(イラスト 桜玉吉) |
ウィンドウズXPのサポートが4月9日(日本時間)、ついに終了する。サポート終了がこれほどまでにお大騒ぎになったのは、XPが長年、愛されてきたからこそ。
発売から13年間、現役OSとして支持されてきたXPの偉業について、フリーライターの山田祥平さんにふり返ってもらった。
従来の弱点を完全克服した画期的なOS
誤解を怖れずにいえば、マイクロソフトのOSは、MS-DOSの時代から、増築改築を繰り返し、なんとかつじつまを合わせてきたものばかりだった。
ウィンドウズ3.xはもちろん、センセーショナルに登場したウィンドウズ95だって、その見かけは未来を感じさせるものだったけれど、フタをあければ、MS-DOSに毛が生えたようなものだった。その潮流は、ウィンドウズ95OSR2、ウィンドウズ98、ウィンドウズ98SEと連綿と続くことになる。
そこに一石を投じようとしていたのがウィンドウズNTだ。サーバー用のOSとして、ゼロから開発されたまったく新たな製品だ。
マイクロソフトは、サーバーOSのウィンドウズNTを、クライアントOSとしても使えるようにすることにした。それがウィンドウズ2000で、まずは、企業向けのクライアントOSとしてリリースされた。98SEの後継であるウィンドウズMeリリースとほぼ同時期だ。つまり、ウィンドウズは、企業向けと一般消費者向けの2系統が使われていた時代が続いていたのだ。
そして、最終的にこの2系統のOSを統合し、ウィンドウズ2000にコンシューマー向けのエディションを加えたOSがデビュー。それがウィンドウズXPだ。
ユーザーとメーカーに愛され続けたXP
XPは、従来、カーネルに16ビットコードと32ビットコードが混在していたウィンドウズ9x系OSの弱点を払拭し、ビジネス用OSとしての堅牢さと安定感をもちながら、“プラグ&プレイ”や“マルチメディア”などのコンシューマー向けの機能を包含した画期的なOSだった。マイクロソフトにとっても開発リソースの分散を回避できるし、ハードウェア、ソフトウェアのサードベンダーにとっても、製品の一本化が図れるのは大きな利点だ。だからこそ、ここまで愛されてきたのだろう。
その後継であるビスタのリリースまで実に5年。ウィンドウズXPは、パソコンが世の中に一気にに浸透していく中で、それを支える重要な環境として愛され続けてきたわけだ。
しかも、後継のビスタは開発に長い年月を要したものの、あまりにもドラスティックな変貌に、広く受け入れられることはなかった。だからこそ、XPが10年以上にもわたって使われ続けてしまい、サポート終了に向けて大騒ぎになってきたのだ。
2001年のデビューから13年。もういい。十二分に役に立ってくれた。ゆっくりと休んでほしいと思う。
山田祥平
フリーランスライター。MS-DOSからPCに関わり、キャリア20年以上。ウィンドウズにも造詣が深い。
■関連サイト
New Windows XP data transfer tool and end of support notifications(英語)
マイクロソフト「サポートは間もなく終了します」
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