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Windows情報局ななふぉ出張所

2014年のモバイルデバイスは“卓上利用”がトレンドに

2013年12月25日 17時00分更新

 2013年もいよいよ残すところあと1週間となりました。今年のトレンドを振り返ってみると、昨年から続く“PCからモバイルデバイスへのシフト”が、順調に進行してきた印象を受けます。

 たしかに企業向けPCについては、2014年4月のWindows XPサポート終了に向けた“特需”とも呼ぶべき状況が発生しているものの、その後は個人向け・企業向けともに徐々に落ち込んでいくものとみられます。それに対してスマートフォンやタブレットといったモバイルデバイスは、当面の間は“花形”の分野といって良いでしょう。

 そして2014年に筆者が注目しているのが、“モバイルデバイスを卓上利用する”というトレンドです。

■エイサー『Iconia W3』の設計コンセプトを振り返る

 これを説明する前に、エイサーが今夏発売した『Iconia W3』を振り返ってみたいと思います。このタブレットは、Windows 8世代として初の8インチという小型モデルであることが話題(関連記事)となりました。

2014年のモバイルデバイスは“卓上利用”がトレンド
↑エイサーの『Iconia W3』。Windows 8タブレット初の小型モデルとして話題になった。

 Iconia W3は、AtomプロセッサとしてBay Trailの一世代前にあたるClover Trailを搭載しており、x86用のWindowsアプリに対応しつつ、ARM搭載機並みの消費電力を実現した点が特徴です。たしかにIconia W3は、8インチのタブレットとしては重く、ディスプレーの視認性も良くないなど、第一印象はそれほど良いものではありませんでした。しかし筆者が注目したのは、“MicroHDMIポート搭載”と、“フルサイズの外部キーボード”という仕様です。

 タブレット本体にMicroHDMIポートがあれば、外部ディスプレーへのデジタル出力が可能となり、タブレットを卓上で利用する際に、大型ディスプレーに画面を出力できます。

2014年のモバイルデバイスは“卓上利用”がトレンド
↑Iconia W3はMicroHDMIポートを標準搭載。外部ディスプレー出力が可能。

 ちなみにWindows 8.1世代は、もっと“ハイテク”なMiracastに対応しており、Wi-Fi Directによる無線で外部ディスプレーへの出力が可能です。しかし無線ディスプレイ技術の遅延問題は無視できません。動画再生や写真のスライドショーなど、操作を行なわずに楽しむ用途では問題ないものの、アプリやゲームにおいては、入力操作に対する画面描画のもたつきが気になります。卓上利用という点では、HDMIなど有線による接続のほうが実用的といえます。

 次にキーボードです。一般に小型タブレット用のキーボードは、タブレット本体と同程度に小さく設計されたものがほとんどです。たとえば”iPad mini用キーボード”の多くは、iPad miniと長辺の長さが同じです。このように、小型タブレットの横幅に合わせて作られたキーボードはキーピッチが狭く、タイプしづらいという難点がありました。

 これに対してIconia W3がオプションで提供するキーボードは、“フルサイズ”のキーピッチを確保しています。サイズもひとまわり大きく、キーボード裏面にタブレットをドッキングできるようになっているほどです。

2014年のモバイルデバイスは“卓上利用”がトレンド
↑オプションのキーボードはフルサイズで入力しやすい。
2014年のモバイルデバイスは“卓上利用”がトレンド
↑持ち運び時にはタブレット背面にドッキングできる。

 この設計に対して、「これではせっかくの小型タブレットの意味がない」という指摘もあるでしょう。その一方で、「どうせキーボードを持ち歩くならノートPCと同じ感覚で使えるフルサイズが欲しい」という要望もあるでしょう。

 そういう意味では、Iconia W3は小型タブレットにありがちな“小型キーボード”を採用しなかったという点で、なかなかおもしろい設計になっていると感じます。

■モバイル利用の延長としてのデスクトップ利用に注目

 このように、小型のタブレットを卓上でも利用する機会は、今後ますます増えることになるものと筆者は考えています。PCからスマートフォンやタブレットへの置き換えが進行することで、これらのモバイルデバイスをモバイルで利用するだけでなく、“卓上”でも利用したくなるはずだからです。

 この場合の卓上とは、オフィスや自宅のデスクだけでなく、リビングやキッチン、カフェや飛行機のテーブルなど、モバイルデバイスを設置して使えるさまざまなワークスペースが考えられます。このような環境にスマートフォンやタブレットを置き、必要に応じて外部ディスプレーやキーボード、ポインティングデバイスなどの周辺機器を接続すれば、PCのように使うことができます。

 従来、このようなシチュエーションで使われるデバイスは11インチ程度のモバイルノートPCが多かったのではないでしょうか。さらに今後はスマートフォンやタブレットの性能が向上し、モバイルノートPCを代替することができるようになるわけです。

 卓上利用のプラットフォームとして、スマートフォンではAndroidに、タブレットではWindowsに優位性がありそうです。どうせならWindowsに統一したいところですが、Windows Phoneは外部ディスプレーやキーボードなどを利用できないという制限があります。また、iPhoneもマウスが使えないという問題があります。

 これに対してAndroidスマートフォンは、ディスプレーやキーボード、マウスなど周辺機器への対応が充実しています。タブレットでは、従来のデスクトップアプリがそのまま利用できるWindowsタブレットが便利でしょう。

■2014年、”Windowsモバイル”の反撃なるか

“Windowsタブレット”自体は、Windows XPの頃から存在していました。しかしこれまで町中で実際に使われているタブレットといえば、iPadがほとんどでした。2013年後半になってからは、ようやくWindowsタブレットを使っている人を見かける機会が増えてきました。

 先日の、佐賀県の県立高校がWindowsタブレットを導入するというニュースに対するネット上の反応(関連記事)を見ても分かる通り、Windowsタブレットというカテゴリーはまだまだ認知度が低いのが現状です。デスクトップ版と同等のOfficeが非常に低価格でバンドルされている点が知られれば、もっと人気が高まるはずですが、そもそもWindowsタブレットで何ができるのか、どのようなメリットがあるのかについても、一般には認知されていない印象があります。

 12月20日には、Xbox Musicがいよいよ国内でも提供を開始(関連記事)しました。また、同日にはSurface Proシリーズ用のドッキングステーションも発売(関連記事)され、Surface Pro 2の卓上利用がどんどん便利になっています。

2014年のモバイルデバイスは“卓上利用”がトレンド
↑12月20日より日本版Xbox Musicが国内向けに提供を開始。
2014年のモバイルデバイスは“卓上利用”がトレンド
↑同じく12月20日にSurface Pro/Pro 2用のドッキングステーションも発売された。

 2014年4月のBUILDカンファレンスでは、“Windows Phone 8.1”と噂されるWindows Phoneの次期アップデートも期待されています。2014年はWindowsプラットフォームのモバイルデバイスとしての“Windowsモバイル”の反撃が始まることに、期待したいところです。

山口健太さんのオフィシャルサイト
ななふぉ

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