ソフトバンクは、冬モデルのAndroidを『Hybrid 4G LTE』に対応させた。“ハイブリッド”と名づけているように、これは2つの異なる方式のLTEに対応することを意味する。
↑2つの方式のLTEに対応するのが『Hybrid 4G LTE』だ。
ソフトバンクは今まで、iPhone向けにFDD方式と呼ばれるLTEを、Android向けにTDD方式とよばれるLTE(AXGP)を利用してきた。前者のFDD-LTEは、ドコモやauも採用する方式。世界的に見ても、こちらのLTEの方が一般的で、すでに米国、欧州、アジアなど、世界各国でサービスがスタートしている。ソフトバンクでのサービス名称は『SoftBank 4G LTE』だ。
もう1つのTDD方式は、ウィルコムの技術を継いだWireless City Planningという会社が開発やエリアの拡大を行っている。通信方式は正式にはAXGPという名称で、ソフトバンクはこれを『SoftBank 4G』と銘打ってサービスを行ってきた。
冬モデルから対応するHybrid 4G LTEは、この両方を使えるというのが大きな特徴となる。では、ユーザーにとってはどのようなメリットがあるのか。それを以下で解説していく。
FDD方式のLTEは、iPhone 5に対応したこともあり、ソフトバンクモバイルが積極的にエリアを拡大している。3Gからのアップデートも容易なため、6月時点の実人口カバー率は92%と、ほぼ全国を網羅している。通信速度は下り最大37.5Mbpsもしくは75Mbps。最大値は利用する周波数の幅で決まり、現在75Mbpsのエリアを積極的に拡大している最中だ。ユーザーにとってのメリットは、今までAndroidで利用できていなかったエリアで、FDD方式のLTEを利用できるところにある。また、FDD-LTEは傘下のイー・アクセスの基地局も利用できる。イー・アクセス側に十分な空きがあるときだけに限られるが、混雑を緩和するメリットはある。
↑FDD-LTEは75Mbps化を進めている。これによって通信速度向上のメリットがある。
↑実人口カバー率ではやや他社に後れを取っているが、来春にはプラチナバンドと呼ばれる900MHz帯もLTE化し、さらにエリアを拡大する構えだ。
もう一方のTD-LTEは、FDD方式に比べエリアが狭く、速度が下り最大110Mbpsと速い。人口カバー率は92%だが、算出基準がFDD-LTEとは異なり、屋内や地方までは完全にカバーしきれていない。さらに、ウィルコムのポリシーを受け継いでいるため、狭いエリアをカバーする基地局を多く設置している。ソフトバンクによると、8月時点での基地局は3万8000局。これを2014年3月には5万4000に拡大する。基地局が多いと、1つにつながる端末の数も減らせるため、それだけ速度が落ちにくくなる。これがソフトバンクの言う“小セル化”だ。現時点で、ソフトバンクはAndroidスマホが少なく、速度も十分出ているが、これだけ基地局が増えれば、多少端末が増えても大抵の場所で快適に通信できるだろう。
↑小セル化で通信速度を高いまま維持しやすいのが、AXGPの特徴。
↑基地局の数も増やしており、年度末には5万4000を目指す。
つまり、Hybrid 4G LTEとは、混雑しやすい都市部で速度が見込めるTD-LTEと、比較的地方まで浸透しているFDD-LTEのいいとこ取りができるサービスなのだ。ソフトバンクによると、端末がネットワークに接続する優先順位は、TD-LTE→FDD-LTE→3Gの順になる。自動的に、よりスピードが出るネットワークをつかむというわけだ。
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