4月2日(現地時間)、米サンフランシスコにてマイクロソフトによる開発者向けカンファレンス「BUILD 2014」がいよいよ開幕しました。
初日の基調講演は、Windows 8.1やWindows Phone 8.1などのクライアントOSが中心に取り上げられ、次期アップデートに関する情報が一挙公開されました。まずはWindows 8.1向けの最新アップデート、『Windows 8.1 Update』に関する発表を見ていきましょう。
最初に登壇したのは、新CEOのサティア・ナデラ氏ではなく、オペレーティングシステム部門を統括するテリー・マイヤソン氏。
↑BUILD 2014初日の基調講演。まずはテリー・マイヤソン氏が登壇。(画像はChannel 9より http://channel9.msdn.com/Events/Build/2014/KEY01) |
まずマイヤソン氏は、“Your fans are waiting...”という動画を紹介。会場に集まった開発者だけでなく、Webキャストを視聴している世界170カ国の開発者に向けて、「皆さんが作るアプリを、世界中の人々が待っている」と呼びかけました。
↑世界で15億人のWindowsユーザーが、BUILD 2014に参加した開発者がつくるアプリをもっているという、地球規模で制作された動画。Windowsならではの強力なメッセージだ。 |
↑デルタ航空のボーイング757と思われるコックピットも登場。パイロットの両脇には、同社が導入したSurfaceが確認できる。 |
続けてWindows Phoneでお馴染みのジョー・ベルフィオーレ氏が登壇。まずはWindows 8.1 Updateについて、4月8日より、既存のWindows 8.1ユーザー向けにWindows Updateを通して無料配布することを発表しました。
↑Windows Phoneでお馴染みのジョー・ベルフィオーレ氏。最近はWindows 8.1も担当している。 |
↑アップデートは、4月8日(火)よりWindows Updateを通して提供する。なお開発者向けにはMSDNで即日ダウンロードを開始した。 |
Windows 8の時点では、タッチ操作を中心としたWindowsストアアプリと、キーボード・マウス操作を中心としたデスクトップアプリの世界は、大きく断絶していました。しかし昨年10月に登場したWindows 8.1では、スタート画面やデスクトップに関するいくつかの改善が加わり、両者が歩み寄りを始めたのは記憶に新しいところです。
さらにWindows 8.1 Updateでは、キーボードとマウスを中心に使うユーザーの使い勝手を改善。Windowsストアアプリには“タイトルバー”や“×ボタン”が表示され、マウスによる操作感が改善されます。また、Windowsストアアプリはタスクバーに表示されるようになり、最小化やもとの大きさに戻すといった操作を、Windowsデスクトップアプリと同じ感覚で行なえるようになります。
↑Windowsストアアプリ版のFacebookアプリ。マウスで操作しやすいよう、タイトルバーや“×ボタン”が追加された。 |
↑スタート画面からタスクバーにアクセスできる。Windowsストアアプリがタスクバーに表示されるのも新機能のひとつだ。 |
Windows 8ではわかりにくいと不満の声が大きかったシャットダウン方法について、Windows 8.1 Updateでは電源メニューがスタート画面右上に配置。マウスでも使いやすくなります。
↑画面右上からシャットダウンや検索ができるようになった。 |
ほかにも、タイルを右クリックすることでサイズ変更のためのコンテキストメニューが表示されるなど、スタート画面をマウスで操作するユーザーにとって、期待通りに動作するような改善が入っています。
↑タイルを右クリックするとコンテキストメニューが表示される。マウス操作に対するレスポンスとして、ユーザーが期待する通りの振る舞いだ。 |
■さらに後続のアップデートでスタートメニューが復活
マイヤソン氏は、Windows 8.1 Updateに続く、さらなるアップデートについても簡単に紹介。スタートメニューの復活や、Windowsストアアプリのウィンドウ状態での実行が可能になることが発表されました。
Windows 7以来の“復活”となるスタートメニューは、以前のWindowsのように、画面左下に表示されるものであることが分かります。ただし違いとして、Windows 8.1のタイルを並べるエリアが追加されており、スタート画面と同じような並べ替えや、動的な情報更新にも対応しているようです。
↑復活するスタートメニューは、タイルも表示可能。デスクトップ上に表示できる、小型のスタート画面のような印象だ。 |
同じくデスクトップ上では、Windowsストアアプリをウィンドウ化した状態で実行できるようになります。Windows 8.1 Updateでもストアアプリをタスクバーから操作できるようになりますが、さらにそれを一歩進め、デスクトップアプリと同じようにウィンドウ化できるようになるとのこと。
↑Windowsストアアプリをウィンドウ化して実行する機能も加わるようだ。 |
これらの新機能は今回のWindows 8.1 Updateには含まれないものの、すべてのWindows 8.1ユーザー向けのアップデートとして、今後提供予定であるとマイヤソン氏は言及しています。
■WindowsストアアプリとWindows Phoneアプリ統合へ? Universalアプリが可能に
WindowsストアアプリとWindows Phoneアプリは、これまで基本的な技術は似通っていたものの、パッケージやアプリストアは全くの別物でした。その垣根を取り払うべく、デバイスをまたがった新しいアプリのアーキテクチャとして”Universal Windows apps”が発表されました。
↑WindowsストアアプリとWindows Phoneアプリの融合を実現するUniversal Windows app。それぞれのアプリで大部分のコードを共有できる。 |
これにより開発者は、WindowsストアアプリとWindows Phoneアプリでコードを共通化できるようになります。これにより、同じユーザーインターフェイスを備えたWindowsストアアプリとWindows Phoneアプリを両方開発する、といったシナリオで開発効率が上がることになります。
また、アプリストアについても統合の方向にあり、一度購入したアプリをWindows PCやタブレット、Windows Phone上で自由に動かせるようにする、といった仕組みを実現できるようになるとしています。
■画面サイズ9インチ未満のデバイスではWindowsが無料化へ
最後に、Windowsのライセンス体系についても興味深い施策が発表されました。これまで小型のWindowsタブレット向けには、Windows OSやOfficeのライセンス料金を大幅に割り引くプログラムが用意されていたといわれています。
そしてBUILD 2014でマイヤソン氏は、画面サイズが9インチ未満のタブレットやスマートフォン向けに、Windowsを”0円”で提供することを発表しました。
↑小型デバイスという条件付きとはいえ、ついにマイクロソフトの主力商品が無料化へ。 |
これにより、人気上昇中の8インチクラスのタブレットなど売れ筋の小型タブレットにおいて、今後はWindowsのライセンス価格が無料になることが期待できます。これまで以上に低価格なタブレットや、同じ価格でより高性能なタブレットが登場する可能性が出てきました。
一方では、マイクロソフトのビジネスを支えてきた屋台骨ともいえるWindowsのライセンス料金を、限定的とはいえ無料化することで、衝撃も広がっています。
BUILD 2014では、Windows Phone 8.1についても多数の新情報が発表されました。こちらは追ってレポートします。
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