KDDIおよび沖縄セルラー、カルティベイトは、沖縄離島で15歳を迎える中学生を対象とした『沖縄離島“15の春”旅立ち応援プロジェクト』を発足しました。
このプロジェクトは、15歳いわゆる中学3年生をメインターゲットとしています。自分もはじめ都内をはじめとした本州などに住んでいる人は馴染みがありませんが、離島では高校に進学するときに親元を離れ、本島やほかの高校のある島へと向かいます。これが通称“15の春”と呼ばれます。ちなみに、沖縄では39の有人離島があり、そのうち陸路で高校へ行けないのは23島にもなります。
“15の春”門出の様子 |
↑今回取材した離島・北大東島では周囲の波の影響で接岸できないため、人はかごに入り、クレーンで持ち上げられて乗船します。 |
↑乗船前に、送り迎えにかけつけた家族や学校の先生、地域の方々。お手製の横断幕でこれから出発する生徒たちを送ります。 |
離島の生徒たちの多くは、小中学ともに数名から十数名の同じ学級で過ごしており、長い時間を新しい友だちをつくことなく過ごします。そのため、沖縄本島などへ渡ったとき心身の不安を少しでもやわらげ、本島や都会でありがちなトラブルに巻き込まれないよう対策するため、今回のプログラムが組まれました。
現在、予定されている施策は以下の3つです。
1. 英語力の習得と故郷の知識が身につく“Shimap!”
生徒を含む島民がタブレット端末で制作するガイドマップ。制作していく過程で生徒は自分たちの故郷の良さを再認識し、誇りをもってもらいたいとのこと。また、英語コンテンツも制作されるため自分たちのことを世界に発信する楽しさや英語力が身につきます。
2. 問題解決能力を育む地域密着型“スマート教材”
ふたつ目は、タブレットを使った地域密着型の教材の制作。諸外国やNPO法人ではすでに注目されている“教育のためのTOC”(Theory of Constraints、制約理論)を取り入れることで、離島の生徒たちの基礎学力とさまざまな状況にも対応できる問題解決能力を育てます。まだ、具体的な教材内容などは決まっていないものの、地域密着型の教材を製作するため、今後島の教職員や教育委員会とコンタクトをとっていくとのことです。
↑教材の制作の中心人物となる京都大学 若林靖永教授。 |
↑教育のTOCは、“ちゃんと理解する(因果関係を理解する)”、“ちゃんと解決する(対立を解決する)”、“ちゃんと進める(計画を立てる)”という3つの思考ツールを活用します。 |
3. スマホの使い方やトラブル回避につながる“親子ケータイ教室”
3つ目となるのが、離島の生徒とその両親を対象とした“親子ケータイ教室”です。講師が各学校に派遣され、実際のスマホを触りながら基本的な使い方や、LINEの特徴、インターネットの利便性と危険性を教えます。
↑LINEのグループチャットやスタンプの送信を『isai LGL22』で実際に試せます。 |
↑内容はフリックなどの操作方法や、LINEの使い方、インターネットのトラブルから身を守る方法など多岐にわたります。 |
離島の場合はやはり本島と比べてITリテラシーが若干低く、さらに“15の春”をきっかけに、子どもに携帯電話を買い与えるケースが多いため、インターネットやスマホを通じた各種トラブルに巻き込まれるといったことが起きています。実際に行なわれたケータイ教室では、「遠隔地に住む予定がある息子の端末に、フィルタリングをかけるにはどうすればいいか?」など、離島ならではの質問が飛び交いました。
このような施策、とくに“Shimap!”と“スマート教材”はキャリアである沖縄セルラーとKDDIの協力があって実現するものとなっており、沖縄セルラーはまずは1年間、北大東島、南大東島、多良間島の学校に対して合計30台ぶんのiPad Airの貸し出しを無償で実施。また各離島ではではすでに800MHz帯のLTE基地局が整備されており、従来よりも高速な通信が可能となっています。なお、通信費についても期間中は沖縄セルラーが負担します。
北大東島の取材中、実際の3キャリアの端末を持ち歩いてみるとドコモとソフトバンク端末については3G回線となり、au端末はほぼ常時LTEで接続されていました。数回計測してみると速いときで5Mbps弱、遅いときで1Mbps強と、2.1GHzでカバーされている都市部などと比べると低速なものの、ほかのキャリア端末と比べると非常に速く、そして実用的な通信品質になっていました。
より詳しい離島のLTE事情については、また後日お送りいたしますが、離島の生活は自分が思ったより東京や本島とは違っていて、そこで育ってきた生徒たちが安全に、そして両親も安心して送り出して本島で暮らすために、このような施策は必要だと思いました。
“Shimap!”や“スマート教材”に関してはまだ決まっていないことが多いですが、今後の調整や実際の運用によってより多くの離島の生徒たちがより速やかにより便利な生活を享受できるよう期待したいですね。
●関連サイト
KDDI 該当プレスリリース
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