一族に嫁いだマーサ・ビスト・カーバインの肖像画が。
チケット売り場の奥には、会場限定のHGUCのほか、同時期に開催されていた静岡ホビーショーでお目見えした『HGUCネオ・ジオング』など、ユニコーン関連のプラモデルが並ぶ。
さらには、物語の発端となった場所『首相官邸ラプラス』の1/1000模型も展示。東京・上野の国立科学博物館で開催された『機動戦士ガンダムUC FILM&NIGHT MUSEUM』や東京・台場のガンダムフロント東京の『機動戦士ガンダムUC展』でも展示されていましたが、さすがにでかい! 1.4メートル以上あります。
各スクリーンに行くエスカレーターの踊り場正面には、連邦軍やネオ・ジオンをはじめ、ロンド・ベルやエコーズなどのさまざまなマークが壁一面に貼られていました。
また、ふだんはさまざまな映画のポスターが掲示されているフレームもユニコーン一色になり、各フロアにepisode1~7までのポスターがずらり。ところどころにスタッフや役者のサインが入ったポスターもありました。
■舞台挨拶では福井晴敏氏の暴露トークも
上映前の舞台挨拶では、ストーリーを担当した福井晴敏氏、古橋一浩監督、脚本担当のむとうやすゆき氏、サンライズの小形尚弘プロデューサーが登壇。
↑左から福井晴敏氏、古橋一浩監督、むとうやすゆき氏、小形尚弘氏。
小形プロデューサーが「今回は本当にギリギリで、各所にご迷惑をおかけしてしまって」と切り出すと、古橋監督も「90分は長いですね。1年2カ月かかったんですが、もっと時間が欲しかったです」と、かなり厳しい状況だったことを報告。その間に期待が高まり過ぎていることを心配し、福井氏からは、楽屋で「今日は観客のハードルを下げるために来た」と言っていたと暴露される一幕も。
シナリオに関しては、むとう氏によれば「終わったのは2011年の夏でした。6、7と一気に・・・・・・」とのことで、episode4の公開前には完成していたようです。
昨年、コンテが1/3ほどできあがったあたりで古橋監督が入院するという緊急事態が発生したものの、手術をすると入院期間が長引くということで抜本治療はしなかったとのこと。「入院してたら終わってなかった」と古橋監督。
作画に入り始めたのは実質1年ほど前からで、小形プロデューサーは「70分でシナリオをつくっていただいたんですが、気づいたら90分になっていた」と、想定より尺が長くなったことを明かしていました。
完成した作品について福井氏は、「思ったとおりにできたことは間違いない」と断言。「今回はいくらハードルをあげても対応可能な自信がある」と語り、本編の前に流れるepisode EX『百年の孤独』についても「これがまた濃い」と自信のほどをアピール。
百年の孤独は25分ながら体感時間では2時間に感じられ、さらに本編の体感時間は2時間をはるかに超えるということで「かつてない経験をすると思う」と語り、類を見ない情報量の多さであることが伺えました。
むとう氏も「モビルスーツもそうだし人の芝居がすごくていねいで、ステップアップしてきてついに行き着くところまで行った」と語り、「作画オタクなので映像をかなり高いところに設定してしまうんですが、何で監督がハードルを下げたがるのかがわからない」と自信のほどを見せていました。
小形プロデューサーの「宇宙世紀が好きな人たちが喜んでもらえる内容になった」という言葉や、福井氏の「中学生や高校生のころにサンライズのロボットアニメを見ていた、あの時の気分の総決算が体験できる」、むとう氏の「当時劇場版で徹夜して並んでいたような方々が、往年の気分を思い出せる」といった言葉が、端的に作品の方向性を表わしていると思います。
『機動戦士ガンダムUC』の映像作品はこれで完結ですが、7月に澤野弘之氏によるオーケストラコンサートがパシフィコ横浜で開催されるほか、以前行なった朗読劇『赤の肖像』に対して、福井氏が「赤をやったら白もやらなきゃだめだろってことで」と前置きし、『白の肖像』と称していろいろと企画が進行中であることが明かされ、UCの展開はまだまだ続くことが伝えられました。
当日は全11回の上映のすべてで舞台挨拶をするとのことで、「じゃあもうあれです。我々、これから同じ事を10回やるので」という福井氏の言葉に、笑いと拍手のなか同コーナーは終了となり、いよいよ上映会がスタート!
これからepisode7を観るつもりの人にひとコト言わせてもらえるなら、「今回はぜひとも劇場で観るべき!」ということです。
これはtwitterやfacebookに書いたり、友人に直接言ったりしているのですが、劇場版『機動戦士ガンダム』を観に行った世代の人たちには特に強くアピールしたいところ。episode EX『百年の孤独』とあわせて観ることで、劇場が“あのころを追体験できる空間”になったと感じられました。
今回は6月13日(金)までの4週に渡って上映しているとのことなので、数回は足を運ぼうと思っています。
©創通・サンライズ
●機動戦士ガンダムUC(外部リンク)
週刊アスキーの最新情報を購読しよう
本記事はアフィリエイトプログラムによる収益を得ている場合があります