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ドコモ決算発表詳細、2014年度は“チャレンジングな数字”で“果敢に挑戦”

2014年04月28日 17時45分更新

 NTTドコモは、2013年度の決算を発表した。営業収益は前年度比0.2%減の4兆4612億円、営業利益は同2.1%減の8192億円の減収減益。年間の利益目標8400億円に到達しなかったことに加え、インドでの事業撤退を決めたことで、加藤薫社長を始め、役員の賞与を一部カットする形で責任を取る。2014年度は、新料金プランやネットワーク強化、効率化などで、「成長軌道に向けて新たな礎を作りたい」(加藤社長)考えだ。

ドコモ決算

↑加藤薫社長。

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↑2013年度決算の主な指標。

 業績を圧迫したのは、上期の契約数の不調だ。上半期は24万の純増しか獲得できず、端末の総販売数も前年度比4.4%減の2251万台にとどまった。スマホ販売数は1378万台と同3.7%増だったが、目標の1620万台に及ばず、利益がほぼ横ばいにとどまった。ただ、総販売数の6割以上がスマホになり、LTE端末の比率は同30%増の79%に達し、売上増に繋がっている。

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↑営業収益、営業利益ともに前年度比マイナスで、通期目標にも届かなかった。

 第3四半期以降は、iPhoneの導入にともなって純増数も増加。第3四半期は41万増、第4四半期は92万増となり、さらに第4四半期は月を追うごとに純増数は増え、3月には52万増に達するなど、改善傾向にある。端末販売も第4四半期に増加しており、iPhone効果があらわれているが、導入の遅れがひびき、2013年度決算への貢献は限定的なものにとどまった形だ。さらに、顧客獲得のためMNPに対するキャッシュバックを各社が積み増したことで、解約するユーザーも増加。解約率は昨年度末の0.91%から、第3四半期には0.76%まで低下したが、第4四半期に1%に達した。

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↑純増数は第3~4四半期に掛けて増加。iPhone効果が現れた形で、第4四半期内でも後半にさらに伸びた。

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↑MNP市場の過熱によって解約率は1%にまで上昇した。

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↑iPhoneの導入でそれも改善しつつある。

 携帯事業の売上では、音声収入が803億円減少し、パケット収入の増加分1212億円でそれをカバーしたが、月々サポートによる減収要因が2536億円に達し、利益を相殺した。端末販売収入は1139億円の増加となったが、それに伴って機器販売費用も109億円増加。新領域と呼ばれるサービスなどの売上は899億円増加したが、これらの費用も215億円増加。結果として、前年度比で収益は89億円の減少で、さらに営業費用が91億円増加したことで、営業利益は180億円の減少となった。

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↑月々サポートや販売費用の増加などが圧迫した。

 ARPU(1ユーザー当たりの月間平均収入)は、前年度比20円増の5200円。音声ARPUは180円減、パケットARPUは130円増で、新領域のスマートARPUが70円増加したことで、前年度より増加した。

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↑ARPUは上昇している。

 新領域の主要サービスは、iコンシェルが981万、dマーケットが769万、ドコモサービスパックが737万契約に達し、全体では2200万契約を突破して順調。dマーケットは第2四半期から第3四半期にかけて、iPhoneへの対応の遅れから成長が鈍化したが、第4四半期には対応を進めたことで回復。dマーケット1ユーザーあたの利用料は3月に890円まで達し、前年同月比で30%以上の増加。個別課金のサービスに加え、月額サービスの契約数が伸びたことも要因だ。新サービスのdトラベルも、まだ「2万契約程度」(加藤社長)だが、順調だとしている。新領域の収入は、前年度比約20%増の6320億円となり、約1000億円の成長を達成した。

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↑主要なサービスは、順調に契約数を拡大。

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↑いったん鈍化した伸びも、iPhone対応移行は回復した。

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↑1ユーザーあたりの利用料も伸びており、新領域全体では1000億円近い増収となった。

 競争の源泉として、加藤社長はLTEネットワークも重視。2012年度末に2万4400局だったLTE対応基地局は、当初計画の5万局を超える5万5300局まで拡大。1年間で2.3倍まで基地局数を増やした。2014年度は、設備投資自体は13年度の7031億円から6900億円に減額するが、LTE関連投資は3878億円から4650億円に拡大させる計画。これによって2014年度中に9万5300局まで基地局数を増やし、さらに100Mbps以上の速度に対応した基地局を、3500局から4万局と10倍以上に増加させる。

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↑LTE対応基地局を前倒しで設置した結果、第三者機関の評価でもつながりやすさが向上しているという。

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↑2014年度は、さらに4万局を追加し、100Mbps以上の基地局も10倍に拡大する。

 加藤社長は、目標未達に終わった2013年度決算について、第3四半期以降の契約数の増加やスマホ契約者の増加によるパケット収入の増加があったものの、全体としては不十分だったとの認識で、コスト削減も計画以上に前倒しして実施したが、端末販売が振るわず、春商戦には販売費用も増加して利益を圧迫したことを問題点として挙げる。

 これに対して2014年度はスマホ利用者の拡大、フィーチャーフォンとタブレットの組み合わせなど、複数デバイスでの利用を促進させる施策によって、パケット収入をさらに増加させたい考え。キャッシュバック偏重による「不健全」(加藤社長)な競争から脱却すること目指し、LTEネットワークとサービスによって他社と差別化、顧客満足度の向上によって解約率低下を目指す。高止まりしている月々サポートも適切な価格にコントロールし、営業費用の拡大阻止も狙う。

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↑2014年度の取り組み。

 具体的な施策として、6月から提供を開始する新料金プランを訴求。「時代を先取りした」(同)料金プランであり、ドコモに寄せられる声は、「iPhone発表の時に次ぐ多さ」(同)だという。肯定的な反応も多いとしているが、まだ訴求が足りない面があるとしており、さらにアピールを強化していく。

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↑新料金プランを訴求する。

 加藤社長は、「スマホにすると料金が高くなるという構造があった」として、新料金プランを導入したと話し、新しいプランにすることで、今までより値下がりするユーザーも「たくさんいる」との認識だ。その上で、「見た目は値上がりになる人もいるかもしれないが、(音声通話し放題の)カケホーダイをどう捉えるか」と述べる。加藤社長は、「LINE(の音声通話)でいいという人もいるだろうが、それはひとつの選択」としつつ、音声の品質、110番などの緊急電話といった点を優位点として挙げて、「音声回帰を提案している」という。

 この音声回帰を目指した施策のひとつが、夏モデルから利用可能になる“VoLTE”の導入だ。VoLTEによって、音声品質はさらに向上。遅延も少なくて「話しやすい」のだという。事業者としては、周波数利用効率が向上するのもメリットだ。

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↑VoLTEの提供で音声コミニュケーションを促進させたい考え。

 料金プランでは、長期利用者への優遇がなく、MNPによる解約率の増加に繋がっているとして、長期利用者に対する割引を提供するなど、顧客満足度の最大化に向けた施策を打つ。

 新料金プランは、パケット利用の促進、音声通話の促進、契約数の拡大、販売費用の適正化を目標としており、これによって収益を拡大し、「モバイル事業で、もう一度足腰をしっかりさせたい」(同)考えだ。

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↑新料金プランによって基礎固めを行なう。

 さらに、“LTE-Advanced”を2014年度中に導入し、キャリアアグリゲーションなどの技術を使うことで、下り最大225Mbpsの速度を実現する。現在、ドコモは最速で下り150Mbpsを実現しており、KDDIのようにキャリアアグリゲーションを用いなくてもこの速度が出せるとの認識で、LTE-Advancedを一気に導入し、200Mbps以上の速度を提供したい考えだ。最大10Gbpsという超高速の5G(第5世代)の開発も進めていく。

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↑LTE-Advancedの導入で、一気に225Mbpsまで速度を上げる。

 新領域では、dマーケットのサービスをさらに拡充。取扱高も900億円規模に拡大させる計画で、「できれば1000億円を目指したい」(同)。さらに、月額課金サービスを重視し、この契約数で早期に1000万契約を目指す。

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↑dマーケットの拡充などで新領域の収益を拡大する。

 そのほか、海外市場でのさらなるビジネス拡大、グループ再編などの事業構造の改善なども推し進め、利益の増大に向けた取り組みを行なう。

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↑海外での事業拡大、事業構造の改善なども実施。

 この結果、2014年度の通期では、営業収益は4兆5900億円、営業利益は7500億円、純増数は370万、総販売数は2330万台、パケット収入は2兆2180億円、スマートARPUは530円、といった計画を掲げる。純増数など、「チャレンジングな数字」(同)であり、達成は困難も予測される。加藤社長は、2014年度は新料金プランやネットワーク強化、コスト削減など、中長期的な成長に向けた基礎固めの年と位置づけ、土台作りのために「果敢に挑戦していきたい」と強調している。

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↑2014年度通期予想。

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