アドビは、画像編集ソフト『Photoshop』、ベクトルグラフィックソフト『Illustrator』、DTPソフト『InDesign』、ウェブ開発ソフト『Dreamweaver』、映像編集ソフト『Premiere』など、同社の主要アプリ群の次期バージョンを発表した。各アプリのバージョンは、Creative Suiteの略である“CS”から、“CC(Creative Cloudの略)”に変わる。CCは、6月18日から一般公開される予定で、既存のCreative Cloudユーザーは、追加料金なしで最新版に移行できる。
●CS(Creative Suite)をCC(Creative Cloud)に改名
今後は月額料金払いが主流に
パッケージ版ソフトの販売は、現在市場にあるもので終了する。今後は月額料金払いのサブスクリプション制を主流にし、ソフトの買い切りを望むユーザーに対しては、現行の最新版である『Adobe Creative Suite 6』のダウンロード販売を継続するとのこと。ただし、アドビは今後、CSシリーズの機能追加やアップデートは行わず、CCシリーズに注力する予定だ。
CCには、アドビの主要15ソフト(Photoshop、Illustrator、InDesign、Dreamweaver、Premiere Pro、Flash Pro、After Effects、Audition、SpeedGrade、Prelude、Muse、InCopy、Edge Animate、Media Encoder、Bridge)に加え、ウェブ作成ツール『Edge』のプレビュー版が数種含まれる。『Fireworks』は、現行の最新バージョンCS6を新Creative Cloudでも引き続き提供するが、今後の機能追加は行なわれない(新OSへの対応は行なう予定)。
また、今までは一度アプリをバージョンアップすると、古いバージョンに戻ることはできなかったが、6月18日以降は、過去のバージョンも選んでインストール可能になる(ただしCS6以降という制限あり)。
●クラウド経由でアプリの設定やフォントを同期
新しいCreative Cloudは、名前にふさわしく、クラウド連携機能を強化したのが特徴。ユーザーは、ひとつのライセンスで2台のコンピューターにアプリをインストールして使えるが、環境設定をクラウド経由で同期できる。使い慣れた環境を構築するために、ショートカットキーやパレットの配置、サーバー情報などをPCごとに設定せずとも、簡単に再現できるようになる。また、フォントを同期する機能も追加された。
↑Adobe IDでCreative Cloudにログインすれば、アプリの各種設定だけでなく、フォント情報も同期。
そのほか、ウェブフォント提供サービスを拡張しており、指定したフォントを、ウェブ表示だけでなく、デスクトップにもダウンロードして利用できる。このサービスが使えるのはいまのところ欧文フォントのみだが、日本語フォントも将来は対応させる予定とのこと。
さらに、2012年末にアドビが買収した『Behance』というクリエーター向けコミュニティーサイトと連携し、自分の作品を公開したり、ほかのユーザーの作品を見てコメントをやり取りする機能も加わった。
↑クラウドにファイルを保存する機能には、過去10日間の変更を保存して前のバージョンに戻せる“履歴”機能(左)や、フォルダー単位でほかのユーザーと共有する機能(右)が選べる。
●主要アプリのおもな新機能
『Photoshop CC』
6月18日以降使えるようになる、主要アプリのおもな新機能を見てみよう。Photoshop CCの目玉機能は、手振れした写真を自動補正する“ぶれの軽減”。同フィルターを適用するだけで、輪郭のぼやけた写真が見違えるようにシャープになった。
適用前 |
適用後 |
↑Photoshop CCの新機能“ぶれの軽減”を使うと、上のような輪郭がぶれた写真もくっきり!
『Illustrator CC』
文字をアウトライン化せずに、ひと文字ずつ選んで拡大/縮小/回転移動できる“文字タッチツール”を搭載。編集後もテキストとしての属性を保っているので、文字を検索/置換したり、あとからテキストを編集できる。
↑Illulstrator CCの文字タッチツール。図のような変形は、従来は文字をアウトライン化するか、ひと文字ずつ入力しないとできなかった、Illustrator CCでは、テキスト属性を保ったまま、柔軟な編集ができる。
『Muse CC』
コードを書くことなく、デザインに優れたウェブサイトを作成できるMuseは、日本語の縦書きもリアルタイムプレビューが可能などの機能強化を果たした。
↑新しいMuse CCは、縦書き文字をプレビューできるので、和風のウェブサイトデザインにもピッタリ。
『After Effects CC』
↑髪の毛や木の枝葉といった入り組んだオブジェクトをきれいに切り抜いて背景と合成できる“ロトブラシツール”に、“エッジを調整ツール”が加わった。ひとコマ編集すれば、動画の残りの部分の切抜きは自動で計算してくれる優れものだ。
↑3Dオブジェクトを直接読み込んで、動画と合成できる。図の例では、スケートボードの3Dオブジェクトを、実写映像と合成させている。3D編集ソフト『Cinema 4D』のライト版も付属。
↑フォントパネルを強化。よく使うフォントに★印を付けておけば、ほかのフォントを隠してそのフォントだけ表示できる。また、フォントの検索機能も強化された。多数のフォントをインストールしていても、メニューを延々とスクロールしなくて済む。
『InDesign CC』
↑64ビット化し、アプリの動作がより高速になった。ユーザーインターフェースは、PhotoshopやIllustratorにならって、背景が黒い“ダークUI”に変更される。
●Creative Cloudの料金は変わらず
1年契約の場合は月額5000円
月額料金払いとなるCreative Cloudだが、料金は現行と変わらず、1年契約の場合は毎月5000円で、全アプリが2台のコンピューターで利用できる(ウィンドウズ、マック問わず)。年間契約でない場合は、ひと月8000円だ。
CS3以降の登録ユーザーは、特別提供価格も用意。2013年7月31日までにCreative Cloudの年間プランを契約すれば、月額3000円で利用できる。CS6の登録ユーザーはさらに安い特別プランがあり、2013年7月31日までにCreative Cloudの年間プランを契約すれば、初年度は月額2200円で利用できる。
■関連サイト
Photoshop CC
Illustrator CC
InDesign CC
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Premiere Pro CC
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Behance
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