8月26日、グーグルは7インチタブレット『Nexus7』の2013年モデルを日本国内向けに発表しました。
↑2013年モデルの新Nexus7。 |
Nexus7は、7インチの小型タブレットとしてiPad miniに匹敵する人気モデルであるだけに、その最新版は大きな注目を集めています。一方、Windows8.1も10月18日の発売日まで2ヵ月を切っており、小型タブレットの新機種が期待できる時期となっています。
そこで、年末には“激戦区”となりそうな小型タブレット市場のトレンドについて、新Nexus7をもとに、予想してみたいと思います。
■低価格でも高精細なディスプレーが標準に
新Nexus7で最初に注目したいのは、ディスプレーが高精細になった点です。画面サイズは旧モデルとほぼ同じ7.02インチにも関わらず、画面解像度は1920×1200ドットに向上しています。10インチのNexus10も2560×1600ドットという超高解像度でしたが、インチあたりのピクセル密度は新Nexus7が上回ります。グーグルによれば、市場で売られているタブレットのなかでもっとも画素密度が高いとのことです。
↑7インチ・1920×1200ドットのディスプレーにより、旧Nexus7を大きく上回る323ppiを実現。 |
↑高精細な画面が特徴の『モンスター&ブレイド』。
とはいえ新Nexus7は決して高級モデルというわけではなく、旧モデル同様の低価格タブレットです。最近ではASUSのMeMO Pad HD7のように1万円台のタブレットも登場しつつあることから、最安クラスとは言えないものの、16GBのWiFiモデルが2万円台で購入できるなど、お手頃価格と言えます。
このことから、今後は小型タブレットにおいても高精細なディスプレーへの要求が高まるものと考えられます。次世代のiPad miniには、Retinaディスプレイの採用が期待されるところです。Windows8タブレットも、そろそろ1366×768ドットでは物足りなくなるでしょう。
■片手で持ちやすく、300グラムを切る軽さを実現
小型タブレットでは、縦位置による片手持ちでの利用が増えるはずです。新Nexus7はこのトレンドを踏まえ、従来より細身のボディーを採用。横幅が狭くなったことで片手持ちがしやすくなっています。
↑新Nexus7を発表したグーグルのクリス・ヤーガ氏も片手持ちで披露。 |
↑特に大きくはない筆者の手でも、容易に片手持ちできる。 |
さらに新Nexus7では、数々の新機能を搭載したにも関わらず、旧モデルより50グラムも軽量化されています。50グラムと言えばわずかな違いに感じるかもしれませんが、340グラムから290グラムへの50グラム削減は、明らかに体感できる違いでした。
興味深いことに、新Nexus7ではバッテリー容量が旧モデルよりわずかに減っています。一般的には、高解像度のディスプレーを搭載する場合、消費電力の増大に対応するためバッテリー容量を大きくするはずです。しかし新Nexus7ではバッテリー駆動時間も旧モデル並みを維持しています。このことから、新Nexus7は画面解像度の向上による消費電力の増大を上回るほどの省電力を実現したことになります。
このように小型タブレットでは、片手持ちしやすい形状と、軽量さがポイントになります。特に日本では、通勤電車のなかでつり革に捕まりながら小型タブレットを片手持ちするといった用途が期待されます。
Windows8.1世代では、省電力かつ高性能な次世代Atomプラットフォーム“Bay Trail”に期待したいところ。丸1日のバッテリー駆動時間を確保しつつ、400グラム台、できれば300グラム台の小型タブレットを実現してほしいところです。
■タブレットとして初となるQi対応
新Nexus7の新機能のひとつとして、ワイヤレス充電“Qi”への対応が挙げられます。Qiは、Windows PhoneではノキアのLumiaシリーズが、NTTドコモの端末では“おくだけ充電”として、モバイルユーザーに普及しつつあります。今回の新Nexus7について、Qiの規格を策定するワイヤレスパワーコンソーシアムによれば、Qiに対応する世界初のタブレットになるとのことです。
↑Nexusのロゴ付近にワイヤレス充電用のコイルがあるようだ。 |
これまでスマートフォンなど比較的小型のデバイスを中心に普及してきたQiですが、タブレットへの対応が進まなかった理由として、バッテリー容量が問題だったと考えられます。現在のQiの規格“Volume I Low Power”では、ワイヤレスで伝送できる電力が5Wとなっています。しかし10インチクラスのタブレットではバッテリー容量が30~40Whを超えるものも珍しくなく、充電するのに非常に長い時間がかかってしまいます。
これに対して小型タブレットのバッテリー容量は15Wh程度で、スマートフォンよりやや大きい程度に収まっています。これにより、現在の一般的なQi対応の充電パッドでも、現実的な時間で充電できるものと考えられます。
今後は小型タブレットにおいても、Qiに対応しているかどうか確認していく必要がありそうです。
■SIMロックフリーでLTEにも対応
新Nexus7は日本国内でもLTEモデルが用意され、SIMロックフリーで発売されることになりました。また、LTEの対応バンドは北米版と同じ“1/2/3/4/5/13/17”で、NTTドコモ、KDDI、ソフトバンク、イー・モバイルのLTEに対応。ほぼ“全部入り”の仕様となっています。
高額なタブレットであればキャリアの2年契約を活用したいところですが、新Nexus7の価格帯であれば、十分に一括で購入できるレベルです。SIMロックフリーのため、キャリアからのサポートは受けづらくなるものの、どのキャリアのSIMカードを挿入しても接続できるのは便利と言えます。もちろん、昨今バリエーションが増えているMVNOによる低価格SIMカードも活用できます。
現在、Windows8タブレットでは法人向けにLTEモデルが展開されていますが、個人向けにもぜひマルチバンドLTE+SIMロックフリーモデルの投入を期待したいところです。
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