IFA2013が開幕する直前ごろから、ノキア初の“ファブレット”端末『Lumia 1520』の噂が広まっています。
噂によれば、Lumia 1520は6インチ・フルHDのディスプレーを搭載するLumiaシリーズ初のファブレットで、クアッドコアのSnapdragon 800プロセッサーや2GBのメモリーといったハイエンド仕様となっています。
はたしてLumia 1520の登場はWindows Phoneにとってどのような意味を持つのか、今後の展開を予想してみたいと思います。
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↑IFA 2013にも小規模なノキアブースはあるが、まだLumia 1520の気配はなかった。 |
■Windows Phoneとして初のフルHD端末
Lumia 1520のスペックについて、Windows Phoneを熱心に追いかけているユーザーであれば、“フルHD”や“クアッドコア”といったスペックが目に止まるはずです。というのも、Lumia 1520はフルHDやクアッドコアを採用する初のWindows Phone端末となる可能性が高いからです。
Windows Phoneは、7.5から8へのバージョンアップに伴い、それまで800×480ドットで固定だった画面解像度に“1280×720ドット”と“1280×768ドット”という2種類が追加され、合計3種類となりました。
これによりWindows Phoneにおいても“HD”解像度の端末が実現できるようになった反面、同時期のAndroidのハイエンド機はフルHDを採用しつつあったのも事実です。このように“遅れていた”Windows Phone 8のフルHD対応が、Lumia 1520とともにいよいよ実現しようとしています。
まだLumia 1520は公式発表されていないものの、最新スマホのリーク写真を多数掲載している@evleaksのツイートによれば、Lumia 1520のスタート画面には従来のWindows Phone 8端末よりも多数のタイルが表示されていることがわかります。
Nokia Lumia 1520, 2013 pic.twitter.com/asZhT2YVsH
— @evleaks (@evleaks) September 6, 2013
もっとも標準的な中サイズのタイルについて、これまでのWindows Phoneでは横に2個並べることができました。これはWVGA解像度でもHD解像度でも同様です。しかしLumia 1520ではフルHDの解像度により、横に3個ぶんを並べられるようになりそうです。
このようなフルHD解像度を含むアップデートは、現在最新の“GDR2”に続く、“GDR3”として知られています。これはSDKの小規模な更新を含む、マイナーバージョンアップと見られています。
今後、Windows PhoneにはWindows 8.1とのアプリ共通化など、より大規模なバージョンアップも期待されますが、こちらは“Windows Phone 8.1”として、2014年に入ってから発表されるものと思われます。具体的には来年1月のCESや2月のMWCにおける発表に期待したいところです。
■スペック比較で“不利にならない”ことが重要
このようにWindows Phone 8が“フルHD”や“クアッドコア”を採用するにあたって、そこまでハイスペックが必要なのか、という印象を抱く人も少なくないでしょう。Windows PhoneのシンプルなUIはHDやWVGAの画面でも十分に実用的で、多くのアプリはデュアルコアCPUで快適に動作しているからです。
たしかに4インチ台のスマートフォンでは、Androidの最新機種でもまだまだHD解像度が多用されています。さらに5インチクラスであっても、HDとフルHDの間に決定的な違いがあるようには感じられません。
ただ、問題はこれらのスペックがほかの端末との比較に使われるという点です。たとえばLumia 1020の端末価格は6~7万円以上となっており、ハイエンドのAndroid端末に匹敵する価格です。しかしLumia 1020のCPUはデュアルコアで、ディスプレーはHD解像度にとどまっています。このことから、たとえ本質的には大きな影響がなくとも、Windows Phone 8は割高な印象を与えてしまいます。
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↑Lumia 1520のライバルになりそうな6.4インチのファブレット『Xperia Z Ultra』にも見劣りしないスペックだ。 |
端末メーカーにとっては朗報と言えます。最新のSnapdragon 800やフルHDディスプレーを用いたハイエンドのAndroidスマートフォンを、Windows Phoneに流用できる可能性が高まります。Windows Phone 8のGDR3アップデートにより、サムスンの『GALAXY S4』や『HTC One』といったハイエンドAndroid端末のWindows Phone 8バージョンに期待できるようになると言えます。
■OEMメーカーがWindows Phoneに取り組む可能性はあるのか
ただ、このようなWindows Phone 8のアップデートにOEMメーカーが乗ってくるかといえば、事態はそう単純でもありません。マイクロソフトがノキアの携帯部門の買収を発表したことで、Windows Phoneを取り巻く環境は大きく変わる可能性があります。
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↑すでにドイツT-MobileのNokia製品展示エリアにはMicrosoftのロゴが。 |
もし買収が成立すれば、Windows Phone市場における端末シェアの大部分をマイクロソフトが握ることになります。マイクロソフトはほかのOEMパートナーの参加が必要不可欠であることを表明しているものの、業界関係者の多くは「今後、大手のOEMメーカーがWindows Phoneに参入する可能性は低くなった」と見ているようです。
Windows Phoneにとって、今後の展開はいくつか考えられます。ひとつは、これまで通りOEMメーカーの参入を前提に、“シャシー”によって端末要件をコントロールしていくという道です。もうひとつは、いったんシャシーを廃止し、ノキアが得意としてきたフィーチャーフォン分野との融合も視野に入れながら、自由な発想で端末バリエーションを増やしていくという道もあります。2014年のWindows Phoneはどのように進化するのか、難しい選択を迫られることになりそうです。
山口健太さんのオフィシャルサイト
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