Apple公式Podcast「Apple Keynotes」の見どころを紹介する連載。今回は「Apple Special Event, October 2012」。iPad miniのほか、第4世代iPad、薄型iMac、Mac miniなど、たくさんの新型ハードが発表されたイベントです。
6種類もの新製品を一気に発表
iPhone5が発表された前回のイベントは、2012年開催のAppleの講演の中では断トツの盛り上がりを見せた。今回のスペシャルイベントが開かれたのはそのわずか1カ月半後だが、前回と同等以上にエキサイティングな内容だった。ノートマシン、デスクトップマシン、iPadなど多くのハードが発表され、製品ラインアップを一気に刷新。Appleの「攻め」の姿勢を印象づけた。
ホストを務めるのは、もちろんCEOのティム・クック。序盤は例によって業績報告だ。まずは、リリースしたばかりのiPhone5の売れ行きについて。発売直後の週末だけで500万台ものiPhone5を販売したと、クックは得意顔で語った。
新しいiPodシリーズにも同じく好調で、300台を販売したことを報告。さらに、iOS6をインストールしたデバイスの数が2億台に達したこと、4億件のiBooksコンテンツがダウンロードされたこと、デスクトップ型、ノート型ともにMacが米国でのトップせースルを記録していると続けた。
Apple流「焦らしテク」が久々に炸裂
今回のイベントの特徴のひとつは、ジョブズ時代の基調講演で多用された「焦らし」テクニックが久々に採用されたことだ。一番の目玉であり誰もが発表を心待ちにしているアイテムをあえて最後までとっておき、観衆をやきもきさせるプレゼンスタイルだ。今回の主役アイテムはiPad miniで、約70分の講演の最後の最後に発表された。今回の発表内容は、下記の4パートに分けられる。
(1)業績報告
(2)新型Macの発表
(3)新型iPadの発表
(4)クロージング
(1)と(4)についてはクックが、(2)と(3)についてはマーケティング担当上級副社長のフィル・シラーがプレゼンを担当。今回の演者はこの2人のみ。発表した製品の数が多い割りに時間が短めなのは、通常は一定の時間が割かれる実働デモがほとんどなかったため。スライド投影による説明がメインだった。
Macシリーズの大幅刷新
まずはMacについて発表しようと述べたクックは、ステージをシラーに譲った。バトンを受け取ったシラーは、MacBookシリーズについて語る。「MacBook Pro Retina(15インチ)の登場により、ノート型Macのラインアップは5タイプになった。今日はそこにもうひとつ加わるとして、シラーはMacBook Pro Retinaの13インチモデルを紹介。
機能的には15インチのRetinaに準じるモデルで、「MacBook Pro史上で最も薄い」点を強調。音声入力、AirPlayミラーリング、iCloud、PowerNapといった主要な機能を搭載していることを説明した。
続いて、新型Mac miniの紹介。外観デザインは従来と同じだが、Ivy Bridgeベースの新しいアーキテクチャーを採用し、全体的なパフォーマンスが向上しているとシラーは述べた。
新型Macパートのメインを張ったのは、外観デザインを含めてフルモデルチェンジしたiMac。歴代モデルの側面の写真を並べ、モデルチェンジするごとにボディーが薄型化していることを明示。
ステージの端には黒いベールがかかった台が用意されていた。シラーがそのベールを取ると、現れたのは新型iMac。これが最薄のニューモデルだ、と実機を披露した。Mac mini同様Ivy Bridgeベースとなり、従来より5mm薄い液晶ディスプレイを採用。高性能と薄型化を両立していることを強調した。
新機構Fusion Drive
新型iMacではオプションとして、SSD並みにの速さとハードディスクの大容量を実現する「Fusion Drive」という新しいストレージ方式を提案。
SSDはハードディスクに比べてアクセススピードが圧倒的に速いが、ハードディスクと比べると容量当たりの単価が数倍以上高い。そこで両者を組み合わせ、スピードと容量を比較的低価格で実現する技術がFusion Driveだ。
iPadシリーズにもニューフェイスが仲間入り
新型Macシリーズの紹介が済むとシラーはいったんステージを下りる。クックが再登壇し、iPadについての説明に切り替えた。
初代iPadをリリースしてからの2年半で、我々は1億台ものiPadを売った。米国ではiPadはほかのどんなパソコンよりも売れており、またタブレット端末からのウェブアクセスの9割をiPadが占めている、とクック。「どうしてiPadはここまで成功したのか? 答えはシンプルだ。それは、人々がiPadを愛しているからなんだ」と茶目っ気のある表情でクックが言うと、観衆はどっと笑った。
クックは続ける。大きくて美しいディスプレイ、レスポンスが速くスムーズなマルチタッチ操作、1日持つバッテリー……。iPadのそうした部分を、人々が愛してくれているのだと。そうしてひとしきりiPadの長所と実績を語ったあと、クックは今日は皆さんにお見せしたいものがある、と言って再度ステージにシラーを招いた。
最初にシラーが紹介したのは、第4世代のiPadだ。Appleは、この半年ほど前に「新しいiPad」として第3世代モデルをリリースしたばかり。メジャーアップデートするには早すぎるタイミングだが、その最も大きな理由は、ほかのiOSデバイスがLightningコネクターを採用したのに対し、最上位モデルであるiPadが旧型の30ピンコネクターでは据わりが悪いからだろう。
もっとも、変わったのはコネクターだけでない。プロセッサーが第3世代のApple A5Xだったのが同A6Xに替わり、グラフィック機能も強化されて第3世代より処理速度を約2倍に向上させている。かつ、バッテリー持続時間は従来同様の10時間をキープ。外見こそほとんど違いはないものの、内容的にはメジャーアップデートと言って差し支えない水準だ。
この日の「本命」、iPad mini登場
講演開始から約50分。冒頭でも述べたとおり、ここまで長々と紹介してきた新型ハードは、これから紹介する新カテゴリーの製品、すなわち「iPad mini」の前座にすぎない。ここにきてようやく、本日のメインアイテムが供されるわけだ。
iPad miniは、性能的には「iPad 2」とほぼ同じで、それを9.7インチから7.9インチへと小型化したものだ。画面サイズは小さくなったものの、解像度はiPad 2と同じ。処理速度もほぼ同じで、ボディーが23%薄く、53%軽くなっている。
iOS6ベースになったため、Wi-Fi+CellularモデルがLTEに対応するなど、iPad 2にはなかった機能も備える。コネクターはもちろんLightningだ。発表直後は価格設定が高いという評価も下されたが、実際にはiPadシリーズの中では断トツの売れ行きを見せることになる。
オマケ
当時iOS開発担当上級副社長だったスコット・フォーストールは、このイベントの直後にAppleを退社することが発表されるが、このイベント自体には参加している。
デザイン担当上級副社長のジョナサン・アイブは、相も変わらずビデオ出演。
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