2013年11月14日~16日の3日間、東京・お台場の日本科学未来館にて、『G空間EXPO 2013』というイベントが開催されました。
ん、そもそもG空間ってなに?
G空間(情報)とは「地理空間情報技術」(=Geotechnology)のこと。測位や測量技術を使い「いつ?、どこ?」という情報を捉えることで、生活や産業に役立てようという技術です。
何だか難しそうな感じがするけど、カーナビや天気予報、街で見かける測量などもG空間情報のひとつ。G空間なんて言葉は知らなくても既に生活中に大いに活用されいて、知らないうちに利用している、そんな地理情報を扱う技術展が『G空間EXPO』です。
●JAXA(宇宙航空研究開発機構)
宇宙・衛星測位はG空間の大きな柱のひとつ。JAXAブースでは国内向けGPSともいえる準天頂衛星『みちびき』 、打ち上げロケット『H-IIA』、陸域観測技術衛星『だいち2号』といった、宇宙から観測する技術について解説してくれました。
●日立グループ
IMES(Indoor Messaging System)送信モジュールを展示。IMESはひと言で言うと「屋内でもGPSで位置情報が利用できる」システムで、衛星ではなく送信モジュールの位置情報から測位する。イベント会場内はGPSが届かない場所でしたが、IMESを導入したタブレットには自分の位置や向きが表示されていました。IMES自体は一般的なGPSと同じ信号を使っているので、タブレット側に特別なシステムの追加などは必要ありません。
●AIST(産業技術総合研究所)
NASAの観測衛星・ランドサットの映像を使った衛星データの即時公開システムを紹介。通常のGoogleマップ等の衛星写真は過去に撮影されたものを繋ぎ合わせて作成しますが、このシステムは稼働中のランドサットから撮影された“今”の衛星写真をGooleマップに反映できるため、災害状況等をすぐ把握できるというもの。
●リプロ
無線モジュールと傾斜センサーを内蔵したハイテク“杭”。杭が傾くとセンサーが反応して無線で連絡してくれる。土砂災害が出そうな場所に予め打ち込んでおき被害対策の初動を速める、雨や振動ですら反応するセンサーの反応力を活かして防犯アイテムにするなど、活用法はいろいろ。NFCタグが内蔵されていて、タブレットを近づけると杭の名前や傾いた回数など詳細なデータが取得できます。
●リーグルジャパン
地上型レーザースキャナー『VZ-1000』を使って会場内の3Dスキャンを実演。スキャナーからは不可視のレーザーが発射されて、本体を回転しつつレーザーの反射位置を測定することで空間情報を取り込んでいく。スキャナー上部には何故かデジカメが設置されているが、これはレーザーの反射だけでは色情報が得られないためカメラと連動させているそうです。
実演は1回転30秒ほどの高速スキャンながら会場内のブース形状を取得できた。こうして取得した3DデータはリアルなCG造形を作りたいゲーム会社からの引き合いがあるとのこと。
●アイサンテクノロジー
自動車で交通情報を取得するMMS(モービルマッピングシステム)を搭載した車両を展示。MMSは自動車の天井部にGPS、レーザースキャナー、カメラなどを設置して、道路の形状や標識・路面文字、ガードレールなどの道路情報を取得するもの。得られたデータを詳細なCADに取り込み3DCG化したり、災害調査に役立てらてます。
●国際航業
ゴーグル型ディスプレーとAR技術を組み合わせた産業支援ソリューションを実演。ゴーグルにはQRコードリーダーとAndroid端末が接続されていて、装着者からは端末の画面が見えている状態です。装着した状態でQRコードを見ると画面上に「このカゴはここに運ぶ」、「ここに置く」といった指示が表示される。デモの内容から察するとおり、工場や倉庫での作業ミスを減らすシステムです。
(2013/12/19 13:20訂正:初出時、国際航業様の社名を誤って表示しておりました。訂正してお詫びいたします)
●JSIMA(日本測量機器工業会)
農作業機器向けGPSシステム。いわゆるトラクター用カーナビ。畑にカーナビなんて必要なの? と思うところですが、道案内をする目的よりもトラクターで収穫済み/未収穫の場所の確認や、水や農薬を散布した場所と日時を記録するのが主な機能。外国だと農地が広大すぎて目印にできるランドマークもないため、こうした農業向けGPSが普及している。
●メインステージ
メインステージでは、『第2回位置モノ ガジェット&アプリ大賞』を開催。角川アスキー総合研究所の遠藤諭主席研究員を審査員として、“独断と偏見”で選んだ位置モノのガジェットやアプリを紹介するステージで、司会はiPadを使ったDJプレイでも知られるDJ TARO氏。
↑司会のDJ TARO氏(写真左)と、角川アスキー総合研究所の遠藤諭主席研究員(写真右)。 |
ビジネス・ソリューション部門の大賞は、GPS搭載ヘルメット。谷沢製作所のGPSやカメラ・マイクを搭載したヘルメット『Uメット』、およびスマホ用Bluetoothカメラとヘッドセットを組み合わせたヘルメット外付けユニット『Uメイト』が受賞。『Uメット』は作業現場等での情報共有を目的としたたアイテム。溶鉱炉等の安全管理が重視される現場において、作業員同士の会話をサポートし、また管理している本部と映像を共有できるので、リアルタイムな指示・連絡が可能になります。DJ TARO氏いわく「ダフト・パンクみたい」。確かに!
↑谷沢製作所のGPS搭載ヘルメット。カメラも内蔵したヘルメットがかなりかっこいい。 |
アプリ部門の大賞を受賞したのは『Yahoo! 地図』アプリ。拡大縮小しても滑らかなベクトルマップになり「カリカリにチューニング」(Yahoo! Japan担当者)されて非常に軽く動作するようになったそう。また、リアルタイム性が重視されて店舗の営業時間や雨雲レーダーを重ねられる点が評価されました。
↑『Yahoo! 地図』アプリ。スマートウォッチとスマホを連動させて地図を表示することも可能です。 |
最後のハードウェア部門の大賞は“ウェラブル機器”に贈呈。賞としては“功労賞”というかたちで、ウェアラブル分野に長年貢献されてきた神戸大学の塚本昌彦教授に贈られました。
↑神戸大学の塚本教授。ヘッドマウントディスプレイを着けて生活されています。 |
塚本教授は約13年前から、ヘッドマウントディスプレイやスマートウォッチ等のウェアラブル機器を身にまとって生活している著名人。Google Glassなどのウェアラブルデバイスが登場した今こそ、「ついに塚本教授の時代が来た」(遠藤)というのが受賞理由です。
(2013/11/28 19:40 修正:初出時、授賞理由の中でGoogle WatchとなっていたのをGoogle Glassに修正しました。)
↑両腕には合計7つのスマートウォッチを装着! |
最後に遠藤も「バッテリー駆動時間は日本の端末が優れているなど、日本企業にはこれからまだ大きなチャンスがあり、世界に向けてやれることはまだまだある」と、日本企業への期待を込めて語った。
ブースやステージ以外にも、実際に測量体験や衛星『みちびき』を利用したアトラクション、最終日は大型測量船『拓洋』の一般公開などユーザー参加型のコーナーがたくさん用意され、筆者のような「G空間なんて知らないしw」なんて思ってた人でも大いに楽しめたイベントでした。
(関連サイト)
G空間EXPO2013
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1,974円
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97,200円
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18,000円
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