Twitterの創業者、ジャック・ドーシー氏が開発した少額決済サービス『Square』が、ついに日本に上陸。その影響力を分析した。
■手軽さと手数料の安さが魅力のSquare
米国とカナダで420万の加盟店を集めた決済サービス『Square』が、ついに日本に上陸した。小型のカードリーダーをイヤホンジャックに挿すだけで、スマホやタブレットが決済端末になるという手軽さが、Squareの特徴だ。サインも画面上ででき、レシートをメールで受け取れるなど、ユーザー側の利便性も非常に高い。リーダーはウェブから申し込むか、全国のアップルストアで手に入る。販売初日、銀座店では品切れになったほど注目度は高い。
日本では、三井住友カードが1000万ドルを出資。パートナーとして、「新しい商品、サービスを一緒に日本で展開していきたい」(三井住友カード 島田秀男社長)という。不正利用などの対策もSquareと三井住友カード両社で進めていき、「ダブルチェック体制を行うことで、安心、安全な決済環境を提供する」(同)。
Squareは、手持ちの端末で決済できるという手軽さに加え、3.25%の手数料の安さに強みがある。この特徴が、「99%が中小企業」(Square ジャック・ドーシーCEO)という日本の事情にマッチしたため、進出を決めた。一般的なクレジットカードの手数料は業種で異なり5~10%だが、それと比べても破格の安さだ。Squareの利用を予定している会社も、手軽さに加え、手数料の負担が軽減されることに魅力を感じているようだ。
この価格設定は、「ICT(情報通信技術)を駆使して、自動化することで実現した。3.25%の中でも、トランザクションコストを下げているので、十分採算が取れると見ている」(島田氏)という。米国ではスターバックスが7000店舗で導入した実績もあり、大手企業に普及する可能性もある。
↑イヤホンジャックに接続するだけで、スマホやタブレットが決済端末に早変わりする。
■競合サービスと差別化ポイントは?
一方で、Squareにはライバルも少なくない。ソフトバンクと合弁会社を設立したペイパルの“ペイパルヒアー”も、そのひとつ。クレディセゾンも、“Coiney”というサービスで加盟店の募集を行っており、市場は激戦区になっている。
ただ、ペイパルヒアは手数料が5%と、Squareに比べて加盟店の負担が少々大きい。端末をソフトバンクショップで販売するという販路の広さはメリットだが、既存のクレジットカード会社とは手を組んでいないため、加盟店獲得のノウハウに疑問符がつくところもある。Squareをバックアップする。コイニーについては、手数料が4%でSquareよりやや割高だ。
日本では、ドコモと三井住友カードが始めたおサイフケータイサービスの“iD”が普及しており、タクシーや自販機などでも利用できる。Squareなどの少額決済サービスと狙っている市場は近い。これに対し島田氏は、Squareは「中小企業など、現在iDを提供できていないところ」がターゲットだと述べ、両者は競合していないという考えを示した。確かに、おサイフケータイは決済がスムーズで利用者メリットは多いが、一方でリーダーライターのコストは割高。Squareが普及を狙う中小企業には必ずしも浸透していない。このように考えると、導入が簡単で手数料が割安なSquareには、大きなチャンスがありそうだ。日本ではまだまだ“現金信仰”が根強いが、こうした習慣も徐々に変わっていくかもしれない。
※本記事は、週刊アスキー6月18日号(6月4日発売)『NEWSROOM』掲載記事を加筆、修正したものです。
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