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Windows情報局ななふぉ出張所

らくらくスマホにWindows Phone採用の可能性は?

2013年08月07日 17時00分更新

 7月31日、富士通はらくらくホンシリーズに関する新商品発表会を開催し、らくらくスマートフォンの最新機種やコミュニティーサービスのリニューアルを発表しました。

らくらくスマホにWindows Phone採用の可能性は?
↑らくらくスマートフォンの最新機種。

 らくらくスマートフォンはAndroid端末ですが、そのコンセプトやユーザー体験を知るにつれ、「これはWindows Phoneのほうが適しているのではないか?」という印象を抱いてしまいました。

 そこで今回はらくらくスマートフォンの最新機種を改めて振り返り、Windows Phoneの可能性について考えてみたいと思います。

■Google Playの対応可否で2機種を用意

 今回改めて披露されたのは、2013年夏モデルとしてNTTドコモから8月中旬発売予定の『らくらくスマートフォン2』と、9月下旬~10月上旬発売予定の『らくらくスマートフォンプレミアム』の2機種です。

 両者の違いとして、らくらくスマートフォンプレミアムには高級感のある外装が採用されています。実際に持ってみると、プレミアムは滑りにくく持ちやすいという印象です。端末形状は異なるものの、基本的なハードウェア性能は共通となっています。

 もっとも大きな違いは、Google Playの対応有無となっています。従来のらくらくスマートフォンはGoogle Playに対応していないため、購入後に任意のアプリをインストールすることができません。これはらくらくスマートフォン2でも同様の仕様となっています。

らくらくスマホにWindows Phone採用の可能性は?
↑らくらくスマートフォン2。Google Playには非対応。
らくらくスマホにWindows Phone採用の可能性は?
↑らくらくスマートフォンプレミアム。Google Playに対応、アプリをインストールできる。
らくらくスマホにWindows Phone採用の可能性は?
↑Gmail、ChromeなどのGoogle製アプリがプリインストールされている。

 これに対して、らくらくスマートフォンプレミアムはGoogle Playに完全対応。自由にアプリをインストールできます。標準ではGmailやGoogleマップといったアプリがインストールされています。

 このような違いが設けられた背景には、らくらくホンのコンセプトがあります。デジタル機器に馴染みが薄いシニア層でも簡単に、安心して携帯電話を利用できるようにしたのがらくらくホンです。そのスマホ版とも言える初代のらくらくスマートフォンもこのコンセプトを引き継ぎ、Google Playからのアプリインストールには対応していません。

 たしかに、Androidアプリを自由にインストールすることはスマホならではの楽しみと言えます。しかしセキュリティー上の不安は高まります。そこで機能を標準アプリとウェブブラウザーに限定することで、主要な“スマホ体験”を安全に楽しめるようにするというのが、らくらくスマートフォンの本質だったと言えます。

 しかし富士通執行役員常務の大谷信雄氏によれば、らくらくホンユーザーの一部から、やはりアプリを入れて楽しみたいという要望もあったとのこと。そこでGoogle Play対応を検討した結果、上位モデルのらくらくスマートフォンプレミアムとして別途提供するにいたったとのことです。

らくらくスマホにWindows Phone採用の可能性は?
↑らくらくスマートフォンについて解説する富士通の大谷信雄氏。

■らくらくスマートフォンプレミアムに感じる疑問点

 Google Playに対応したらくらくスマートフォンプレミアムにおける最大の懸念は、セキュリティー上の不安です。大谷氏によれば、セキュリティー面では一般のAndroidスマートフォンと同等とのこと。アプリのインストール処理に対して特別なセキュリティー対策を施すことはAndroidの仕組み上、難しいとしています。

 そのため、アプリのインストールにおいてらくらくスマートフォン独自の対策は施されておらず、サポート面やコミュニティーの活用によりカバーするという回答にとどまりました。これにより、ユーザーにはアプリ選択について一定レベルのリテラシーが求められることになるといってよいでしょう。

 さらに、インストールしたアプリの使い勝手についても疑問を感じます。らくらくスマートフォンではタッチパネルに独自の操作感が実装されています。アプリ内のボタンを長押しすることで振動が発生し、擬似的なクリック感を得られるようになっているのです。この独特の操作感は第2世代のらくらくスマートフォンで強化されており、専用チップを搭載し、より自然なクリック感を実現しているとのことです。

 しかし、この独自のクリック感はアプリ側の対応が必要となっており、一般のAndroidアプリでは残念ながら動作しないという制限があります。Google PlayからインストールしたAndroidアプリでは、このクリック感は無効となり、一般的な静電容量式タッチパネルのスマホと同等の操作感となります。標準でインストールされているGmailやGoogleマップなどのアプリも同様です。

 画面下部にはらくらくスマートフォン独自のツールバーが表示されており、“戻る”や“メニュー”といったボタンがあります。これらのボタンでは、クリック感が有効です。

らくらくスマホにWindows Phone採用の可能性は?
↑Googleマップアプリ。画面下の“戻る”と“メニュー”はクリック感が有効。

 このように、らくらくスマートフォンプレミアムではアプリによって操作感が異なるという仕様になっており、チグハグな印象を受けてしまいます。

■Windows Phone版らくらくスマートフォンはあり得る?

 このようにらくらくスマートフォンでは、スマホにおける自由度やユーザー体験のバランスをとるにあたって、苦戦しているように見受けられます。こういった用途には、AndroidよりもWindows Phoneのほうが適しているのではないでしょうか。

 Google Playと異なり、Windows Phoneストアに公開されたアプリはすべてマイクロソフトによる審査を通過しています。100%安心というわけではありませんが、悪意のあるアプリが混入する確率は大幅に低いといってよいでしょう。

 Windows Phone 7におけるアクセシビリティー上の問題として指摘されていた文字サイズについても、Windows Phone 8では拡大機能が追加され、改善しています。

 富士通からのWindows Phone端末の可能性を大谷氏に確認してみたところ、「マイクロソフト次第。現時点で国内メーカーとしては、Android端末をしっかり作っていく段階と考えている」と回答しています。マイクロソフト側の体制も整っていないことから、富士通としてもほかに選択肢がないといったニュアンスの回答です。

 らくらくホンシリーズは、フィーチャーフォンを含め14年間も販売を続けており、2011年には出荷台数が2000万台を突破。大谷氏によれば、らくらくホンのユーザーは1000万人いるとのこと。これらのユーザーもいずれはスマホに移行するはずです。

 誰もが安心して使えるスマホとしてWindows Phoneの採用を選択肢に入れてもらうためにも、まずはマイクロソフトが準備を進め、「あとは富士通次第」と言える状態に到達することに期待したいところです。

山口健太さんのオフィシャルサイト
ななふぉ

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