4月24日、米Amazon.comにSurface Mini用と称する数種類のケースが掲載(関連リンク)されたことが話題となっています。
↑米Amazon.comに掲載された、Surface Mini用と称するケース。 |
そこで、以前から噂の絶えないSurfaceシリーズの小型版『Surface Mini』の発売可能性について、改めて考察してみたいと思います。
■5月中旬というスケジュールはあり得るか
残念ながらAmazon.comに掲載された商品画像は、画面上部にあるフロントカメラや本体下部のヘッドフォンジャックから、レノボの8インチWindowsタブレット『ThinkPad 8』の画像とみられます。また、同じメーカーがThinkPad 8用のケースも販売しており、その画像をSurface Mini用として使い回しているようです。少なくともこの画像から、Surface Miniのスペックや機能を予測することは無理といえるでしょう。
↑製品画像は同メーカーが販売するThinkPad 8用ケースからの流用となっている。 |
海外の展示会などでは、未発表のiPhoneやGALAXY用と称するケースを陳列し、注目を集めようとするメーカーが後を絶ちません。今回のSurface Mini用ケースもそれに類するものである可能性はあるものの、一方で発売日は5月18日と、かなり具体的です。
そもそも小型版Surfaceは、4月の開発者向けカンファレンス『BUILD 2014』での発表が期待されていました。しかし特に言及されないまま、宙に浮いた状態となっています。
この次のタイミングとしては、PC業界における重要な展示会として6月3日から台北にて開催予定の『COMPUTEX TAIPEI 2014』(関連サイト)があります。6月4日にはマイクロソフトによるフォーラムの開催が予定されており、昨年、同社はこの場においてWindows 8.1のスタートボタンを始めとする新機能を披露しました。
また、マイクロソフトが”デバイス&サービスカンパニー”というビジョンを打ち出していることは周知の事実です。第2世代Surfaceの発売にあたっては、Windows 8.1のローンチと同じタイミングで投入することで、いくつかのPCメーカーに先んじる結果となりました。この勢いがあれば、COMPUTEXにSurfaceをぶつける可能性も、ないとは言い切れません。
ただ、COMPUTEXにおけるマイクロソフトは、重要なパートナーであるPC業界のOEM・ODMメーカーとの関係を深め、Windowsエコシステムを強化するという立場にあります。小型版Surfaceの投入のように、PCメーカーとの競合関係を意識させ、わだかまりを作るような発表は極力避けるべきといえます。
そういう意味では、5月中旬にSurface Miniを単独で発表しつつ、台北ではOEM・ODMメーカー各社の新製品にスポットライトを当てる、というのが無難なアプローチではないでしょうか。
■キックスタンド、キーボードはどうなる?
具体的な発表時期がいつになるのかはさておき、小型版Surfaceを予想する上で気になるのが、キックスタンドやキーボードの扱いです。
8インチクラスの小型タブレットは厚さや重さの制限が厳しく、10インチクラスのタブレットと同じキックスタンドを内蔵することは難しいものと予想できます。本体の小型化に合わせた簡易な構造のスタンドを発明したとしても、他メーカーの同クラス製品と比べて厚さや重さの点で無視できない差が生じるのではないでしょうか。
キーボードも課題のひとつです。8インチクラスの小型タブレットは、一般的なフルサイズのキーボードより横幅が狭いという特徴があります。iPad miniやNexus 7用のキーボードにみられるように、タブレットの大きさに合わせてキーボードをデザインすると、キー配列やキーピッチの面でどうしても無理が出てきます。
↑小型タブレットとフルサイズキーボードは、横幅が異なるという問題がある。 |
また、現在の小型タブレットは電子書籍、動画、ゲームなどのコンテンツ消費用途を想定したものがほとんどです。一方、仕事にタブレットを活用したいビジネスユーザーには、現在のSurfaceのような10インチクラスの人気が高く、今後は12インチ以上への拡大が期待されています。
■登場時期はBack to Schoolを意識? 日本でも期待
これまでSurfaceは、Office搭載やキーボード対応など、“仕事に使える”というイメージが強調されてきました。その延長線上に位置付けるのであれば、小型版モデルよりも、むしろ大型モデルのほうが“売りやすい”はずです。逆に小型版のSurfaceは、従来とは異なる打ち出し方により、新たな利用形態を訴求していく必要があるものと考えられます。
海外では9月からの新学期に備え、7~8月は学生向けの商品がよく売れる“Back to School”シーズンとなり、年末商戦に次ぐ大きな商戦期となっています。もし小型版Surfaceが5月発表なら、このシーズンに狙いを定めていく可能性が高いでしょう。
価格はどうでしょうか? 現在、小型Windowsタブレットは米国で200ドル台となっており、さらにBUILD 2014では、9インチ未満のデバイス向けにWindowsのライセンス料を無償化する施策が発表されました。これを適用すれば、実売価格で100ドル台も見えてきます。小型版SurfaceはWindows RT 8.1搭載機との噂もあり、もし本当なら同サイズのWindows 8.1タブレットに対して競争力のある価格設定を期待したいところです。
↑今後登場する小型Windowsタブレットには、OSライセンス料の無償化を前提とした価格設定が期待できる。 |
日本についても、第2世代Surfaceはグローバルからわずかに遅れるだけで発売にこぎ着けた実績があり、世界的に見てもSurfaceシリーズや小型Windowsタブレットが最もよく売れている市場のひとつとなっています。
これら一連の騒動について、日本マイクロソフトは「推測にはコメントできない」と回答しています。
■関連サイト
Microsoft Surface
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