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ロボット宇宙飛行士『KIROBO』が8月4日に宇宙へ!

2013年06月26日 18時30分更新

文● 加藤肇 編集●KONOSU 撮影●岡田清孝

 KIBO ROBOT PROJECTは、今夏から国際宇宙ステーションに滞在するヒト型コミュニケーションロボットの共同研究プロジェクト。JAXAの協力のもと、電通、東京大学先端科学技術研究センター(東大先端研)、ロボ・ガレージ(“エボルタ”ロボットなどを手がけたロボットクリエイター、高橋智隆氏の会社)、トヨタ自動車と、そうそうたる企業が参加している。

 お披露目されたのは2体のロボット。宇宙に打ち上げられ“ロボット宇宙飛行士”として国際宇宙ステーションに滞在する『KIROBO(キロボ)』と、宇宙には行かず地上で活躍する“バックアップクルー”の『MIRATA(ミラタ)』だ。KIROBOは宇宙ステーション内で若田光一宇宙飛行士との会話実験などを行なうのに対し、MIRATAは地上でプロジェクトの広報活動などを担当する。

キロボとミラタ

 KIROBOもMIRATAも、音声認識や顔認証などの機能を搭載し、かわいらしいルックスとスムーズな動作により、人間と自然な会話を行なえるのが特徴。どちらも身長は約34センチで、体重が約1000グラム。見た目はそっくりだが、頭部のカラーリングが白(KIROBO)とシルバー(MIRATA)で違うのが判別ポイント。また、内面(機能)的な違いとしては、MIRATAにのみ学習機能が搭載されており、そのかわりKIROBOは熱や振動対策などの面で宇宙滞在用の特別仕様となっている点が挙げられる。

キロボとミラタ
↑こちらが“ロボット宇宙飛行士”の『KIROBO(キロボ)』。
キロボとミラタ
↑こちらが地上で広報活動などを担当する『MIRATA(ミラタ)』。頭部がシルバー。

  会話コンテンツ作成とプロジェクトのとりまとめを担当したのは電通で、プロジェクト創始メンバーのひとりであるビジネス・クリエーション局の西嶋賴親氏は「国家が関与せず、民間の技術だけを結集してこのようなプロジェクトが進められるのは世界初」と説明。「子どもたち、ものづくり、近未来の社会に希望を与えるのがプロジェクトの目的です」と熱く語った。

キロボとミラタ

 ロボット躯体の開発と動作の生成を担当したのは、東大先端研とロボ・ガレージ。その中心にいるのは、世界的に有名なロボットクリエイターである高橋智隆氏。ヒト型ロボットの役割が“物理的作業”から“コミュニケーション”に移ってきている背景を説明し、今回のプロジェクトを通して「ロボットとの共生、ひとり1台のロボットと暮らす未来を世界に向けて発信したい」と意気込みをみせた。

キロボとミラタ

 また、“宇宙に行くロボット”の開発ということで特に苦労した点を問われると、宇宙ステーション内では空気の対流が起きないので、本体の一部から熱が発生するとその周辺にこもってしまい、動作に影響を及ぼしかねないことを一例として回答。その対策としては、小型のファンを本体内に搭載し強制的に熱を排出するしくみを作ったとのことだ。もちろん、そのほかにも振動対策や無重力状態での動作の確認など、苦労ポイントは多かったそう。

 音声認識を用いたロボットの知能化は、トヨタ自動車が担当。製品企画室主査の片岡史憲氏は、KIROBOとMIRATAに対するアツい思いを「彼らに日本人の“和”の心を宿らせたい」という言葉で表現。具体的には、“話し上手”(一問一答対話機能)、“聞き上手”(あいづち、感情推定、おうむ返し機能)、“覚え上手”(顔認証)というキーワードを設定し、それぞれに対応する機能を盛り込んでいる。

キロボとミラタ

 さて、今回の発表会では、KIROBOたちが高橋氏や片岡氏と実際に会話するところもお披露目された。

キロボとミラタ

 高橋氏がKIROBOの前に立つと、顔認証により高橋氏を認識して「高橋さん、こんにちは」とかわいらしい声で話し出した。問いかけに対して反応するまでには2~3秒程度の間があるが、やりとりは非常に正確。トンチンカンな答えを返すことはなく、自然なやりとりを行なっていた。また、セリフに合わせてカラダが動くのも愛嬌がある。たとえば「行ってきます!」という言葉のあとには手を振るなど、見ていて思わず笑みがこぼれるかわいらしさ。「うちに連れて帰りたい!」と心の中で叫んでしまったほどだ。

キロボとミラタ

 こんなかわいらしいKIROBOには、今回のプロジェクトのメインイベントである“宇宙における人間とロボットとの会話実験”が控えている。もちろん、このような実験は世界初! 地上からKIROBOを介して若田飛行士に指示を送り、それに従って若田飛行士が実験を行なうということが予定されているほか、若田飛行士の話し相手になることも期待されている。

キロボとミラタ

 なお、気になる打ち上げは、8月4日午前4時48分頃を予定。KIROBOは、H-ⅡBロケット4号機に搭載される宇宙ステーション補給機“こうのとり”に乗って、種子島宇宙センターから宇宙に旅立ちます。若田飛行士は11~12月に宇宙ステーションに到着予定で、そのあとKIROBOとの会話実験を開始。来年5~6月には帰還する若田飛行士を見送ったのち、来年12月以降に地球へ帰還することになっています。

 日本の技術力の結集であり、人類の希望が詰まったこの“KIBO ROBOT PROJECT”。

キロボとミラタ

 大事なことなので2回言うが、KIROBOの打ち上げ予定は8月4日午前4時48分頃。固唾を呑んで、その日を待ちたい!

■関連サイト
KIBO ROBOT PROJECT

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