いやー、気が付けばスポーツをするのにサイコーの季節が到来してますね。運動時に活動量計を活用してる人も多いと思います。実際、いろんなガジェットが出ていますが、テニスを楽しむ人に超絶オススメしたい製品がついにこの5月下旬に発売されます。今年の1月にソニーがCESで参考出展し、話題になっていたやつです。皆さん覚えてます?
それが、スマートテニスセンサー『SSE-TN1』(関連記事)です。ジャジャーン!!
Smart Tennis Sensor(スマートテニスセンサー)
『SSE-TN1』
●ソニー
●予想実売価格 1万8000円前後(税別)
グリップエンドに付けたセンサーでテニスプレーヤーのショットを即時分析し、スマホやタブレットの専用アプリ(無償提供)で表示できるというシロモノです。各ショットのフォア/バックハンドなどのスイング種別や、ラケットでボールを捉えた位置、スイング速度、ボール速度、回転量などの情報を簡単に可視化して楽しめるのです。
CESのときは「どうせあくまで参考出展でしょ?」とあまり期待せずに眺めていたのですが、なんとなんと1月20日には5月下旬の発売を発表。ちょっとした驚きとともに、それから指折り数えてました、この日まで。ついに借りられる日を迎えたので、速攻で試用してみました!!
■なんとなく開封の儀
パッケージがちゃんとしていたので、たぶん製品版と同じか、かぎりなく近いものなのでしょう。ということで、なんとなく開封の儀。もし製品と全然違ったら、スッとなかったことにしてください。
↑上面の下のほうにドドーンと“for YONEX”とありますね。
要するに、YONEXのラケット専用という扱いです。ソニー広報に確認したところ、5月下旬の発売時点ではYONEX製ラケット6モデルのみ。他社製ラケットへの対応も検討中とのこと。1月の発売発表時の状況と変わりないようです。販売はYONEXのラケットを扱うスポーツ用品店などを通して行ない、ソニーストアでの扱いはありません。
ミーハーなアエロプロドライブ使いなので、ぜひともバボラ対応をお願いしたいのですが……。ただ、バボラは自前で似たようなセンサーを内蔵したピュアドラを出してるので難しいのかなーとか、いっそYONEXに乗り換えるか!? とかとか。ちょっと悶々。
気を取り直して開けてみましょう!
↑透明なプラケースを外し……。
↑よいしょっと本体を留めた紙ごと出して……。
↑中身をひととおり並べてみたところ。
うーむ。他社製ラケットでもグリップエンドのエンドキャップを外したところに黒い輪っかのアタッチメントパーツがきちんと付けられれば使えそうですね。実際には、ラケットのモデルに合わせて解析データを調整する必要があるため、ソニーさんが「対応したよー」と言ってくれるのを待つしかありませんが。
さて、いっしょに借りた試打ラケットに取り付けてみます。ラケットは『EZONE Ai 100 E』です。“E”はスマートテニスセンサー対応ラケットに付けられた証し。YONEXのサイトによれば、「包み込む打球感とスピードで攻めるオールラウンドモデル」だそうで。
おっと、取り付ける前にしなきゃいけないのが充電です。
↑充電用クレードルにSSE-TN1本体をカチッとひねってはめ、付属のmicroUSBケーブルをつなぎます。ACアダプターは付属してませんが、そのへんはスマホと同様です。充電時間は計ってませんが、スペック表では2時間充電で3時間(Bluetoothオフ)ないし1.5時間(bletoothオン、60分で500球ペース)利用可能とのこと。
↑充電が終わったら晴れて取り付け。対応ラケットのため、最初からエンドキャップが簡単に外れる仕様になっています。外したところにアタッチメントをはめ(ツメでパッチリとはまります)、そこに本体をカチッと取り付けます。
↑グリップを握ると、手のひらの端にギリギリかするかどうかという感じ。サーブ時などに少し触れますが、気になるほどではありません。ひっかかって取れるといったこともまずないかと。重さは8グラムで、持った感じでは全然わかりません。なお、付けたままラケットトスをしてセンサーに強い衝撃を与えてはダメです。
あとは、スマホに専用アプリを入れ、指示にしたがってセンサーやプロフィール、ラケットの登録など、初期設定をします。
↑プロフィールやラケットを登録。利き腕もここで設定します。筆者は左利きなのですが、ちゃんと設定すればフォアをフォアとして認識してくれます! なお、ユーザープロフィールで登録できるのはひとりだけ。複数ユーザーを登録できれば、仲間内で使い回して遊ぶといったこともやりやすいんでしょうけど。しかたないですかね、商売ですし。スクール向けなどに別途売られたりするのかも。ちなみに、ラケットは最大で10本(モデル)まで登録できます。
■やっとこさっとこ実践
(ホントはココまでわずか数分:充電時間のぞく)
さて、前置きが長くなりましたが、ようやくここから実践です。SSE-TN1はセンサーで読み取ったデータをスマホに飛ばして表示するシステムですが、大きく分けて2種類のモードが用意されています。
ひとつは、SSE-TN1単体でログをひたすらとり続けて、あとでスマホに転送し、各種データを確認する“メモリーモード”。使用中にBluetoothの電波を飛ばさないので、そのぶんバッテリーがもちます。最大で約1万2000球のショットデータをメモリー内に蓄積できます。
もうひとつは、Bluetoothを使いリアルタイムでスマホにデータを飛ばす“ライブモード”です。この場合、その場でスマホを持っている人(友人とかコーチとか)がデータを見ることになりますが、そのスマホで同時にビデオが録れるので、本人があとからデータとビデオを合わせて見ながら確認できるのが特徴です。
文字だけ読んでもハテ?という感じでしょうから、順に各モードをスマホ画面を交えて見ていきましょう。連携する専用アプリはAndroid 4.1以降、iOS6.1以降に対応しますが、今回はAndroid版(Xperia SO-02F)での試用です。バージョンは0.95.0.a.Eだったので、製品発売時に一部内容変更される可能性がある点はご了承ください。なお、対応ラケットはアプリ公開(5月下旬予定)後にも随時アップデートするとのこと。
■ログをとり続けるメモリーモード
このモードでは、テニスプレー時に、ひとまずスマホをもたなくてかまいません。SSE-TN1本体の電源ボタンを押したら赤色LEDがのんびりと点滅しはじめるので、ラケット片手にレッツプレー! ひたすら打つべし打つべし打つべし。
そして打ち終わったら、ようやくスマホの出番です。
↑アプリを立ち上げたところ。アプリ側がSSE-TN1本体を認識していないと、右上のセンサーを模した丸いアイコンがグレーになります。ここで、SSE-TN1本体のBluetoothボタンを押します。
↑するとSSE-TN1を認識し、グレーのアイコンがオレンジに変わるので、タップしてメニューの“データ取り込み”をタップし、取り込みを開始します。
データの取り込みが完了したら、そのプレーした日付をタップ。ちなみに、この日付部分を長押しすると……。
↑Facebookでのシェアや、編集(日付の背景を写真などに変更できる)、削除などができます。
日付をタップすると“プレーレポート”画面が開きます。ここでは、その日のショット種類の割合がひと目でわかるドーナツグラフが表示されます。
↑“プレーレポート”を開いたところ。ま、だいたいフォアが占めます。
ここで、例として“Forehand Spin/Flat”を選んでタップします。
↑すると、フォアハンドのショットのみでのインパクト位置(多く当たっているところが赤い)や、ボール回転(10~マイナス10までの21段階)、スイング速度、ボール速度の平均値がわかる画面が表示されます。
ここで、下にあるルーペアイコン(+)を何度かタップすると……
↑表示区間が1時間、30分、10分、5分……、30秒と狭くなり、画面の表示内容もその区間のショットの平均値に自動的に切り替わります。
表示区間は左右にスワイプでき、何時何分ごろにやった練習内のデータはどうだったろう?といったチェックが簡単にできます。表示区間を30秒にすれば、各ショットが点(●)として明確になるので、その速度なども確認可能です。
↑画面上部にある“Forehand Spin/Flat”をタップすると、別のショット種別に切り替えられます。いちいち元の画面に戻らなくて済み便利。“すべてのショット”を選ぶことも可能。ショット種別が色分けされているため見やすいです。また、打った日付が複数あれば、左右の三角ボタンで表示を切り変えられます。
実際に試すと、ボール速度や回転は、意識して振るとそれなりに上がることがわかります。おかげでつい、いつもにも増して頑張ってしまいました。Max速度や平均速度、もっと上げるにゃどうすりゃいいのさ?と、かなり燃える感じ。その一方で、どう頑張ってもインパクト位置が安定していないことが如実にわかってションボリ。向上心がメラメラとわき上がってきます。
それにしても、フォアもバックハンドもボレーもサーブもスマッシュもまるわかりなんですね、こんなちっぽけな機器ひとつをグリップエンドに付けるだけなのに。スマッシュとサーブの違いもきっちり認識しています。なんとも感動。
■リアルタイムにデータを飛ばすライブモード
さて、もうひとつのライブモードですが、基本的に表示できるショットのデータはメモリーモードと変わりません。ただし、ほぼタイムラグなしのリアルタイムで打ったショットがどんなものだったかが、スマホをもつ人に伝わります。
↑まず、データを取り込むときと同様、Bluetoothを接続済みにし、“ライブモードスタート”をタップします。
↑左がライブモードを起動した画面。ボールを打つと、右のサンプル画像のようにインパクト位置などが表示されます。画面の“+”ボタンをタップすれば、その時点を目印としてデータにタグ付けでき、あとから参照しやすくなります。
ライブモードを使えば確かに、「今のショットはスイートスポットで打ててた」とか、サーブ時に「上過ぎ」とか、「もっと回転かけて」とか、助言しやすそうだなと思いました。まあ、コーチングする立場じゃないんで、想像ですが。
そして、このライブモードには“ライブモードビデオ”という機能があります。これがとにかく楽しいというか、最新技術ってスゲーな!というか、とにかく超スグレモノでして。
↑まず撮影者は“ライブモードビデオ”をタップし、スマホのカメラでプレーしている人のビデオを撮影します。その間、画面下部にはリアルタイムでインパクト位置とか速度などが表示され続けます。
↑プレーを終えたら、プレーレポート画面で撮ったビデオのサムネイルをタップ。あとは再生するだけで、自分のプレーを見ながら、そのインパクト位置やスピードを同時にチェックできます。再生ボタンの横には、早送り/巻戻しボタンもあり、タップすると次のショットにスッと飛びます。これがなにげに超便利。ストレスなくショットの確認ができます。
↑さらにショット種別ごとに見ることも可能です。ビデオでフォアだけを再生してチェックしたり、あるいはサーブだけ、バックハンドだけ、……、という具合に見たいショットのみを抜き出してまとめてチェックできるんです。なんとも便利すぎ!!
↑画面右上の“>”ボタンをタップすると、すべて、あるいは各ショットのデータをグラフで確認できます。
■ひとまずの試用を終えて
数回使ってみて、楽しいと感じたのはやっぱりライブモードビデオ。ビデオと合わせてラケットのどこにボールが当たっているか見られるので、「あー、あのときはやっぱりね」と、振り返る際、非常にイメージしやすいのがメリットです。フォームや足運びなどといっしょにチェックできるので納得感が違います。
↑とにかく楽しくて驚きがある“ライブモードビデオ”。自分のダメさ加減が赤裸々になって、へこむわけですが。私は元気です。
デメリットはSSE-TN1とスマホのバッテリーがけっこう減りやすい点と、ひとりで使うには操作が少々めんどうな点。スマホを設置して録画ボタンを押して、コートに打ちにいって、打ち終わったらまたそこに戻って……というのは現実的ではないので、打ち合う相手のほかに、撮影者(休憩者)がひとりいたほうがいいです。まあ、撮りっぱなしでもバッテリーやメモリー容量的に1時間くらいは大丈夫そうですが、アプリがエラーを起こして撮影に失敗することもあったので、こまめに撮るほうが安心です。
↑たまに出るエラー。原因は不明ですが、しばらく撮りっぱなしにしていたために出た印象。アプリのバージョンアップなどで改善されるかも。
↑動画サイズは設定で変更可能。フルHDで調子に乗って撮っていると、1度の練習でスマホの容量がひっ迫します。
そこで、ログりっぱなしのメモリーモードの出番です。人に撮影を頼むめんどくささがないぶん、長続きするのはこっちかなと。ふだんの練習はとにかく手間をかけずにひたすら打ってログってデータ解析して、たまに本気で練習するときとか、仲間とワイワイしたりゲームしたりするときにライブモードを活用するってのがよさそうです。
実際に使ってみて、とにかく気が利いているというか、お初の製品にして、すでに完成度が高いなーという印象を受けました。開発にはソニーのテニス部の方々も関わったと聞きますが、ユーザーが望むことをきちんと吸い上げ、作り込んだんだと思います。
とまあ、すでに買う気満々のレビューになってしまいましたが、気になった点もなくはなかったので少々。ごくまれにですが、ショットが認識されないことがありました。マニュアルによれば、ドロップショットや小さいスイングでのショートラリーなどは、ショットとして認識されない場合があるらしく、フォロースルーを大きくすると、ショットとして認識されやすくなるようです。
センサーの感度や精度は、もうちょっとじっくり使用し続けないと実感できなさそうです。ただ、自分よりうまい相手に使ってもらってデータを取ると、あきらかにインパクトの位置がスイートスポットに集中していることがわかり、精度はかなり高い印象を受けました。少なくとも筆者のように趣味レベルのプレーヤーなら十二分に満足して楽しめるはずです。競技志向の人は別の感想をもつかもしれませんが、機会があればきいてみたいですね。
あと、動画はスマホから撮影したスマホ上でしか視聴できない仕様のようです。高画質設定でビデオを撮り続けると、わりとあっという間にスマホのストレージがいっぱいになってしまいます。PCなどに吸い出して見られるといいのですが、アプリを触ってみた限り、そうしたメニューは見当たりませんでした。
ソニー広報によれば、現時点では、ビデオと同期再生データの両方を他の場所に移すことはできないとのことです。ただ、データとの紐づけを切り離し、ビデオデータのみ残すことは可能です。USBケーブルを介してPCにコピーできるとのこと。個人的な希望としては、たとえばクラウド上にデータを移してブラウザー上でスマホと同様に解析データとビデオを合わせて見られたりしちゃったらうれしいのですが、どうでしょうかね。
↑ビデオは、サムネイルの長押しから個別に削除可能。
↑指定した日付のデータを削除すれば、ビデオも含め丸ごと削除されます。
また、ガットを変えたり、ラケットを変えたり、振動止めを付けたりしたとき、各種データにどのくらい影響が出るかも気になりました。たんに、きちんと差が出てくれるとうれしいという、オタク的発想ですが。ひとまず購入したあかつきには、ガットの違いでスピン量にどの程度差が出るのか試してみたいです。
ちなみに、試打したEZONE Ai 100 Eは打ったときの振動が少ないと評判で、振動止め不要という人もけっこういるラケットです。そこに、あえて振動止め(ジェルの入った棒状のタイプ)を付けてちょっとだけ打ってみました。
すると、ショットの認識は問題なくできていましたが、ボール速度が全体的に10キロ前後落ちる感じでした。実際に振動止めの影響で球速が落ちてるのかもしれませんし、センサーに微妙に影響を与えているのかもしれません。常に付けていれば、その中で比較できるんで問題ないとは思いますが、正確さを求めるなら付けないほうが無難かも。
なお今回は、Androidスマホでの試用でしたが、iPhone、iPad、AndroidタブレットではUIなどどう違うかも気になります。撮影はスマホのほうがラクですが、視聴はタブレットのほうがさらによさそう。練習後、HDMIなどで大画面テレビに出力したら、仲間とさらに盛り上がって楽しそうです。
というわけでずいぶんと長々とレビューをお送りしてしまいました。ここまでお読みいただいた方、どうもありがとうございます。とにかく楽しいガジェットなので、テニス好きには超オススメです。YONEX派の人なら買わない理由はないかも。テニスライフが間違いなく変わりますよ。にしても、ムチュア・マドリッド・オープンの錦織選手、すごかったですね。ケガの状態が気になりますが、全仏も盛り上がりたいですね。
■関連サイト
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