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SF作家 冲方丁、映画監督 本広克行らが語る「ウェアラブルがアニメ、映画に与える影響」

2014年03月27日 11時30分更新

 2014年3月25日、26日に開催された“Wearable Tech Expo in Tokyo in Tokyo 2014”では、“日本のアニメに見るウェアラブルの未来”と“ウェアラブルは、映画制作を変えるか?”とアニメと映画をテーマにしたセッションが行なわれた。

■ウェアラブルは日本がチャンス!?
 アニメのセッションでは近未来を舞台にしたアニメ『攻殻機動隊』など日本のアニメに登場する数々のガジェット、それは腕時計型のスクリーンであったりウェアラブルデバイスがどういうものか描かれていたものだった。そんな日本のアニメが築き上げてきたウェアラブルデバイスの未来像が現実になりつつある中、今後ウェアラブルデバイスがどのようにクリエイティブに影響を与えていくのかが議論された。

Wearable Tech Expo in Tokyo in Tokyo 2014セッション

↑“日本のアニメに見るウェアラブルの未来”のパネルセッションには左からTelepathyの井口尊仁CEO、ドワンゴなど複数の企業で取締役を務める夏野剛氏、SF小説家の冲方丁氏、映画監督の本広克行氏が参加。

 セッションの口火を切ったのは攻殻の大ファンとしても知られる夏野氏、「ウェアラブルは日本の時代だと思う。ソフトとハードの技術が必要、両方持っているのが日本。どういうアプリケーションがあるかをつくっている人がイメージが明確なうえで想像できている」と子供のころからアニメで近未来に触れていて、さらに若いころからコンピューターに触れている若い世代“現場の人間”にはチャンスがあるとしたうえで、障害になっているのは役員の世代。「上場企業の役員の資格は攻殻の感想文を出すこと」、「攻殻の中に未来のアイデアはすべて入っている。観ていない人が製造業やっちゃだめですよ」とまくしたてた。

 井口氏も「攻殻の世界に近づいてきている。悔しいのはウェアラブル、O2Oとか、なんでアメリカからくるの?」と、それに夏野氏は「お金と人の動きが悪い」と国内の産業界を一蹴。

Wearable Tech Expo in Tokyo in Tokyo 2014セッション

↑イベントのオープニングムービーは攻殻機動隊を製作する“Production I.G”が担当していた。近未来のガジェットが描かれる中、「現実はフィクションを超えるか?」、「流行で終わるか。常識になるか?」などのメッセージが流れた。

 井口氏が「現実のテクノロジーが毎月レベルで上がる。物語を書くのは大変では?」と尋ねると、小説家の冲方丁氏は「ケータイが普及したせいで、人が孤立する場面がつくりづらい。ライフラインが人類に何をもたらすのかを常に考えている。SFは何かが増えるか、何かが失われるかなんです。ウェアラブルが普及すれば、白い壁があったほうがいいのでテレビがいらなくなる。Google Glassもあるあるになったら、どう付き合うかが問題。おもしろい世界が待っているか、少し怖いなとも。物語がどう変質していくかわからない」としたうえで、現実をしっかりと踏襲して、何か物が浮いていたりなど変なSFはしないようにとしているという。

Wearable Tech Expo in Tokyo in Tokyo 2014セッション

 コンピューターが進化し、ウェアラブルが発展していけば、ますます人間のやることが減っていく。その時の人に対して、夏野氏は「データがサーバーにある。自分で暗記するのは価値がないようになってくると、人間の脳はイマジネーション、クリエーションに特化する。良い時代になる」とし、本広氏もそれは「センスが生きる道、クリエーターは味付け」、冲方氏も「価値観を全部投入しないと」と、ウェアラブルが将来のクリエイティブに与える影響を示唆していた。

■Google Glassはリアルなドキュメンタリー映像が撮れる
 映画などの映像制作がウェアラブルデバイスによってどのように変わるか。本広克行氏と京都を拠点に映像などを制作する劇団“ヨーロッパ企画”の代表上田誠氏がワークショップセッションに登壇し、おもにGoogle Glassを用いた映像制作について話し合われた。

Wearable Tech Expo in Tokyo in Tokyo 2014セッション

↑左からモデレーターの博報堂DYメディアパートナーズ上路健介氏、本広克行氏、上田誠氏。

 セッションを前にGoogle Glassを利用した動画共有ウェブサービスやコマ撮りアニメ、アプリケーションの将来像などが動画で紹介された。中でも、フランスで制作されたGoogle Glassを使った面接の動画は秀逸。美人が面接に来たというシチュエーションの中、面接官は即座にFacebookで人物像を検索。職場の同僚に動画配信して、同僚と内緒話、盛り上がる部署の様子を写し、会場を盛り上げた。

Wearable Tech Expo in Tokyo in Tokyo 2014セッション

 ヨーロッパ企画で実際にGoogle Glassを使って作成された映像事例を見ながらセッションは展開。デートや職人の目線をとおした映像が作成された。デートで待ち合わせに現われた相手のの反応をみた本広氏は「彼女のリアクションはカメラに対してではない。この間合いは人に対してのリアクション。かなり素に近い感じで、新しいドキュメンタリーの形になる」とし、「映画は主人公がいて、俳優さんの表情に同調するのが今までの文法。これは感情移入は強制的にされてしまう、新しい感覚だ」と、Google Glassで撮られた映像を評価していた。

 また演技についても上田氏は「撮っている側も意識させる、ゼロにできないのがおもしろい」と、本広氏も「芝居が変わってくる。新しいドキュメンタリー、フィクションでもなく、すごく自然な女優さんにドキドキすると思う。さりげなく見ているが、撮れそうで撮れない映像」と不思議だなとも語っていた。

Wearable Tech Expo in Tokyo in Tokyo 2014セッション

 職人編では、上田氏の両親がやっている焼き菓子工場で職人がラスクを焼いて、パッケージに詰めるまでをGoogle Glassで撮影。ラスクを見ていないで動きが早い。次の工程を見ているのがわかるなどの感想が出ていた。

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■関連サイト
Wearable Tech Expo in Tokyo in Tokyo 2014

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