11月9日~10日の2日間、福島県会津若松市にある会津大学で、高校生がパソコンを使ってプログラミング技術やスマホアプリのプレゼンを競い合う『第11回全国高等学校パソコンコンクール』(以下、パソコン甲子園2013)が開催。プログラミング部門、モバイル部門、いちまいの絵CG部門の3部門で競われた。
会津大学開学20周年記念大会となる今大会では、プログラミング部門に566チーム1132名、モバイル部門が27チーム81名、いちまいの絵CG部門では562名の応募があり、過去最高の応募者を記録。厳しい予選を勝ち抜いたチームが、会津大学で開催された本選に臨んだ。
本選に残ったチームは、超高校生級の才能を秘めたいずれ劣らぬ猛者ばかり。史上最高の激戦を制したのはどのチームなのか? さっそくレポートをしていこう!
↑パソコン甲子園2013が開催された会津大学。今年は同校の開学20周年記念大会で、参加チーム(人数)も過去最高となった。 |
↑プログラミング部門が催された講堂で、開会式が執り行なわれた。開会式終了後、そのままプログラミング部門の競技が開始。 |
■4時間の頭脳バトルに挑むプログラミング部門
初日に開催されたプログラミング部門は、パソコン甲子園のメインとなる競技。制限時間内に、課題に沿ったプログラミングを作り上げる競技で、比較的やさしい問題、やや難しい問題、難問と難易度の異なる10問の課題を、4時間以内にいくつクリアできるかを競う。
1チーム2人で構成され、プログラム作成をどのように分担するのかが、戦局を大きく左右する。また、問題の難易度により、得られる得点が変わるうえ、問題を解く順番は決められておらず、簡単な問題から片付けるか、難問にチャレンジするか、といった選択も勝敗のカギを握る。
↑解いた問題に応じて各チームのデスクに風船があげられる。トップチームには黄色の大きなバルーンが掲げられている。 |
↑どの問題から解くか、どういった役割分担で臨むかなどは、各チームに任されている。プログラム技術だけでは、グランプリを狙うのは難しいのだ。 |
↑会場の外には、競技の状況を解説するブースも用意。各チームが、どの問題から進めているかなどの戦略が解説され、選手たちの状態や狙いを理解できる。 |
4時間に及ぶ激戦を制して、グランプリに輝いたのは、栄光学園高等学校の“人間の鑑s”チーム。準グランプリは筑波大学附属駒場高等学校の“-25.00pts”、第3位は灘高等学校の“gomisaw”が受賞した。いずれも、上位入賞の常連校で実力が拮抗しており、どのチームが優勝してもおかしくない展開の中、人間の鑑sがほかのチームに勝る実力を見せる結果となった。
↑プログラム部門のグランプリを獲得した栄光学園高等学校の劉鴻志さんと森大希さんのチーム“人間の鑑s”。劉鴻志さんは、昨年の大会にも出場しており、3位入賞の実力者。「今年で最後なので、優勝してやろうと思っていました。夢が叶って満足です」と喜びを語っていた。 |
■企画・制作・プレゼンと総合力を競うモバイル部門
2日目に開催されたのが、Android搭載のスマホ向けアプリを制作し、プレゼンテーションをを披露するモバイル部門。企画力、プログラミング技術、ユーザビリティ、プレゼン能力など、幅広い才能を求められる競技で、3名ひと組のチームで臨む。昨年の参加チームが8チームだったのに対して、今年は27チームと急増。プログラミング部門にも劣らない注目の競技だ。
今回のテーマは“インターナショナル”で、本選まで勝ち残ったのは10チーム。旅行計画を支援するアプリをはじめ、海外とのコミュニケーションを目的にしたアプリ、歴史や文化を伝えることで交流を図るアプリなどを紹介する、ユニークなプレゼンが繰り広げられた。
↑モバイル部門は、研究棟の一画につくられた特設ステージで行なわれた。 |
↑正面のステージで寸劇を展開するチーム、サイドにあるサブディスプレーを活用するチームなど、プレゼンのスタイルはさまざま。 |
↑プレゼンが終了したあとに、会場のうしろに設けられたデモンストレーションスペースで、各チームがアピール。 |
創意工夫にあふれるプレゼンの中から、見事グランプリを受賞したのは、鳥羽商船高等専門学校の“ゆでたまご”チームの『飛行記-ユーザー視点のFlight Tracker-』。上空の飛行機にスマートフォンをかざすと、出発地や到着地、飛行機の便名を表示するほか、便名から飛行機の位置を検索できるアプリで、審査員の評価に加え、会場に訪れた観客の多くの支持を受け、グランプリを勝ち取った。
準グランプリは、スマホで入力した文字を膨らました風船に書ける『行くぜ!バルーン』をプレゼンした富山県立砺波工業高等学校の“となこうZ”が受賞。ベストデザイン賞は、世界中の人とモーニングコールができる『ワールドアラーム』を披露した静岡県立浜松工業高等学校の“SKETERS”と、自動翻訳機能で海外ユーザーと会話ができる長野県松本工業高等学校の『Team Tripod』が受賞した。
↑モバイル部門のグランプリを獲得した鳥羽商船高等専門学校のチーム“ゆでたまご”メンバー、矢倉章恵さん、中野友貴さん、中村惇希さん。矢倉さんは「飛行機は世界を繋ぐ架け橋です。みなさんも空で繋がるインターナショナルを楽しんでほしいですね」と話していた。 |
↑本誌でもおなじみのITジャーナリスト、林信行氏もモバイル部門の審査員として参加。「スマホアプリで成功するには、プレゼンテーションの上手さも大事だし、思いついたアイデアをいかに使いやすいデザインにするかということもある。総合力が必要になる部門です」と語っていた。 |
↑今年も審査員として参加している角川アスキー総合研究所 主席研究員の遠藤諭。「モバイル部門は、どこをどう見せるかが、非常に難しい。作品をしっかりと把握して、プレゼンを考えることが必要。また、今後はリアルな世界とデジタルな世界をつなぐということが、すごく大きなテーマになります。来年もワクワクするようなプレゼンが聴けるのを楽しみにしています」と締めくくった。 |
■独創的な作品が目白押しのいちまいの絵CG部門
その名のとおりCGの一枚絵を競う部門で、テーマはモバイル部門と同じく“インターナショナル”。独創性とインパクトを重点に置き、表現力や芸術性を審査する部門だ。
こちらは、事前に審査が済まされており、優秀賞、3DCG賞、佳作作品が展示されていた。優秀作品は、川崎市立川崎総合科学高等学校の石上陽子さんの『After←Before』、岐阜県立大垣商業高等学校の西尾好未さんの『world card』、祐誠高等学校の藤木春霞さんの『旅の話』が受賞。また、3DCG賞には福島県立福島東高等学校の高橋史華さんの『化学+認識→世界共通』が輝いた。
↑すでに審査が終了している、いちまいの絵CG部門は、優秀賞3作品、3DCG賞1作品のほか、佳作の15作品も展示。また、2012年の入選作品も一緒に並べられていた。 |
なお、大会の様子はUSTREAMにログが残っている。“来年参加してみたい!”と感じた高校生はチェックしてみよう。来年のグランプリに輝くのは、君かもしれない。
(関連サイト)
パソコン甲子園2013
USTREAM(pc-koshien2012)
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