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電子書籍の未来はガラケーにあり!?(前編)

2013年07月02日 08時30分更新

電子書籍はそれほど普及していない!?

 『電子書籍ビジネス調査報告書2013(関連サイト)』(インプレス)によると、日本国内の電子書籍市場は、2012年度に前年比15.9%増の729億円。さらに2017年度には2,400億円になると予測しており、ずいぶんと勢いがあるようです。

 しかし、数字的な盛り上がりとは別に、実際に使っている人というのはどれくらいいるのでしょう? 試しに、自分の友人・知人に聞いてみたところ、日常的に電子書籍を使っている人というのは、なかなか見あたりませんでした。

 本当に電子書籍は普及しつつあるのでしょうか?

 そこで、2013年6月、ミニッツブック編集部(関連サイト)は角川アスキー総研(関連サイト)と共同で、インターネットユーザーを対象とした「スマートフォン読書調査」(関連サイト)を実施しました。
 ※なおここでの「スマホ等」にはiPod touchやタブレットを含みます。単にスマホと書いてある場合も同様です。

調査結果のポイント

1.スマホ等での「電子書籍・コミック・雑誌」の利用率は1割強にとどまる

2.「電子書籍」の購入経験は50代、男性で高い

3.求められる「電子書籍」は、より短時間で読めるもの
 ―空き時間10分での「電子書籍利用」は、30分の場合から激減(11%→5%)
 ―実際の1回当たり平均読書時間は、「電子書籍」で18分と、紙の書籍(34分)の半分

4.利用経験者の約半数が「どのくらいの時間で読めるかわかりづらい」
※角川アスキー総研調べ

 「利用率は1割」というのは納得感があります。裏を返せばスマホユーザーの9割が、まだ電子書籍を利用していないということです。ではKindle Paperwhiteなどの専用端末はというと、そもそもの普及率が4%と低く(同調査より)、市場としてはきわめて限定的です。
 やはり、インプレスの予測のように電子書籍市場が大きくなるには、普及率を急激に伸ばしているスマホでの利用がキーになるでしょう。

 次に、ユーザーが普段どのような用途でスマホを使っているのか、聞いてみました。

Q:スマートフォン(またはiPod touch、タブレット)をどのような用途でご利用ですか?

(複数項目選択可)
1位(82.1%)メール、SMS
2位(74.8%)インターネット(ウェブブラウジング)
3位(71.1%)電話(スカイプ、LINEなどのアプリを含む)
4位(55.4%)写真・ビデオの撮影
5位(52.2%)LINE、Twitter 、mixi、Facebook、ブログなどのソーシャルメディア

 スマホの用途はあくまでコミュニケーション(電話・メール・SNS)が中心。その次にカメラ機能、そして手帳(6位にスケジュール・タスク管理)。コンテンツ関連では8位(34.1%)に投稿動画(Youtubeやニコニコ動画)。9位(27.7%)に音楽、10位(26.6%)がゲーム。電子書籍は12位(7.1%)でした。

 性能こそ一昔前のPC並かそれ以上になったスマホですが、それでもやはり「電話」としての役割=コミュニケーションツールであることに変わりなく、コンテンツ「も」利用できますが、まだまだ副次的です。

 とはいえ、スマホでのコンテンツ利用がないわけではありません。ここで面白い結果があります。先ほどの調査で「外出中、10分間、あるいは30分間ほど時間が空いたら、スマホでなにをしますか。(複数選択可)」という質問をしたところ、10分という短い空き時間では圧倒的にコミュニケーション用途で利用されていますが、30分の場合、10分に比べてコンテンツの利用率が高くなりました。

電子書籍の未来はガラケーにあり!?(前編)

 特に音楽や動画では伸び率も高く、スマホでのコンテンツ利用が浸透しつつあるといえます。しかし、電子書籍は、まだそこまで利用者が増えていません。なぜでしょう?

 様々な理由が考えられますが、1つには、ゲームや音楽と違い、電子書籍がスマホでの利用シーンに最適化されていないことが指摘できます。音楽なら1曲単位の配信、ゲームならソーシャルゲームの登場など、スマホの利用シーンに合ったコンテンツが提供されています。しかし、電子書籍では、紙の本と(ほぼ)同じ内容と分量と価格のものが配信されることが多いです。

 紙の本と同じような感覚で電子書籍を利用したいハードユーザーにとってはそれで良いのかもしれません。しかし、スマホでのコンテンツ利用者の中にはライトユーザーもたくさんいます。調査の結果からも、紙の本に比べて電子書籍の利用時間は短い傾向にあります(1回あたりの読書時間は紙の半分)。そう考えると、今の電子書籍コンテンツはスマホでの利用シーンに合っていないのかもしれません。

 では、スマホでの利用シーンに合った電子書籍とはどのようなものでしょう? そのヒントは、Kindleなどの海外電子書籍市場ではなく、日本のガラケー時代にありました。

 (後編に続く)

スマートフォン読書調査

2013年6月に株式会社角川アスキー総合研究所と株式会社ブックウォーカーが共同で行った、スマートフォンにおける読書利用状況を調べたインターネットアンケート調査。

関連サイト
ミニッツブック公式サイト

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